恐怖のヘルズゲート! 聖女マルガレタvsデビルドラゴン!の巻
むかしむかし、あるところにマルガレタという娘がおりました。
十五歳の頃、仲間の乙女たちと羊の番とレスリングしているとオリュブリオスという男が通りかかりました。
オリュブリオスはマルガレタのたいそう美しい容姿に、たちまち恋のとりこになってしまいました。
さっそくオリュブリオスは使者をやって、マルガレタを役所に連れてこさせました。
オリュブリオスはこの地方の長官だったのです。
美しいマルガレタが立派な家の娘なら妻にして、そうでなくても側室にしようと考えたのです!
役所に連れてこられたマルガレタは、オリュブリオスに質問をされました。
「わしの名はオリュブリオス。この地方の長官である。娘よ、おまえの素性と名前と信仰を言うがよい」
「オリュブリオスさま、わたくしは由緒正しい家柄の生まれで、名前はマルガレタ。教会の信仰に身を置いております」
「ふ~む、おまえのたたずまいは気品に満ち溢れており、名前もマルガーリータ(真珠)の名に由来するにふさわしい美しさだ。だが信仰だけは感心できるものではないな、十字架にかけられた神などを信じておるとはな」
オリュブリオスが鼻で嗤いました。
「オリュブリオスさま、天にまします我らが神が十字架にかけられたとどこでお知りになられましたか?」
「そんなもの、教会の信者どものいろんな本に書いてある」
「その本には神様のご受難と共にご栄光も書かれています。あなたさまはご受難は信じるのに、どうしてご栄光も信じようとしないのですか?」
「なんだと!」
「我らが主は、わたくしたちの救霊のためにすすんで十字架にのぼってくださったのです。我らが主は永遠に生きておられるのです」
マルガレタが教会の信仰を説き始めたので、オリュブリオスは怒り出してこの娘を牢屋に閉じ込めろ!と命令しました。
こうしてマルガレタは牢屋に閉じ込められてしまいました。
数日を牢屋で過ごすと、再びマルガレタはオリュブリオスの前に引きずり出されました。
「愚かな乙女よ、おまえの美しさは惜しい。十字架にかけられた神のことなど忘れて、我らと同じ神を拝むのだ。今よりも幸せな暮らしができるぞ?」
オリュブリオスは猫撫で声でこう言いますが、マルガレタは毅然と首を振りました。
「わたくしが崇拝するお方は大地もふるえ、海もおののき、風もあらゆる生き物も畏れかしこむお方です」
「言うことを聞かぬのなら八つ裂きにしてやるぞ!」
「我らが主はわたくしたちのために死地へ赴かれたのです。わたくしもまた、我らが主のために死地へ赴くことをいといません」
このため、オリュブリオスの怒りは有頂天に達しました。
マルガレタは拷問部屋に閉じ込められて、鞭でめった打ちにさせてから羊の毛を梳く鉄の櫛で肉をひっかき続けられてしまいました!
しかしマルガレタは両腕を縦に構え、顔面を護るような防御技で凌ぎきりました。
一見すると腕で頭部を守っているだけに見えて、非常に高度な技術でボディや足までをカバーしておりました。
これこそ聖人レスラーに伝わる絶対防御の構え、聖体のカーテンでした。
この拷問は三日三晩続きましたが、マルガレタはなんとか生還を果たしました。
とは言え大きなダメージを負ったのは事実であり、見るも凄惨な流血をしたたらせています。
それでもなお毅然と長官へと言い放ちます。
「あなたは血に飢えた浅ましい獣です。こうしてわたくしの肉体に暴力をふるえど、わたくしの魂は永久に我らが主のものです」
さしものオリュブリオスもこの迫力を正視できず、マントで顔を覆ってしまいました。
こうしてマルガレタは、再び牢屋に戻されました。
牢屋の中で天の神様に祈りをささげて、ダメージを回復しながらマルガレタは思いました。
この一連の状況に、あの長官の意固地以外の邪悪な意思を感じる、と。
そこで天の神様に、
「主よ、どうかわたくしと戦う敵を目で見える姿でおしめしください」
と祈りました。
するとどうしたことでしょう!
