幼馴染と買い物デート
幼馴染と休日の朝
「ん、んぅ……ん~~っ」
チュンチュンという雀の鳴き声が聞こえる。
冬の肌寒さを感じながらもぞもぞと布団の中で蠢いたかすみは、大きく伸びをした後で上半身を起こすと、これまた大きなあくびを放った。
「朝、かぁ……」
頭の中が眠気でモヤがかかっている。上手く頭が回らないなと思いながらも、こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりかもしれないとぼんやり思う。
固いせんべい布団ではあったが、幸太郎が傍にいてくれたお陰で何も考えずに眠れたと……そう考えたところで、かすみは自分を抱き締めてくれていた彼の姿がないことに気付いた。
「お仕事、行っちゃったかぁ……」
昨日もそうだったなと、朝早くから仕事に出掛けたであろう幼馴染のことを思いながら、わずかに彼の温もりが残っている布団を撫でるかすみ。
そうした後、緩い笑みを浮かべた彼女は寝ぼけまなこを擦りながら布団を出て、自分の荷物を漁る。
「着替えて、ちゃんと目を覚まそ……ぐーたらな生活してると、どんどん抜け出せなくなっちゃうもんね……」
自分が押しかける形で始まった幸太郎との同居生活。まだ始まって間もないが、今の自分は立派(立派ではない)な彼のヒモだ。
もっといえば、大絶賛ニート生活中。親からの仕送りこそあるものの、自分でお金を稼いではいない状態である。
このままずるずると自堕落な生活を続けていたら、この状況から抜け出せなくなってしまう。
幸太郎との生活は心地良いが……彼に負担をかけないようにするためにも、せめてまともな生活リズムを崩さないようにすべきだ。
(着替えて~、顔洗って~、歯を磨いたら、ちょっとお散歩して~……あれぇ? なんか忘れてるような……?)
自分がすべきことを考えるかすみは、その途中で自分が何かを忘れていることに気付いた。
しかし、肝心な何を忘れているかという部分に関しては、眠気で頭の中にかかったモヤのせいでわからないでいる。
早起きしてやるべきことが何かあったような気がするのだが……いったいなんだっただろうか?
ああでもないこうでもないと考えながらもぞもぞと上着を脱いだかすみが、突き刺さる冬の寒さに体をぶるりと震わせる。
「お~、さむさむ……! 一気におトイレ行きたくなっちゃったよ……」
昨日、幸太郎に見せたように、かすみはパジャマの下にはブラジャーもシャツといった下着を身につけていない。
上着を一枚脱げばたわわな胸が露わになるわけで、小柄な体に見合わないその巨乳たちは彼女の震えに合わせて大きな揺れを見せている。
こんな寒い状況でいつまでも上半身裸でいるわけにもいかない。早く服を着なければ。
寒さを更に強く感じたことで、トイレにも行きたくなってきたし……と考えたところで、かすみの耳にトイレの水が流れる音が聞こえてきた。
「はにゃ……?」
ぽ~っとした頭のまま、音が聞こえてきた方を見やるかすみ。
がちゃりとトイレの扉が開き、そして閉じた後、そこから出てきた幸太郎と目を合わせた彼女は、にへら~っと笑いながら彼に手を振った。
「あ、幸ちゃん……! おはよ~……!」
「お、おま、おま、おぱ、おま……っ!?」
朝の挨拶をしながら、自分を見て固まる幸太郎の姿を見ながら、かすみは忘れていたことを思い出す。
今日は幸太郎の仕事が休みだから、午前中に布団を買いに行こうと約束していたんだった……と。
大事なことを思い出せてご満悦のかすみであったが、今の彼女はそれ以上に大切なことを忘れている。
今現在、パジャマを脱いだ自分が幸太郎の前にそれはもう見事な二つのお山を曝け出していることだ。
ぶり返してきた寒さにかすみが大きなくしゃみをすれば、柔らかいたわわたちがぶるんっと大きく揺れる。
何にも包まれていない、隠されていない彼女の胸を真っ向から見てしまった幸太郎がフリーズする中、ようやく自分があられもない格好を披露していることに気付いたかすみは改めて彼の方を向くと――
「手、洗ったばっかりで冷たくない? 私のおっぱいで温まっとく?」
「なに言ってんだ、お前は!? もうなんでもいいから、さっさと服を着ろ!!」
――いつも通りの逆セクハラムーブをかまし、幸太郎からのツッコミを受けることになったとさ。
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