第4話

私は未来が見えている。その上で私は選択して…


先生、起きてください。先生


目の先には風貌からして高校生の歳くらいの子が居た。


全く先生、何でこんな所で寝ちゃうんですか。


「あぁ、すまん。」

(夢か)

商店の中央にある噴水広間で寝ていた私を背丈は150位、二重瞼がハッキリした女の子が手を掴み引き上げる。


先程から先生と呼ばれていることからも分かるが、俺は先生となっていた。といっても普通の先生なのではなく、教えているだけの関係だ。弟子のようなものだ。注をいれるが呼ばせている訳ではない。あの時から16年の歳月が流れていた。


「いたたた、つねんなよ。先生」


「ふふふ、行きますよ」

俺につけられているのが幸神一心、笑っているのが御金真莉だ。


一行は歩きだす。


何のために生きているのだろうか。その意味が分からないことがある。私は誰だろう。一体何を行っているのだろうか。自分の言う事為すことが不思議でたまらない。その上で私は今を歩いている。


「 先生?何ぼうとしてんだ。」

「あ、いや何でもない。どこに行くんだっけ」

「え、先生が俺たちを誘ったんじゃん」

「うっ、なんのことか思い出せん」

「全く、まだ使える屋敷を見つけたから行こうって朝言ってたのに…」

「屋敷、あっ、そうだった」

昔からそうなんだ何かをするのに時間がかかる人間なんだ。そんな俺が選んだ決断だった。


商店には誰も居ない。落ちそうな看板が垂れ下がり、閑散としている。しかし、俺にはみえていたこの場所に沢山のものが行き交う光景が。


「で、どこなんだ」

一心が尋ねてくる。

「うん、この北にずーと先を行った所に有るんだ。」

「じゃ、もう少し旅は続く訳か」

(そうもう少し、もう少しだったんだ。)


誰も居ない道を私達はひたすらに歩く。私は時折、二人の方を見つめる真莉の方は色白で、凛とした表情で、一心は男伊達等に長い髪をたなびかせ、シュッとした表情で歩いている。私はカメラでシャッターを押すようにその一瞬一瞬を叩き込む。


「 先生どうしたの。やっぱり何かあった。」

真莉は憂い顔をこちらに向けてくる。

「いや、大丈夫。それよりもう少しで着くと思う。」


「本当、楽しみだなぁ、最近野宿多かったから」

(2日前、一人で調査に向かった時見つけた場所、多分あと少し、少しだった。)


「着いたよ」

「おお、これは」

「ボロボロだね、ハッハッ」

「まぁ、直せるし大丈夫だろう。」

「直せるの、先生もしかして魔法?」

真莉が俺に上目遣いで尋ねる。

「おお、魔法でござるか」

一心は興味の眼差し。だが期待に反してすまないが私はそんな力など有りはしない。あったとしても使わないだろう。

「自力だな、そんな魔法使えないし」

「えー、もう無理。先生探して疲れたよ」

「俺は行けるよ、うん」

「む、空気読んで、疲れた。わ た し」

一心は真莉に笑って筋肉をみせる。

「はぁ、もう、無理」

「先生、俺たちでやるべな」

「真莉、先に部屋入ってていいぞ」

「ごめんなさい、先生」

申し訳けなさそうに部屋へと向かう真莉を背に俺達は作業に取り掛かる。

「先生、俺1階」

「分かった。2階にいるから何かあったら呼んでくれ。」

一時間位後。

「はぁー、気持ちいいで」

一心は筋肉を使った高揚に浸る。

「真莉できたぞ」

「夜食作ったから、食べよぜ。」

「うん」

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