第6話
「どうして…」
「すまない。」
「一心は、死んだの」
「…」
「守ってくれるって、そう私達に会ったときに行ってくれたじゃ」
言葉の途中で泣き崩れる真莉を見て、目を背けてしまう。
(あぁ俺は弱い、何でいつもいつもこうなる)
「 真莉、何処に行く」
「知らない、許さないんだから」
(駄目だ、絶対に行かせては)
今にも走り出しそうな、右手をとる。
「離して、やめて、私は私の意思で行くの。先生は来なくていい。」
小さいこの様に駄々をこねる真莉を必死で止める。
「最後、頼む。離れるな」
「どうせ変な目で見てるくせに言うな。」
俺を泣きながら歯を噛み締め睨む真莉を見て心が苦しくなり、顔をさらに歪ませる。
(失うのはもうやだ)
「俺には力がない、皆を守れるだけ力が」
(いや、恐れているんだ、その代償に)
「私だってないよ。けど分かっててもやらないと気がすまないんだもん。」
「 真莉…」
「戦いたくなんかないよ。」
真莉の引っ張る力が弱まる。
「俺も行く。いや向こうからどちらにせよ来るだろう。この世界の生き残りは少ないからな。狙われているのは明白だ。だったらこっちもそれなりの準備をしなければならないだろ。」
「でも、どんな。2人で」
「かつて使われていた要塞が西に向かった所にあるはず。それを目指そう。」
直後、ふらつき倒れそうになる真莉を支え、肩を貸し暗い森林の夜道をたいまつを光代わりに歩きだす2人。その後ろ姿には哀愁が漂っていた。
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