第1話学校変の後学校編はまだ完成してない。

皮肉かよ

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卒業し、それから月日がたった頃。案の定、一人で過ごしていた。しかし、意味合いが違う。

生きたいと思ったから病院に来た。未来が見たいとそう思ったから此処に来た。にもかかわらず、私はどうやら死ぬらしい。


誰もお見舞いにはこないこの閑散とした病室を私は今抜けようとしている。医者が言うには延命か、自宅で過ごすかのどちらからしい。選択肢など残されてはいなかった。余命1年だそうだがいつ何があっても不思議ではないらしい。普通に涙がでた。耐えるがつっかえる様に泣いてしまった。


花吹雪が舞う土手をそぞろに男は歩いていた。


自分は年を取らないとそう思っていた。けれど無情にも時の流れというのは誰かの意図なく過ぎていく。自分に何ができただろうか。何をしてるんだろうか。己の非力さが心にポッカリと穴を開ける。

選択ならいくらでもあった筈だ、病気にならない路もあった筈だ。しかし、私はその選択に間違いを冒したのだ。


花吹雪の舞い散るバージンロードを一歩一歩その足で噛みしめるように土手沿いを歩く。これが私への贈り物なのだと思いながら。一人歩くその姿はまるで演劇で最後に生き残った英雄が悲しげに過去を回顧しながら歩く喜劇のエピローグに相応しい。そんなことを考えながら一人歩く。


土手を降りた所では多くの人が賑わっていた。子どもたちもあれやこれやとはしゃいでいる。私は感傷に浸りながらその様子を足を止めて眺めていた。もう春か。

私の居ない所でこれから物語は進むんだ。彼らの未来に私は居ない。そんな風に思いながらまた、私はまた歩き出す。

悲しげな曲を脳内で再生しながら、思いにふける。


後悔なら沢山ある。それを選べなかった自分が悔しい。悔恨の情をもって回顧録を脳内で巡らせる目には涙が滲み出ていた。


時の流れるままに暫く歩いていると、空はオレンジに色へと移り変わっていた。

(もうそんな時間か)

土手沿いを歩き、家に戻る最中、和太鼓の音が聞こえてきた。どうやら、お祭りをしているらしい。

(行ってみるか)

普段は行かないのだが、心が行くべきだと言っている気がした。精神の異常だろうが、私はそれに従うことにしてみた。ただ何もせずに一人家で暮らしてきた俺にとってはそれすらも禁忌の冒険に思えてしまう。鳥居を潜り抜けると、さっきの和太鼓の音の源が見え、中には屋台やらが並び、多くの人で賑わいをみせている。私はそれを風景でも見るかのように見た。私は何かを買ったりする気分でも無かったので、少し離れたところにある手水舎に行き、手を洗う。冬でのそれは手を赤らめた。そして、ついでにお参りをすることにした。意味などないことくらい分かっていたが、一応病気平癒の祈願をしようと思ったのだ。礼法に則り、二礼二拍手一礼をし、目を閉じる。 

(治るとは言いはない。ただ、もう少し未来に生きたいと、こんなどうでも良い人間だけど、そう思ってしまったんです。だからもう少し・・・ふっ、何いってんだろ)

催事たけなわなりし頃、私だけが静かに祈りを捧げていた。

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