宇宙はAIで満たされている?
夕日ゆうや
宇宙への航路
《ご覧ください。地球連合統一の新しい勇姿を》
画面には大型のロケットが映り込む。
全長53メートル、重さ289トン、総積載量5トン。速度秒速7.9キロメートル。
《最新鋭のAI技術を搭載しており、》
『おいおい。おれたちはAIかよ』
流れる無線が僕の耳朶を打つ。
『は。統一の新たなプロパガンダでしょうね』
ノイマンがクスクスと笑う。
《このAIですが、宇宙空間にある物質の調査という大役を担っており、》
『大役だってよ』
『笑わせてくれる』
《無人であるが故に活動時間が長く、》
『ここにいますよ~』
アイザックが茶化すように言うと、みんなゲラゲラと笑い出す。
ここは地獄だ。
宇宙にはなにもない。
この小さなブタ箱の中でひたすら掘削作業を行うと思うと、胃がキリキリする。
《間もなく打ち上げです。どなたも応援して頂けることを、》
『AIに、だろ? おれたちじゃない』
ノイマンはふてくされたように呟く。
ああ。僕たちは宇宙に捨てられるのだ。
そこで死ぬまで隕石から鉱物をとる。あるいはサンプルを送り続ける。
『行くぞ』
リーダーであるバーバレートが声をかける。
『へいへい』
その日、表向き無人とされたロケットが打ち上がった。その頭に人を乗せて。
宇宙はAIで満たされている? 夕日ゆうや @PT03wing
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