第15話 15
悠から教えてもらった場所は三棟ある校舎の一番北側。
かつては生徒が多く使用していたけど、少子化の影響で生徒数が半減し、今ではほとんどの生徒が立ち寄らない場所になっているらしい。
そういえば俺の入学が決まった時、叔父さんが人数減ったなと嘆いていたっけ。
ともかく、そこに行って人がいないことを見計らい話しかけるんだ。
決めたもののすぐには行動しなかった。
というのも、短い休みの時間では移動するだけで休憩時間が終わってしまう。ならば、長い昼休みにしようと考えたからだった。
昼休みになる。いつもなら自分の席で弁当を食べるけど、今はそれよりも。
教室から一人出る。よし着いて来ている。
階段を下りて、渡り廊下へと差し掛かる。うん、まだ着いて来ているな。
真ん中の校舎を通り抜けると誰もいない。俺とコイツだけだ。
だが一応念には念を入れて。用心して、人が絶対にいないだろう場所を探す。
よし、ここなら大丈夫なはず。
振り返る。ちゃんと着いて来ているな。しばしの間良い場所を探すのに一生懸命でコイツのことを忘れていた。
セーラー服の少女幽霊と対峙する。
さあ今からお前の存在に気付いてやるぞ、話しかけてやるぞ。
あれ、待て。なんか変だ。俺は最初コイツのことが見えていても絶対に気付いてやらないと固く決意していたはずなの。どうしてこんなことになっているんだ?
さっきまで俺の中で燃えていた意気が一気に消沈していく。
真正面にセーラー服の少女の幽霊を見ながら固まってしまう。
「ねえ、君は私のことが見えるんだよね」
固まりを解いたのは目の前の存在が発した柔らかい声だった。
ああ、と声に出して答えようとしたけど、声が出ない。仕方がないから首を上下に動かす。
それにしてもコイツ喋れたんだ。
「ずっと待っていたんだ、私のことが見える人を」
セーラー服の少女の幽霊は俺に満面の笑みを浮かべて、本当に嬉しそうに言った。
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