牢屋の天井がひとりでに崩れて、天からぴかっ!と光が降り注ぎました!
「ゲギョ~~~! なんだこの光はーーー!!?」
そして光が差し込む一角に、とても凶悪そうな竜人レスラーが姿を現したではありませんか!
全身は黒いうろこに覆われて尻尾と悪魔の翼を有し、実に邪悪な顔の悪魔竜人!
「あなたがわたくしを陥れようとした真の敵!」
「ゲ~ギョゲギョゲギョ! よくぞ見破ったぁ~~~このおれさまこそ教会の信者からその信仰を奪うため、地獄からやってきたデビルドラゴンさまだ~~~っ!!」
「デビルドラゴン!」
マルガレタは現れた黒い竜人レスラーを恐れず、こぶしを握り締めて立ち上がります。
「あの長官をそそのかして、おまえを堕落させようと企んでいたというのに、しぶといではないかマルガレタよ~~~! 憎らしい女め!」
「わたくしが堕落することはありません。あなたの企みが成就することはないでしょう」
「ならばこのおれさまが直々に地獄に送ってくれるわ~~~! 覚悟しろマルガレターーーーッ!!」
デビルドラゴンが襲い掛かろうとしたその時です!
「その勝負、待つがよいーーー!」
その爪がマルガレタに届く前に大きな声が鳴り響きました。
見上げれば天が裂けて神々しい光が地を照らしたではありませんか!
そしてまばゆいばかりの光の中から、ふたりの天使が現れたのです!
「その勝負、宇宙聖人委員会が預からせてもらおう!」
「ゲギョ~~~!? おまえたちはーーー!?」
「宇宙聖人委員会委員長ミカエル!」
「副委員長ガブリエル!」
「我らの妹が打ち克つべき試練、ミスジャッジは許されぬ。だからこそ宇宙聖人委員会がこの試合を仕切らせてもらう!」
「父と子と聖霊の御名において、たとえどのような結果になろうとも公平な裁定を下すことを誓いましょう」
威厳あるミカエルとガブリエルの宣誓に、デビルドラゴンが大笑しました。
「ゲギョゲギョゲギョ~~~わざわざ教会の信者がやられるのをジャッジしに来たとは、ご苦労なことだ~~~! いいだろう、おまえたちはマルガレタがこのおれさまに地獄へ落とされるのをおとなしく見ておれ~~~っ! さぁ~~~これがおれさまたちの舞台だ! 出でよ牢獄リングよーーー!!」
デビルドラゴンが牢屋の地面を踏み叩くと、地鳴りと共にリングと観客席がせり出してきたではありませんか!
リングは牢獄リングと言われたくせに、牢屋をぶち破ってメッチャ外に展開されました。
そんな突拍子もないできごとに、道行く町の人たちが仰天してしまいました。
「ゲギョギョ~~~下等な人間どもよーーー! このおれさまが、この小娘を地獄に叩き落とすところをしっかり目に焼き付けるがよいわーーーっ!」
デビルドラゴンの大声に、
「うおおおおお! 聖人レスリングだ!」
「悪行竜人と正義聖人の試合があるぞーーー!」
「こんな試合をただで見れるなんてー!」
町の者たちはわっと観客席へと殺到しました!
「マルガレタ、がんばってー!」
その中には羊の番とレスリングを共にする仲間の乙女たちもおりました。
彼女たちの応援に頼もしく頷いてマルガレタはばさっと囚人衣を脱ぎ捨てました。
その下には鞭のようにしなやかな筋肉を包み込んだ水色のレスリングウェアが現れたではありませんか!
