2「目的」
目の前にいる魔法使い、ロトリー。私は彼に用件を聞かなければならない。
「何をしに来たの?」
「本探しさ。僕の大伯父の遺作を探しに来たんだ」
「ここにあるとは思えないんだけど……」
魔法使いによって書かれた本が人間である大伯母さんの書斎にあるなんて普通あり得ないと思う。
「甘いね。ちゃんと根拠があるんだ」
「根拠?」
「実は大伯父が遺した日記に書いてあるんだ。『作家として最後に書き上げた一作はサエコ・アサミに贈った』とね」
浅見彩枝子。大伯母さんの名前だ。
「わかった。私も探すの手伝うよ」
「本当かい?それは助かるよ」
ロトリーは嬉しそうに言った。恐らく私と出くわさなかったら一人で探すつもりでいたんだろう。
大伯母さんがきちんと整理していた本棚を荒らされたら困るし、何より魔法使いが書いた本というのが気になる。
いったいどんな中身なんだろう。
人知れず興奮している自分がいた。
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