第46話 模擬戦の結果


 ビーッ


「それまで! モニカさんの勝利です」


「やったあ!」


「負けちゃったかあ……」


 モニカとの模擬戦が終了して、その結果は僕の負け。


 今日はエルオくんとの再戦のあと、オズとモニカが昨日の続きを一戦してから、オズとモニカと一戦ずつ模擬戦をした。


 普通の模擬戦は2本先取になるけれど、3戦ずつ戦うとオズとモニカは魔力切れになってしまうから、クレイモア先生にお願いして1戦ずつ模擬戦をやらせてもらった。


「ちぇっ……エフォートも負けちったか」


「うん、今のところはモニカが一番強いね」


「えへへ~」


 昨日の続きのオズとモニカの3戦目については昨日と同じで魔法を撃ち合いながら、オズがモニカの懐に入ろうとしていた。お互いに昨日の戦闘の経験を踏まえて、オズはモニカの懐へ入る前にいかに最小限のダメージで防いで、モニカはいかにダメージを与えるかを考えて立ち回っていたように見えた。


 結果的にはオズがモニカの懐に入って、そこから獅子龍王流の武術による接近戦になってオズが盛り返してきたけれど、オズがモニカを戦闘不能にする前にオズの戦闘不能を告げるブザーが鳴った。


「やっぱりモニカの水魔法は範囲攻撃に優れているから強いよなあ……」


「うん。僕じゃまともに近付けなかったからね。いろいろと戦い方を考えなくちゃ……」


 僕とモニカの戦闘は結構一方的な感じだった。僕を接近させないようにモニカはひたすら遠距離から水魔法を撃ってきて全然近付けない。僕もモニカの水魔法を回避しながら接近しようとしたけれど、モニカも身体能力強化魔法を使った状態では常に僕から離れながら戦っていた。


 フィールドの隅に追い詰めようと動いたけれど、要所で大きい水魔法を撃ちつつ追い詰められないように立ち回っていた。それに水魔法は液体ということもあって避けにくいんだよなあ……


「俺はエフォートにも負けたもんな……でも明日は勝つぞ!」


「うん、僕も負けないよ!」


 オズとの模擬戦は結果的には僕が勝ったけれど、それはオズも武術を中心に戦ったからだ。モニカみたいに遠距離から風魔法で攻撃して、懐に入られたら武術で戦うという戦法を取っていたらたぶん厳しかったと思う。


 それに今回はこれが模擬戦でダメージが無効化されていたけれど、当然実践ではダメージを受ければ動きは鈍くなる。エルオくんの模擬戦では僕が勝ったけれど、エルオくんの火魔法が僕に被弾した時点で僕の動きが鈍くなって、僕が勝てなかったかもしれない。


 だけど懐に入ってさえしまえば、身体能力強化魔法を使った僕の武術は通用するということが分かった。エルオくんは一撃だったし、オズとの接近戦は身体能力強化魔法を使って組手以上に速度が出せたおかげで、組手の時よりもオズを圧倒できた。


 どうやって相手の魔法を受けずに懐へ入るかが、今後の僕の課題かな。あとモニカはやっぱり昨日以上に魔法を使っていたから、オズと僕と模擬戦をして昨日よりも魔力切れの症状が出ていた。相手を魔力切れにさせるの戦略のうちのひとつかもしれないね。


「「「………………」」」


 そしてエルオくんと2人はオズやモニカの模擬戦を見て言葉を失っていた。昨日は2人の模擬戦を見ていなかったからね。でもこれで動かないで魔法を撃っているだけだといい的になるということが分かっちゃったかもしれない。


 昨日の模擬戦でいろいろと対策を取られていたから、今度模擬戦をする時はどうなるか分からないかも。


 


 そのあとモニカは魔力切れの症状が昨日よりも重かったから先に休んで、僕とオズは魔法を使わない組手をしたり、的を相手に鍛錬をしたり、他の同級生の模擬戦を見たりしていた。


 一通り模擬戦を見たけれど、やっぱりこの2つのクラスの中ではオズとモニカが飛び抜けていたと思う。魔法だけで言えばエルオくんや他に何人かオズとモニカと同じくらい強い同級生がいたけれど、武術と合わせた接近戦を含めれば、オズとモニカの方が強そうだ。


 2人ともワイバーンの事件があってから属性魔法と武術をものすごく鍛えていたからね。僕も含めて普通は遊びまわっている年頃にずっと鍛錬をしていた分、他の同級生よりも強くなっていたのかもしれない。

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