003:ミミックちゃんの食事情について
いつになったら冒険者は来てくれるのさー!!!!
何この
冒険者でも探検家でもいいから来てよ!!
もうかれこれ10日くらいは待ってるんじゃないかな!?
いや、実際は2週間くらい
こうなったら私から会いに行くしかないわね。
本当にこの洞窟は何もない。キラキラの宝石の壁しかないっ!
まあ、この10日間無駄じゃなかったわ。
新たな発見はあったもの。
生きていく上に大事な食についてわかったんだからっ!
ミミックの食べ物は石!
いや〜、
倒れたところにあった石を食べて正解だったわ。
まさかミミックの食べ物が石だったなんてね。
味は微妙だけどね……。
味のない硬い肉を食べてる感じよ。氷をガリガリ
一番近い表現は、味のない硬い肉よ! これ以外に思い浮かばない!
でもでもでも、もう一つ発見があったわ。これは大発見と言っても
それはこの壁いっぱいに出てる宝石! 宝石の壁よっ!!
え? 宝石の壁のことはもう知ってるだって?
チッチッチ! そうじゃないのよ。
この壁から出てる宝石、実は食べれるの!!!
これがまた
そこら辺に落ちてる石とは比べ物にならないほど
石と宝石を比べるのすらおこがましいほどに美味しいのさ!
これこそ言葉では表現することができないほどなのっ!
美しさがそのまま美味しさに変換されたようなイメージね。その味を表すことは無理な話ね。
さすが宝石よね。綺麗で味も美味しいとかインスタ映え間違いなしー!!!
そういえば宝石の形したお菓子とかスイーツってあったよね。あれってもしかして異世界から来た人が作ったとか? そんなわけないか〜。
まあ、そんな感じでこの世界の宝石は、OL
でも私はここを去らなければいけなくなってしまった。とうとうこの日が来てしまったの。
イケメン冒険者に会うために。私の初めてを奪ってもらうために。
だからこの
約10日間どうもありがとうございました。
そしてごちそうさまでした。
本当は私だってここを離れたくないんだよ。
でもイケメン冒険者が私を待ってるのっ! (悲劇のヒロインばりの演技で)
行かなくちゃなの! (涙を流しながら)
でもでもでもでも、洞窟を抜ける途中でまた倒れるのもあれだからさー。
よいしょっ!!!
――ガシャドンッ!!!
私は宝石の壁に向かって体当たりをした。
宝石の壁はバリバリとヒビが入り蜘蛛の巣のような形となる。
スマホを画面から落とした時のアレね。
それで、砕け散った宝石の破片を集めてー。
はいっ!
これでまた空腹で倒れることはないだろう!
私って天才ミミックちゃんなのかしらっ?
まあ、本当にヤバかったら、そこら辺の石ころを食べるけどさ。
でも宝石の味を知ってしまったからには……ねっ。もう後戻りできないのさ。
そしてミミックについて新たな発見はここにもあるのよ!
それはね、この宝石の破片を舌で器用に掴み〜、体の側面に貼り付けると〜。
あら不思議っ!! 宝石が私の体に
ネックレスとか指輪とかピアスとか、お洒落してるみたいですごく可愛い!
これなら男も寄ってくるんじゃないかしら〜。
特に冒険者なんて宝石に目がないでしょ〜。
もちろん取り外し可能よ。気に入ったイケメン冒険者にプレゼントするのもありねっ!
非常食にもなるし、お洒落もできる。さすが宝石ねっ! 奥さんこの宝石お買い得ですよ〜。
でも宝石を罠にして獲物をおびき寄せるモンスターみたいでちょっと嫌だな……。
……って、私そのモンスターになってるんだった。 (てへぺろ)
あまりにも可愛すぎて自分がミミックだってことを忘れかけてたよ。 (てへぺろ再び)
危ない危ないっ。自分がミミックってことを忘れないようにしないとだね。
では、宝石集め第二ラウンドといきますかっ!!!
――ガシャドンッ!!!
もう一度宝石の壁に向かって体当たり。
うふふっ。まるで宝探しね。
まあ、全部が本物の宝なんですけどー!!
「カパカパカパカパカパカパッ!!」
うえっ!? 今の何?
もしかして私の笑い声?
ミミックってカパカパって笑うのね。これもまた新たな発見。
そしてとてもじゃないけど酷い笑い声だわ……。
ゲラゲラと言うよりはカパカパだけど。
そんなことよりもお洒落と非常食っ!
旅の準備は
旅というよりは洞窟から抜けようとしてるだけなんだけどね。
世間一般的に言うとこれはダンジョン攻略ってやつかな?
ダンジョンから出たいのだからダンジョン脱出?
まあ、どっちでもいいや。
イケメン冒険者に会えるかどうか。そこが重要よ。
先に雲ひとつない青空を見てもいいわね。外に出ればたくさんの人がいるはずだし。
でもでもでもせっかくなら洞窟を抜ける前に会いたいなっ。
雲ひとつない青空よりも異世界の男!!!!
運命的な出会いを果たした私は、そのままその運命の相手に〝初めて〟を奪われるのっ!!
そうと決まればぐずぐずしてられないわっ!
お洒落もこれぐらいで良しとしよう。非常食としても十分だろう。
では、洞窟の出口に向かって――レッツゴー!!!
それにしても私可愛くない?
宝石を身に纏った姿にうっとり。
前世では宝石にも
こうして私のダンジョン攻略が幕を開けたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます