29 調教

 僕はゆっくりと海斗の開発を進めていきました。指だけでなく、道具も使って。一週間ほど経った頃、それを入れたままバイトに行くことにしました。


「瞬くんお願い! 抜いて! 抜いて!」

「まあ、途中で電池が切れると思うからさ。それまでの我慢だよ」


 夕方にはバイトは終わったのですが、兄が恋しくて、海斗を放って兄の部屋に行きました。


「ははっ、そのまま放置してきたのか。俺でもそこまではやらねぇよ」

「兄さん、抱いてよ。やっぱりしたくてたまらない」


 夜中になって、ようやく僕は海斗の元に戻りました。道具はまだ振動していました。


「遅いよ、瞬くん……」

「最近の電池はよくもつんだね」

「許して……許して……」


 さすがに負担が大きかったかな、と思い、抜いてやりました。風呂にも入れていなかったので、身体を拭きました。


「ごめんね海斗。兄さんとやってた」

「兄弟でするなんて……狂ってる……」


 その日の夕食は与えませんでした。翌朝になって、与えたパンを、海斗はガツガツと食べました。コーヒーも平気になってきたようでした。


「昨日は寂しい思いをさせてごめん。今日は側にいてあげるから」


 僕は手錠を外しました。そして、海斗に自分でさせました。その様子は動画に撮っておきました。それを繰り返し再生しました。顔を背けたので、アゴを掴んでしっかりと見せました。

 僕も裸になって、海斗の身体を気持ちよくさせてあげました。兄にされたのと同じように。


「海斗、いい声で鳴いてたね。僕のこと、好き?」

「……嫌いだ」


 海斗の目には、まだ光が宿っていました。どこかで希望を持っていたのでしょう。この部屋から生きて帰れることを。

 夕飯は海斗のリクエストを聞いてやり、親子丼を作りました。食事を全て食べさせられることに海斗も慣れたようでした。

 海斗のスマホは電源を落としていましたから、連絡が来ていたかどうかはわかりせんでした。

 僕は海斗に自分からまたがってくるように命じました。彼は腰を動かしました。


「海斗、どう? 気持ちいい?」

「気持ちいい……でも、嫌だ……」


 そして、二週間目。そろそろだと思いました。僕はじっくりと海斗の身体を整えてやった後、挿入しました。


「瞬くん……瞬くん……」


 海斗は僕の名前ばかり呼びました。兄の気持ちがわかりました。自分の手で作り替えた身体というのは、こんなにもぴったりと合うものなのですね。

 僕が達した後、海斗は勘違いしたのでしょう。もうこれで終わらせてくれるのだと。猫なで声で言いました。


「瞬くん、そろそろ家に帰してよ。父さんも母さんも心配しているだろうし」

「……まだだよ、海斗。夏休みはまだあるでしょう?」


 その瞬間、海斗の瞳が絶望に染まりました。二週間、閉じ込められ続けて、精神はギリギリだったはずです。海斗は叫びました。


「もうここまでやったんだ! 帰して!

帰してくれよ!」

「そんなこと言える元気があるうちは、頑張れるよね?」


 僕はそれからも、毎日海斗を犯しました。バイトは忙しく、帰る時間はバラバラでした。文句も垂れなくなったので、一度風呂場に連れていって髪を洗いました。

 海斗は口数が少なくなっていきました。しかし、身体は過敏になり、可愛い声で訴えてくれました。

 表情もなくなり、人形のようになってしまいました。何もせず黙って一緒にいるだけの日もありました。

 僕は海斗との思い出を繰り返し聞かせました。互いの誕生日を祝い、将来を約束した時のことを。しかし、僕は言いました。


「ごめんね。僕が愛しているのは兄さんなんだ。海斗は本気で僕のことを愛してくれていたのにね。気持ちを弄んで悪かったよ。でも、それが楽しかったんだ」


 反応がなくなってきて、面白くなくなってきたので、兄から鞭を借りました。くぐもった呻き声をあげ、海斗はそれに耐えていました。

 自分でやってみてわかったんですが、案外難しいんですね。兄がいかに巧みに僕を打っていたかどうかよくわかりました。

 ついに一ヶ月が過ぎ、海斗の様子が少しずつ変わり始めました。笑ってくれるようになったんです。

 行為の時は、積極的に動き、例えどれだけ責め苦を与えたとしても、口元をゆるませるだけだったのです。

 そして、言ってくれました。


「好き。瞬くん、好き。オレは瞬くんが居なきゃダメだ。もっと虐めて。もっと酷いことして」


 壊れた玩具のように、けたたましく海斗は笑い声をあげました。全身で僕に媚び、暑苦しいほど言葉で伝えてきました。


「何をされても気持ちよくなっちゃうんだ。オレの身体、もうメチャクチャなんだ。ありがとう、瞬くん。ありがとう……」


 これで堕ちた、と確信しました。僕は最後の段階に進むことにしました。

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