第3話:初デート。

土曜の商店街の夜祭りに音無さんを誘った。

やってきた彼女は浴衣姿だった。

涼しそうな淡いブルーに白のぼたん柄の浴衣が、とてもよく似合ってた。

めちゃ可愛かった・・・超超可愛かった。


彼女の眩しい浴衣姿を見て僕はどぎまぎした。

って言うか、デートがはじまる前にすでに撃沈だよね。


「あの・・・音無さんじゃなくて、音色ねいろちゃんって呼んでいいかな?|

「はい・・・いいですよ」


「じゃ〜僕は悠真か・・・」


「悠ちゃんって呼んでもいいですか?」


「あ、はい・・・家族からも友人からもそう呼ばれてますから」

「音色って可愛くて素敵なお名前ですね」


「ありがとうございます・・・」

「私のお父さん、若い時バンド組んでたみたいで・・・それで私に音色って

つけたみいたいです」


笑顔で話す彼女はほんとに、あどけなくて可愛い。


「あ、今日は来てくれてありがとう、よろしくお願いしま す」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


音色ちゃんは思った通りの感じのいい子だった。

ただ一番の問題は彼女は女子高生でセブンティーンだってこと。

僕の方がかなり歳上。


それだけが、どうもひっかかるわけで・・・。

話がどこまで、かみ合うかが心配。

そうなったらまたファンタジーな話を持ち出せばいいか・・・。


いつもは閑散としてる商店街も土曜の祭りと言うこともあって家族連れ、

カップル、たくさんの人で賑わっていた。

 

これは僕のデートなのに義理の姉から「コーヒー豆を買って来て」

って来てって頼まれていた。

だから、しかたなく商店街の店に彼女を連れて入った。


コーヒー豆を物色してる僕を彼女は嬉しそうに見た。


「なに?、どうしたの?」


って、僕の聞いたらお姉さんにコーヒーを頼まれたってことが彼女には

微笑ましく感じたらしい。


(そんなことで?)


少なくとも彼女には心がホッコリするショートエピソードだったらしい。

この子だけの感性かもしれないが女の子のツボって、そんなところに

あるのかなって思った。


逆に(そんなことよりデートにだけに集中して) って思われやしないかと心配した。


北から南へ続く小さな商店街の入り口、僕は彼女にさりげなく手を差し出した。

手を繋ぎたかったからね。

恋人同士なら誰しもがするコミュニケーションだろう。

まだ恋人じゃないけど・・・。


でも、手くらいつないだっていい。

僕の大切な人がはぐれて迷子にならないようにね。


僕たちは、たわいもない話で盛り上がった。

歳の差のギャップなど、そんなことはいつのまにか忘れていた。

それどころか、この子とは価値観が同じだと思った。


歳の違いはあっても考え方が同じならそれでいい。

付き合って行くうちに僕たちの歳の差は徐々に埋まっていくだろう。


僕たちは終始バカを言っては転げそうになるほど笑った。

箸が転んでも可笑しい年頃って言うけど、そのへんは、まだ子供だなって思った。

彼女は痛い痛いと腹を抱えて笑った・・・笑いすぎだよ。


こういうのを意気投合って言うんだろうか。


金魚すくいもしたし、綿あめも、りんご飴も買った。

出店で彼女が可愛いというので、それじゃ〜とイヤリングを買ってあげた。

300円だった。

さっそく彼女は両耳にイヤリングをつけた。


めちゃ可愛かった。

何度も言うけど、超可愛いかった・・・まじで可愛かった。

イヤリングがじゃなくて、彼女がね。


つづく。


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