第5話

「美味いなこれ」


「そうか、まだあるぞ」


まるで兄弟のように和んだ会話をする2人を見守る護衛のシグは、反対に落ち着かないようだった。


(細い身体に、時々腕を強く握って何かを耐えているような行動をするこのお方が、我々の国を救うとは考えられないな。)


シグはじっとアキを見つめてしまっていたようで、アキはそれに気付くと持っていたナイフとフォークを止めてしまった。


ヘルジールがそれに気付くとシグに視線を寄こす。

出て行けと言わんばかりの視線にシグは1度頭を下げ出ていった。


「…人の視線って苦手なんだ、ありがとう。」


「そうか、もし俺も居ない方がいいなら…」


「王様は大丈夫、気を使わせてしまってごめん。」


アキがそう言うと、ヘルジールは苦笑いしながら


「ならいい」


と一言返すと自分も手を付け始めた。

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