第11話 御堂筋 鈴

「おはようございます」

おはよ~


百野高校の校門では、毎朝自主的に挨拶をしている生徒がいる。それは…


「会長!おは~」

「おはようございます」


この学校の生徒会長である、御堂筋みどうすじすずだ。


見た目は黒色短髪眼鏡にロングスカートときっちりした服装をしている。そんないかにも人間らしい彼女だが亜人種である。

機人種マシナと呼ばれる、世界的に見ても数が少ない亜人種で最も種である。


機人種の特徴として挙げられるのは鋼鉄や機械的な体由来の身体能力の高さ。普通の人の数倍丈夫な骨と筋肉を持ち、普通の人間から見てかなり無茶なことができる。そのせいで身体能力系の競技や試験は亜人種と人間で分けなければならなくなった程だ。

そんな機人種の御堂筋先輩も運動神経がいい…訳ではなく…


「御堂筋!50m、8.26秒!」

ハアハア…

教室から見えるグラウンドでは御堂筋先輩のクラスが体育の授業をやっていた。その中で御堂筋先輩はに交じって陸上競技をやっていた。

足の速さは周りと比べて平均的、走り高跳びは…


「御堂筋!1.2m!」


平均よりちょっと上ぐらい。そして

「ハアハア、先生…少し休んで…良いですか?」

「分かった。順番は後ろに回しておく」


彼女はインドア派で本が好き。そして何よりも機人種にしては絶望的なまでの運動神経の無さ。いつもの冷徹で厳しい態度から一転して走ったらすぐに疲れる部分がかわいらしいということで、生徒会長として人気というよりはマスコットみたいな人気が少なからずある。


====


彼女は本が好きだ。読むのもだ。


「…」


無言で長蛇の列に並んでいる。

ここは同人イベントの会場。海斗あのバカに頼まれて並んでいる。当の本人は別のフロアにいる。このフロアで俺は買い物があって「行けるかね?」と言われ、時間的に行けると思って了承した。

ちなみに俺が無理だったら公式サイトでの再販を待つつもりだったらしい。


まぁ、その代わりに俺が行く予定だった買い物をついでに頼んだわけだが…


「どれをご購入なさいますか?」


まぁ、完全に会長だわな。

茶色の長髪で眼鏡はかけていなくて、メイドっぽい服装をしていて、名札に「私が作者です」って書いてあるけど、背丈や声、機人種由来の一部分が機械化した腕などほぼ会長な要素がありすぎる。


「これ2部とこれとこれ」


====


「買えたかい?」

「あぁ、これだろ」

「OK。これを渡しておこう」

「センキュー」


あとサインの字もほとんど同じだな。

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