第15話 ※8月の夢です

『エイプリルフールだね。何か嘘つく?』

と澪からCcI(SNSのアプリ)の個人の会話にメッセージが届いた。


『予告して嘘をつくやつはいないだろ』

他のSNSを見ると、企業やインフルエンサーは様々な手を使って楽しませている。もちろん冗談にならない様な嘘をつくやつは論外だが。アプリゲームを開けば物によっては期間限定のイベントをやっている。


『そもそも誰に嘘をつくんだ?』

『学校の連絡先を知っている皆』

『そう。俺は思いつかないからパスで』

そもそもそれなりに有名な人がやるから良いわけで、知らない人やあまりよく知らない人がやっても「そういう人なんだな」って思うだけだ。


『パーティーを楽しもうじゃないか!』


と一瞬びっくりしたが澪じゃない。こいつは…海斗か、アイコンが変わっていて一瞬分からなかった。


『うっせぇ。海斗なんだ?』

『ふふ、我は邪魂大帝ネオスフィスだ』


スルーだ。

一応、樹理の方も見ておこう。アイコンはいつも通り胃もたれするようなドーナツの写真だ。

『メッセージの送信を取り消しました』

『メッセージの送信を取り消しました』

『メッセージの送信を取り消しました』

『メッセージの送信を取り消しました』

『メッセージの送信を取り消しました』

『メッセージの送信を取り消しました』


怖い。この文面を送っているのがひたすら怖い。何でもやっていい日と勘違いしているのだろうか?


ガチャ


と俺の部屋の扉が開く。誰だ。


『ふふふ、地獄の使者タイクーンなり』

マサムネが色々と仮装して立っていた。

マサムネ…キャラ被りかよ。それと自分で大物って言うのはどうなんだ?

そんな考えでマサムネを見ていると…


ズガァァァン!


家の屋根が綺麗に吹き飛び、俺の部屋が青空教室になった。そして

ガシ!

掴まれて空中に連れ去られる。


「誰だ!って澪か!」

上空に上がると澪の家も屋根がない。

「澪!どこに行くんだ?」

「…」

声をかけるが何も言わない澪。高度は上がっていき、ある程度上がると地面と平行に加速し始め、どこかに向けて移動し始めた。


その速度はすさまじく…

「(マジで息ができない…止まってくれ澪)」


そのまま俺は意識を失った。


====


ブォン!ブォン!


「がぁ、はあ…はぁ…」

「あ、やっと起きた」『起きたか』

と澪と羽ばたいているマサムネがいた。マサムネは俺が起きるのと同時に羽ばたくのを止め、地面に足をつけた。

「はぁ?なんで澪が?」

「出かけるからに決まっているでしょ?起こしにきたんだよ」

「うぇ?…あ、そうか泳ぎに行くんだったね」

「早く準備して」


「ところでなんで風を使ったの?」

「火は燃えるからダメだし、水はぬれるからダメでしょ。だったら風しかないじゃない」

「…息ができなかったんだけど」

「そこまで強い風は送ってないよ?せいぜい冷たいと思って起きてくれればいいっていう程度の風。強風とは呼べないね」

「??」


「なんか悪い夢でも見てたんじゃない?」

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