4「閲覧」

「これだ、間違いない!」

 そう叫んだロトリーの手には一冊の本があった。

 彼は私に向かって嬉しそうに表紙を見せてくれたけれど、私には全く読めなかった。

「君の世界の言葉で言うと、『美しい花』というタイトルだね」

「美しい花……」

 申し訳ないけれど単調なタイトルだと思ってしまった。でも大事なのは中身だ。

「どんな話なの?」

「……ごめん。初めて見る言語だ」

 そう言って見せられた本文は、私にとって少々馴染みのある言語で書かれていた。

「これ英語だ!」

「じゃあ読めるのかい?」

「うん」

 英語なら授業で習っているし、見た感じ簡単な英文が多そうだ。

「じゃあ早速訳してくれよ」

「だったら魔法の方が早いんじゃないの?」

「そんなのつまらないじゃないか。本は自力で訳してこそ楽しいんだ」

 どうやら読書に関してはこだわりがあるらしい。

 でも、と思う。私が訳したら結局魔法と変わらないんじゃないだろうか……

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