第3話 何をされた?

 何をされたのだろう。

 陰部を触られたのまでは覚えている。


 でも、その後は?

 その後、どうやって家に帰った?

 私は、何をされた?

 男は、私に何をした?

 ニヤリと笑った男の顔だけが脳裏に浮かぶ。

 ゾッとした。



「おばあちゃーん!」


 私の家は、母、おばあちゃん、妹、私の四人家族で。

 我が家には男性がいなくって。

 私にとって「男」はよく分からない生き物であった。

 それが、この事件で「男は恐ろしいもの」に変わった。


 おばあちゃんに覚えていること、一通り話すと

 おばあちゃんは泣き出した。


「そんなことされたの!? かわいそうに! かわいそうに!」


 おばあちゃんは私の陰部を洗い始めた。


 私の陰部は汚いらしい。

 でも、私は「汚い」陰部を洗ってもらって、少し安心したのだ。



 安心したのも束の間、おばあちゃんは母に電話していた。


「もしもし、お母さん? すみれちゃんが男に襲われたらしいの」



 それを聞いた母は飛んで帰って来た。


「警察に電話する!!」


 彼女は鬼のような形相だった。



「お母さん! やめて! 怖いから嫌だ! 電話しないで!!」



 泣きわめく私の言葉なんて、母にはどうでもいいらしい。

 母は警察に電話していた。


「もしもし? 警察ですか?」


 母は受話器を握りしめていた。私は家の隅っこで大泣きしていた。




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ささくれを剥きたくて じゅんこ3 @junko3

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