相手を騙すのに、嘘を言う人用はないですからね。

都合の良い部分だけ見せてあげればよい。

後は勝手に誤解してくれるし、ほんの少しミスリードするだけで効果が出てくる。

ヒーサもティースもどちらも鋭くて頭はいいのですが、どうしても戦国七十年の経験値を持つ梟雄の方が、この手の知恵比べや交渉事では抜きん出るのです。

基本的には優秀なんですよ。

ただ、準備や情報収集で思い切り遅れを取ってるんです。

ティースは地頭は良いですし、勘も恐ろしく鋭い。

ですが、“証拠”が一切ない状態なので、止むなく押し黙っている状態です。

そこにヒーサは付け込んでます。

疑惑が確証に変わらないように注意しつつ、好感度を稼いで“本当の夫婦”になります。

仕掛けるときは、ヒサコをけしかければ、ヒーサ自身の名声には傷が入りませんからね。

聖人君子の生きた見本。

これを貫いてこそですから。

突飛な行動で計算が狂うときもありますからね。