第11話

百合は少しずつ元気になっていった。誠とも上手く言っている。誠は百合が元気がなかったのを気にしてか、ここ最近は結婚の話をして来なかった。だか、数週間経つと一緒に住もうと提案してきた。百合の家に誠が引っ越して来ると言った。嬉しかった。


誠はもう一つのスマホを隠さなくなっていた。浮気は気のせいだったのだろう。百合はスマホの事など気にしなくなっていた。


誠が引っ越して来るとなるとクローゼットを片付けなきゃいけないと開けてみると、中はダンボールに服に美顔器にごちゃごちゃだった。これは大掛かりな掃除になりそうだと思っていると奥の方にナイロン袋が見えた。何だろうと手に取って見ると少し重かった。中は新聞紙で巻かれていて何が入っているのかわからない。

新聞紙を剥がしてみると、何か黒い物のついたトンカチだ。

黒い物は血に見える。



なんでこんな物が…



そういえば、前に警察が来た日に誠は着替えて来ると言ってガサガサ何かしていた…

急に不安が襲ってきた。


明子が殺された事、明子が死んでから匿名掲示板の書き込みが無くなった事、血のついたトンカチ、スマホを隠さなくなった事…


でも、2人に面識はないんじゃ…


ぐるぐると頭の中を巡るが不安に囚われて何も考える事が出来なくなっていた。


あのスマホを見なきゃ。


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