第7話 ダンジョンコア
「ほらほら」
と鬼本あかりは手のひらを上に向けて挑発するように手招きをした。
「…」
緊張が走り無言になる周囲。人々は萎縮していると思いきや…
「次は俺だ!」
「わたしもはやくとびた〜い!」
「いや、ここは順番に…」
「…スゲェ飛ぶな。…怖くなってきた…」
と一人が叫ぶと次第にロープに囲まれた中にいた人が声出し始めた。
「そう慌てんなって。予約した人、全員やるから。呼ばれるまで待ってろ!」
「「「はい!」」」
これは
「きゃぁぁぁ~」
吹き飛ばした後の着地点となると思われる範囲全てを決まった人以外立ち入り禁止にし、壁や地面などを衝撃を吸収する素材にしているためアトラクションとして成り立っている。もちろん着地点付近には着地時のフォローや有事の際の助けとしてベテランの補佐がいるらしい。…見えないけど
「うわぁぁらぁぁ〜」
「あれは面白そうだね。魔法を使い、空を自分の身一つで舞うのは爽快感が凄そうではないか!」
「…あれって誓約書を事前に書いているのよね?」
「なんなら何日も前から予約しないといけないし、安全講習プログラムも受ける必要がある」
「そうまでしてやりたいんだねぇ〜」
「ダンジョン攻略者に合法的に近づくチャンスっていうのもあるんじゃん?」
「え!ここのダンジョン、攻略したのあの受付のムキムキの鬼本さんじゃないの?」
「うん。ホームページにも書いてある」
====
湯泉ダンジョンでは温泉が流れている。その効能は色々あり、疲労回復など効能ごとに浴槽が分けられている。もちろんシンプルな湯もある。
「あれは北斗七星かな?」
「外の空をそのまま投影しているならそうだろうよ」
「魔法なら可能だねぇ。ダンジョンコアもほぼ同じようなものだろう?」
「知らん」
ダンジョンコアは未知の物質。魔導具でもない「何か」だとされている。どうやって動いているかも分からない。そもそもダンジョンも外から見た外見と中から見た空間の体積があまりにも違うぐらい不思議だからダンジョンを操作できるダンジョンコアが不思議じゃない訳はないんだけど…
「…静かだねぇ」
「あぁ、防犯上の理由で外の声が聞こえてこないようになっているんだろ」
ここは男湯であるので男の声は聞こえてくるが隣にあるはずの女湯からの声は聞こえてこない。どうやら湯がある空間が違うらしい。
「興味あるのか?」
「…少なくとも知らない人の裸を見る趣味はないねぇ」
「…それはそれでどうなんだ?」
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