第68話 森の中
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「それじゃあ森の中に入ろう。みんな、気を付けようね」
「はい!」
「うん!」
「ホー!」
朝食を食べてから、少しキャンピングカーで先を進んだところに川があった。そしてマイケン湖への道筋を少し外れてその川の方へ進んで行くと大きな森があり、川はその森へと続いている。
ここに川と森があることはすでにカーナビで確認済みだ。何も目印がない森の中に入るよりも川を上っていった方が道も分かりやすいし、もしも獲物を狩れた際には解体作業もだいぶやりやすくなるからな。
「よし、俺も準備オッケーだ」
いつも通りリュックを背中に背負い、右の腰には薪を割る用のナタを準備してある。戦闘にはあまり貢献できないかもしれないけれど、何かあった時のためにもナタは持っておかなければならない。
河原は見通しがいいから、こちらも奇襲はできないけれど、奇襲を受ける心配性も少ないもんな。
コレットちゃんは耳がいいから、魔物が近付いてきてもすぐに気が付いてくれるだろう。そしてジーナとフー太は目がいいから、索敵についても心配なさそうだ。
……まあ、俺はあまり役に立てる気はしないけれど、それならそれでいいだろう。
「ジーナはロングソードを使うんだよね?」
「はい。それと狩りでしたら、ナイフを投げることもできますよ」
「……ああ、そういえばそうだったね」
「あの時は本当にすみませんでした!」
そういえばジーナと一番最初に出会った時、キャンピングカーにナイフを投げられたんだったと思い出していたら、ジーナもそれを思い出したようだ。あの時はキャンピングカーの車体を強化していなかったら、結構危なかったよなあ……
「もう気にしていないよ。コレットちゃんはそのナイフか……」
「はい。僕はこれしか持っていなくて……」
コレットちゃんが持っている武器はジーナと同じようなナイフだ。しかし、ジーナが持っているナイフとは異なって、だいぶ錆びているうえに一部が欠けている。狩りの素人である俺が見ても、このボロボロのナイフでは厳しいだろう。
「こっちのナイフを貸してあげるよ。切れ味が結構鋭いから気を付けてね」
「う、うん! ありがとう、シゲトお兄ちゃん!」
ナタとは別にあるナイフをコレットちゃんへ渡す。少なくともコレットちゃんが持っていたボロボロのナイフよりはいいはずだ。
それにしても、リアルにボロボロのナイフというものを初めて見たよ。ゲームとかだったら、攻撃力は1とかのやつだろう。よく今までこんな武器で狩りをしていたものだ。
「よし、それじゃあ森へ入ろう」
「……この辺りには大きな動物や魔物はいないみたい。もう少し奥の方まで行ってみる?」
「うん、そうしようか」
ある程度川を上ったあとで森の中に入るが、まだ獲物の姿は近くにないようだ。
当然何の目印もなく、道なんかもない森の中だから、帰り道が分かるように少しずつ木の幹にナイフで目印をつけながら進んで行く。いざとなればキャンピングカーのカーナビがあるから、本当に念のためだな。
当たり前だが、道のない森は木々が生い茂っていて、ものすごく歩きにくい。とはいえ、視界を遮るものも多くあるから、狩りをするのには向いている気もする。
「あっ、こっちの野草は食べられるよ。あとこっちのキノコも大丈夫!」
「へえ~せっかくだから、いろいろと取っていこう。あっ、見分けるのが難しいキノコなんかは無理して取らなくていいからね」
耳と鼻の利くコレットちゃんがいてくれるとすごく楽だな。それに森の恵みの知識があるのはとてもありがたい。
まあ、さっき聞いたところ、村の人からもらえる食事の量じゃ足りないから必要に迫られて覚えたらしい……今はそれほどお金に困っているわけではないから、危険な野草やキノコは避けておこう。
元の世界でも猛毒であるトリカブトと似ている野草なんかがあるから気を付けなければならないんだよ。
「それにしてもコレットはすごいですね」
「うん、コレットちゃんがいてくれるおかげで森の中をスムーズに進めるよ」
「ホー!」
「えへへ~」
嬉しそうにはにかむコレットちゃん。
森の中を歩きなれているコレットちゃんは深い茂みをスイスイ進んで行く。やはり普段から森の中を歩き慣れているのは大きいな。
「……早く私も役に立ちたいです」
「いつもジーナの護衛にはお世話になっているから、そんなに焦らなくても大丈夫だよ。それに魔物が出てきたら戦闘はジーナがメインになるから頑張ってね!」
「は、はい!」
開けた草原なんかではジーナの目はとても役に立つけれど、こう視界を遮るものが多い森の中ではその利点も半減してしまう。だけど戦闘はジーナに任せることになるし、目がいいのも狩りには役に立つ。
実際に魔物と戦う時になった時はジーナだよりになりそうだ。
「……シゲトお兄ちゃん少し先に何かいるよ」
「うん、了解」
しばらく森の中を進んで行くと前を歩いているコレットちゃんから待ったが掛かった。黒いオオカミの耳をピンと張って可愛らしいけれど、今はそんなことを言っている状況じゃない。
どうやらこの先に何かがいるようだ。
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