第131話 『特別な人』
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休み明け出勤すると
招集をかけられたのは私と小暮さん。
私だけじゃなくてよかったわ。
社食を急いで終えるとせかされるようにして私たちは仕事で使う
ブースのうちの一つに席を取り、各々チョイスして購入した飲み物を
テーブルに乗せて彼女の話を聞く態勢を整えた。
じき、遠野さんのマシンガントークが始まる。
「掛居さん、小暮さん、私……大変なことを知ってしまったの。
あぁ~、知りたくなかったわぁ~。
アタックもせずに私の恋は散ってしまったのよ」
私と小暮さんは顔を見合わせた。
私も、そして多分小暮さんも理由は違うけれども、遠野さんの散った
恋の話なんて聞きたくなかった。
耳に耳栓したい気分……っていったら酷過ぎるだろうか。
小暮さんも多少恋バナの件は話を聞かされていたようで、うんざり顔だ。
それでも彼女か私のどちらかがその先を促して遠野さんに話をさせないと解放してくれそうにもなく、小暮さんが先陣を切ってくれた。
「相原さんのことよね? 何があったの?」
「私、土曜日思い切って彼の家へ行ってきたの」
「えぇー!」と小暮さんが驚きを隠せないパフォーマンスをしたので、
私も遅ればせながら便乗して驚く振りをした。
相原さん本人から話を聞いていなければ確実に私も驚いたろう話だし。
「ちゃんとアポ取ってから行ったの? 遠野さん」
小暮さんからチェックを入れられた遠野さんは首を振る。
「それと普通なら知らないはずの住所へ突撃したわけで、そんな個人情報
よく手に入ったわよね」
そう言った小暮さんからの非難をもろともせず遠野さんは自分の成果を
得意げに語り出した。
「相原さんとちょくちょく一緒に仕事することのある藤井さんを飲みに誘ったら、簡単に聞き出せたのよね~」
「藤井さんって、そんな簡単に
小暮さんが疑問を
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