「………」

 男と一緒に歩くのが嫌なのだと思い、振り返ると、サダハルはニヤニヤと笑いながら手を振っていた。

『大好きな男とのメシなんだ。楽しんで来いよ。オレはこの辺りをもう少し調べる』

「……」

 なんだ、いつも人の着替えを覗き込んで、「もっと色気のあるのは着けられないのか!」と文句を垂れてくるくせに、今日は私の気持ちを汲んでくれるのか…。

『裸になって、胸に飯を盛りつけてみろ! イチコロだぜ!』

 そんなことできるわけないだろうがあああああっ!

「…どうした? 栞奈。顔、鬼みたいになってるぞ」

「あ! いや、なんでもないです! 大丈夫です!」

 とにかく、サダハルが気を遣って二人きりにしてくれたんだ。城山さんには悪いけれど、楽しんでやろう。

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