第7話
話している途中でヘルジールは呼び出され、急いで部屋を出て行ってしまい、再び1人になったアキは窓際にある椅子に座って外を静かに眺めていた。
遠くの方で市場のような物が見える。
人が行き交い笑っている。
この日常は、今までの4人の転生者によって保たれたものだ。
アキは迷っていた。
今までの転生者の努力を無駄にしてはいけない、
自分がやらなければいけないのはわかっている。
でもそれ以上に死ぬのが怖い、痛いのが怖い、責任が怖い。
元の世界の時とは違い、守らなければならないものが大きすぎる。
アキにとってこれ以上の感情は出てこなかった。
「やっぱり俺には無理だ、ごめん。」
アキはじっと行き交う人々の声を聞きながら、街の灯りが消えるのを待った。
暗くなりようやく城の中も静まり返った頃、アキはまだ椅子に座ったまま外を見ていた。
何も無い暗闇を照らすように、白い月が2つ、並んで見える。
「この世界の月は2つあるのか、ファンタジー凄いなぁ」
アキはそのまま目を閉じた。
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