第4話 宝剣 澪

征人ゆきと。ちょっと手伝ってくれない?」

俺のことを呼んでいるのは宝剣ほうけんみお。俺の小さい、それこそ幼稚園の頃からの幼なじみである。

「分かった。なんだ?」

「ちょっと先生に頼まれて人を集めてこいって。たぶんなんか重いものでも持つんじゃない?」


澪はクラスの委員長をやっていて、運動が好きでなんでも相談に乗ってくれる。話好きでもあり積極的に人とコミュニケーションを取っている。まさに陽キャだ。さらにプロポーションも良く学校中の男子の心を射止めている。何なら同性の女子からもかなり人気だ。


そんな彼女は…


ガァァァァ!


「グッ!まじでそれ反則だろ!」

ドゴン!

『それを言われても。本気でって言ったのはそっちでしょ?』


龍人種ドラゴだ。

今はダンジョンに興味ある人向けの魔法も使える戦闘の授業の最中さいちゅうだ。

その中で澪は一対の翼を持ったドラゴンになっていた。


龍人種は亜人種の一種で多少の差異はあれど龍人種は見た目が、完全な人、尻尾や鱗などドラゴンの特徴がありながらも人型、ドラゴンの3形態になることが出来る。その証拠に今、澪はドラゴンから尻尾が生えた人型になっている。

ちなみに亜人種の一例として精霊種エルフ獣人種アニマ魔人種デニモなどがある。それぞれの日本での読み方は3文字に統一されているが、漢字の読みのまま読んでも問題無い。


「終わりだ。若松、お前の負けだ。まだ人型ならやりようがあったのになんで挑発した」

「先生。手を抜かれるのは癪というか…。なんか圧倒的な力の壁みたいなものを感じるんですよ」

「そりゃそうだろ。宝剣は龍人種だから。パワーは一流だ。次、江井と向井。フィールドに入れ」


次の人がバトルフィールドに入ると同時に澪はフィールドに直接つながっている更衣室から出てきてこっちに向かってきた。


「お疲れ。やっぱ強いな」

「そりゃね。龍人種でドラゴンになった以上、こういう一対一の戦いで負けてられないからね」

「…ぶっちゃけクラスに負ける相手いる?」

「ぶっちゃけいるね。樹理は魔法が凄いし、小林君は小さくてウザい攻撃してくるから苦手。…まぁ、樹理はこの授業受けてないから実質小林君だけかな?」

「いいよな。亜人種って。対人戦だと有利じゃん」

「まぁね。有利なのは否定しないよ。でも亜人種でもいやなところはあるからね。分かっているでしょ?」


澪の言う亜人種のいやなところ、特に龍人種の様に人よりも大きなものに変化する亜人種のいやなところは…


「フィールドで裸って興奮する?」

バン!

「しないわ!」

と俺の背中を叩いて言った。


変化するときに身につけている物が変化に耐えきれず壊れたり破けたり、伸びて使い物にならなくなることだ。だからフィールドに更衣室が併設されている。ちなみに人型なら鱗などで局部は隠せる。

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