第67話 朝食
「……ふう、昨日もぐっすり眠れたか」
朝になって目が覚める。いつものように隣には身体の大きくなったフー太が気持ちよさそうに寝ている。いきなり見知らぬ異世界へとやってきた俺だけど、相変わらず寝る時はぐっすりと寝られるな。まあ、気にしすぎて睡眠不足になるよりも全然いいか。
フー太を起こさないようにしながら、横にあるキッチンへと移動した。チラッとだけキャンピングカーの一番後ろにあるベッドを見たけれど、ジーナとコレットちゃんはまだぐっすりと寝ているようだ。
昨日初めてキャンピングカーで寝ることになったコレットちゃんも、キャンピングカーの中でちゃんと寝られたようだから何よりだ。
「さて、今日は狩りに出て、そのあとは北へ移動か」
みんなはまだ寝ているようだし、外で朝食を作るようにした。しっかりと周囲に異常がないことを確認してからゆっくりとキャンピングカーの外へ出る。護衛であるジーナがいないので、もちろんキャンピングカーのすぐ隣で作業をする。
キャンピングカーの周囲には以前に作った釣り糸の鳴子もあるし、コレットちゃんも寝ていても気付くかもと言っていたし、夜も多少は安全になったようだ。まあ、さすがにしばらくはコレットちゃんも熟睡していると思うけれどな。
「シゲトお兄ちゃん! 遅くまで寝ていてごめんなさい!」
「おはよう、コレットちゃん。ちょうど朝ご飯の時間だから大丈夫だよ。昨日はよく寝られた?」
朝食を作っている間にジーナとフー太も起きてきた。そして朝食ができてコレットちゃんを起こそうとしたところで、ちょうどコレットちゃんも起きてキャンピングカーの外へ出てきた。
「う、うん! とっても柔らかいベッドと温かいお布団でぐっすり眠れたよ!」
よく眠れたようなら何よりだ。もちろんコレットちゃんがぐっすりと寝られて起きるのが遅くなっても怒るわけもない。
「それは良かったよ。それじゃあ今日は狩りに出かけるから、しっかりと朝食を食べようね」
「うん!」
たぶんコレットちゃんにはこういう風に言った方が遠慮なく食べてくれるだろう。それに狩りへ出掛けようとしているのは本当だからな。しっかりと腹ごしらえをしてもらわないとな。
「朝食は昨日も食べてもらったホットサンドだけれど、今日のは中身が昨日のとは違うからね。それに出来立てで温かいからもっとおいしいと思うよ」
今日の朝食は昨日と同じホットサンドだが、昨日のお昼に食べた朝作ったホットサンドとは別物だ。やはりホットサンドは温かい状態で食べてこそだ。すでにパンに具材を挟んでいるから、追加でどんどん焼いて焼きたてを食べてもらうとしよう。
ホットサンドと一緒に野菜のサラダとスープも用意してある。俺は万能スープのもとを基本的に炒め物の味付けに使うことが多いけれど、当然そのままスープにも使用できるからな。
「うわっ!? 温かくて本当に昨日食べたのとは全然違うよ! それにこっちのお野菜とスープもとってもおいしい!」
「こちらのスープもとてもおいしいですね! この味付けが素晴らしいです!」
「ホー♪」
うむ、ちゃんと昨日コレットちゃんが好きだったホットサンドも作ってあるぞ。果実のジャムのホットサンドが特に好きそうだったからな。
「さて、それじゃあこのあとの予定を話そうか。少し移動して狩りをするために森の中に入ろうと思っているんだけれど、どうかな?」
みんなで朝食を食べ終わり、後片付けをしながら今日のこの後のことを話す。昨日もみんなと話していた通り、今日は狩りをして食料を確保する予定だ。収納機能によってどれくらいの容量が入るのかは分からないが、できるだけ肉を確保しておきたい。
ディアクの肉はとてもうまいのだが、毎日同じ肉というのも少し飽きてしまうからな。
「うん、狩りなら僕も役に立てるよ!」
「ええ、私もお役に立てると思います」
「2人とも期待しているよ。とはいえ、コレットちゃんもジーナも、いつも狩りをしている場所じゃないから気を付けてね。まあカーナビがあって道に迷うことだけはないから、離れないようにだけは注意してね」
「わ、分かったよ」
「ええ、絶対に離れないのでご安心ください」
さすがに森の中にキャンピングカーを走らせることはできないけれど、森で迷っても少し開けたところでキャンピングカーを出してカーナビ機能による地図を見れば道に迷うことはないだろう。
あとはみんなとはぐれないようにすることと、ジーナが敵わない魔物が出てきた時だけは気を付けないといけないな。
「お昼ご飯は狩りの内容にもよるから作らなくてもよさそうかな。さて、それじゃあ出発しよう」
もちろん前世でも狩りをした経験なんてないから少し楽しみでもある。何か獲物が取れたらその場で解体をして食べられるかもしれないから昼食は不要だ。
キャンピングカーの収納機能に入れておくと、収納した状態のままになるから、焼き立てのホットサンドもアツアツのまま食べられる。何かあった時の非常食にもなるから、多めに作って収納しておいた。さあ、いよいよ森へ向かうとしよう。
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