第2話 性犯罪

 大人しくて、いつも黙ってしまう。

 友達ともうまく喋れない。

 教室の片隅でお絵描きをしているのが好き。


 あの頃は昭和が終わって、平成になった頃だった。私は小学生5年生くらいだったかと記憶している。

 季節は秋から冬に移り変わる途中で、私は小学校の部活が終わってから家に帰る途中であった。


 家は山に行く途中にあるようなところにあった。周りは真っ暗で強風が吹くと枯れ葉たちが踊るように舞った。

 風と同時に山の木も揺れるのが分かる。

 暗闇と強風、枯れ葉のダンス。



「ゴゴゴ……ビュー」


 私はコートの襟をギュッと体の中に入れるようにして、暗闇の中を一気に駆け抜けた。


 駆け抜けた後も暗闇はついてくる。

 いつまでもついてくる。

 まるで「この中にずっといなさい」と言われているようだ。


 はあ、はあ。

 私は一生懸命呼吸をしていた。その時だった。


 後ろから一台の大きなバイクが走ってきて、私の後ろで止まった。

 すごく嫌な予感がした。


「ねぇ、これから山に登りたいんだけど、どっちに行けばいいかな?」


 男はニヤリと笑って言った。


「ど、どっちの道でも行けます」


 私の声は震えていた。怖かった。



「教えてくれて、ありがとう。お礼にいいことしてあげるよ」



 男は私を暗闇の森に連れて行った。


「ほら、いいことしてあげる」


 男の鼻息が荒い。


 男はヘルメットを被ったまま、私の下着を脱がせた。私は震えていた。


「や、やめてください!」


 私は精一杯の抵抗をした。そしたら男の鼻息は荒くなってしまった。



 はあ、はあ、はあ、

 はあ、はあ、はあ、






「お父さんや、お母さんにこのこと言っちゃだめだよ?」













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