第54話 確認
「よし、それでは型と技の鍛錬はここまでにしておこう」
「「「はい!」」」
獅子龍王流の道場でリオネ先生やオズとモニカと一緒に型と技の鍛錬を行った。やはりひとりでやるよりも、みんなと一緒に熟練したリオネ先生のお手本になる型と技を前にしながら鍛錬をした方が身に付いている気がする。
獅子龍王流の技はまだあるようだけれど、この前教わったばかりの第参の技をある程度使えるようになってから、その先の技を教えてくれるらしい。
「続けて身体能力強化魔法の鍛錬へ移るとしよう」
「「「はい!」」」
続けて昨日教わったばかりの身体能力強化魔法の鍛錬へと移るようだ。
「まずは身体能力強化魔法を掛けてから私の手に龍牙穿を撃ってみろ。そして次に身体能力強化魔法を拳に集中して撃ってみるといい」
「「「はい!」」」
なるほど、その威力の差によって、本当に拳へ集中ができているかを判断できるというわけか。
「ではまず、オズからだ」
「押忍! いきます、龍牙穿!」
リオネ先生が前に差し出した右の手の平にオズが龍牙穿を放つ。だけど、リオネ先生の手の平はそこから動くことはなかった。さすがにリオネ先生も身体能力強化魔法を使っているのかな。
「……十分に鍛錬を続けているようだな。次はその右拳に魔法を集中してもう一度きてみろ」
「押忍!」
オズが目を閉じて集中しながら龍牙穿の構えを取る。今右拳に身体能力強化魔法を集中しているのだろう。
「龍牙穿!」
先ほどと同じようにリオネ先生の手の平へ向けて技を放った。
「……ふむ、しっかりと威力が上がっているな。ちゃんと身体能力強化魔法を右拳に集中できているぞ」
「おお、やったぜ!」
どうやらオズは身体能力強化魔法を右拳に集中できているらしい。続けてモニカもオズと同様に少しではあるが、右拳の威力が上がっていたようだ。
そして僕もまずは普通に身体能力強化魔法をかけた状態でリオネ先生の手の平へと龍牙穿を放った。次に右拳に身体能力強化魔法を集中していく。昨日と同じように自身へ身に纏った魔力のようなものを右の拳に集めていく感覚だ。
そしてその状態でリオネ先生の手の平へ龍牙穿を放った。
「……ふむ、エフォートもできているようだな。ちゃんと威力が上がっているぞ」
「ありがとうございます!」
よかった。僕もちゃんと身体能力強化魔法を集中できていたみたいだ。昨日はできているように感じていたけれど、本当にできていたかは分からなかったから、こうやってリオネ先生に実際に確認をしてもらえるのはとてもありがたい。
「3人ともたった1日で身体能力強化魔法を集中する感覚を掴めるとは私の想像以上だ。これまでずっと身体能力強化魔法を鍛えてきたおかげだろうな。3人とも、これは誇っていいことだぞ」
「おお、やったぜ!」
「やったあ!」
リオネ先生に褒められて僕も嬉しい。
「だが、これではまだまだ戦闘では使用できないということは分かるか?」
「はい……あまりにも身体能力強化魔法を集中させるのが遅いということですよね」
さすがにそれはリオネ先生に言われるまでもなく分かっている。
もちろん自在に身体能力強化魔法の強弱をつけられれば、相手に近付くまでは脚力へ身体能力強化を集中して、近付いた後は攻撃する際の拳や足に身体能力強化を集中することなんかもできる。
だけど今の僕たちだと、時間をかけて精神を統一することで、ようやく拳に身体能力強化を集中することができる。これだとたぶん実際の戦闘ではあまり使用することができない気はする。
学園の入園試験の時みたいに時間をかけて最大の一撃を与える時なんかだったら、とても使えると思うんだけどな。
「ああ、そうだ。実際の戦闘では先ほどのように精神を集中する時間などないからな。この身体能力強化魔法をスムーズに任意の場所に集中するのにも鍛錬が必要だ」
どうやら身体能力強化魔法をうまく扱うのにも鍛錬が必要になるらしい。
「リオネ先生、なにか身体能力強化魔法を集中するコツみたいなのはないんですか?」
モニカがリオネ先生に手を挙げて質問をする。うん、僕も気になっていたことだ。
「そうだな、私が身体能力強化魔法を身体の一部に集中する時にはこう……グッと身体中の魔力を集中したい部位にガッと集める感じだな。それとその集中を維持するようにググっと安定をさせるようなイメージだな」
「「「………………」」」
そういえばリオネ先生は説明はできるけれど、具体的なやり方を教えるのがあまり上手じゃないんだった。
でも具体的なやり方は感覚的につかむことができたから、あとは自分たちでひたすら鍛錬をしていくことにしよう。
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