第17話 剛野 武久

「バレー?こっちだ。元々バレー用に貸し出すスペースだから心配する必要はない。何時からやるんだ?」


あの後、落ち着いたころに剛野先輩に話しかけた。もちろん世間話ではなくこの海岸についてのことだ。

「だれも使っていないんですか?」

「あぁ。まずコートの貸し出しをしていることをほとんどの人が知らねぇ。ネットは時間になったら立てるからパッとみそこがビーチバレーをやる場所には見えねぇことも分からない理由の一つだ。今日だって貸出申請をしているのも一組だけだ」

「ネットを立てていないって…普段はなんの為のスペースなんですか?」

「単なる囲ってあるだけのフリースペースだ。予約時間が近くなったら封鎖する旨もそこの看板に書いてある」

そのスペースを見るとスペースを囲むようにネットが張られていて、その中では数人がバレーをしてるだけで周りに人は集まっていない。


話を聞いていて一つ疑問に思った事がある。

「なんでスペースを砂浜じゃなくてこんな少し離れたところに作っているのですか?テレビとかで見るのは海に近い砂浜でやっているのが多いと思うのですけど…」

「あれは人払いしているからできているだけなんだよなぁ…。普通は亜人種の出せる腕力や能力持ちがやる想定をして人がいないところじゃないとできない。龍人種が全力でアタックしたボールなんか他の人に当たるだけで死ねるからな」


「後は海の近くの砂浜の半分そういうスポーツ用に貸し出すところはあるにあるが、その分泳ぐ客がいられる場所が無くなる。どっちの客を取るか…なんだよ」

へぇ~

「前からここ、こんな感じでしたっけ?」

「いや?俺が提案して変えさせた。遊ぶなら人に迷惑はかけちゃいけねぇ」

…どう見たって剛野先輩は酒を飲んで人に迷惑をかけそうな見た目をしているんだけどなぁ。


====


バレーの予約をし終えた後


「時間になったらここに来い。無かったら用具も貸すからな」

「分かりました」

「それと…」


「新しい出土品の情報が手に入った。…いるか?」


「今は手持ちがないから無理。今度、学校でお願いします」

剛野先輩はどうやって手に入れているのか分からない確かな情報を売る情報屋をやっている。取引先も多いらしい。ちなみにかねでしか情報が買えない訳じゃない。

「…1000でいい。あと飯を用意するからその感想を言ってくれば500にする」

「分かりました」





ちなみに単位は円、つまりご飯の感想を言えば500円っていうこと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る