ただおっぱいはあんまりありませんでした。
マルガレタはスレンダーでした。
髪をアップにまとめて、マルガレタは青コーナーへと静かに歩み寄ります。
「聖ミカエル、聖ガブリエル、どうかわたくしの聖人レスリングをお見届けください」
赤コーナーのデビルドラゴンは、すでに準備万端で今にも飛び掛からんばかりに舌なめずりをしました。
こうして今、マルガレタとデビルドラゴンの戦いのゴングが鳴り響きました!
『あーっと、デビルドラゴンがゴングと共にマルガレタへとタックルを仕掛けたーーー!』
「セイッ!」
しかしそれを跳び箱の要領で躱して着地!
マルガレタは慌てて振り返ろうとしたデビルドラゴンを、背後からクラッチ!
そして後方へ反り返りました!
『鮮やかにマルガレタのバックドロップが決まったーーー!』
「ゲギョ~!」
「セーイッ!」
『背中から落ちたデビルドラゴンへ、マルガレタ追撃のニードロップーーーッ!』
「そうはさせるかーっ!」
マルガレタの膝を両手で受け止めて、デビルドラゴンが放り投げます!
巧みに着地したマルガレタへ、勢いよく飛び上がったデビルドラゴンが豪快なパンチを繰り出します!
これをマルガレタはさっと躱して、
『ローキック! ローキック! ローキック!』
一発、二発は鋭い音を立てて命中するローキックですが、デビルドラゴンは三発目をスネでカット!
にやにやとマルガレタをせせら笑います。
「軽い、軽いな~マルガレタ! そんな軽さで、このおれさまを倒せるかーーー!」
『デビルドラゴンの痛烈なソバット~~~ッ! マルガレタ吹き飛んだ~~~っ!』
「ぐぅ~」
大きく後退するマルガレタに、デビルドラゴンは怒涛の追撃に突っ込んでいきます!
ついにタックルでマルガレタの腰を捕らえました!
そして豪快にフロントスープレックス!
ゴシャァッ!
盛大な衝突音でマルガレタがマットに叩きつけられ!
「まだまだぁ~~~っ!」
『あーっと、デビルドラゴンさらに体勢を変えて再びマルガレタを持ち上げるーーーっ!』
「くらえ~~! デビルボム!」
「……ツッッ!?」
デビルドラゴンの強烈なパワーボムに、マルガレタの視界が明滅しました!
悲鳴を上げる観客たちを、デビルドラゴンはこれみよがしに腕を振り回して煽ります。
「クッ……ゥ……なんという威力……!」
マットを這いながら、マルガレタがよろよろと立ち上がります。
「ゲギョギョギョ~マルガレタよ、信仰を捨ててギブアップをすれば、もう苦い思いをせぬぞ」
「この苦しみは天におわす神の試練! 越えられぬ試練を、神は与えなーーーいっ!」
大きなダメージを負いながら、マルガレタは己を奮い立たせて前進します!
『マルガレタ、低空タックルーーー!』
「ゲギョッ!? 速い……っ!」
とっさに蹴りで迎撃しようとしたデビルドラゴンの股下をスライディングで通り抜け、
「確かにわたくしはおまえよりも軽い! しかし軽いということは速いということ! わたくしのスピードはおまえを翻弄する!」
『背後に飛び出したマルガレタが跳躍、そして打点の高い延髄斬り!』
「ゲギョ~~~!?」
『さらにデビルドラゴンの右腕を脇固めにして、体重をかけてデビルドラゴンをマットに叩き落すーーー!』
グシャーーーッ!
マルガレタとデビルドラゴンふたり分の体重を乗せて、顔面からマットに叩きつけられました!
頭からぶつかってデビルドラゴンの額のうろこがぽろりぽろりとこぼれます。
「小娘ーーーっ!」
抑え込まれた右腕をパワーで振りほどき、マルガレタも無理に抑え込みません。
ふたり同時にさっと立ち上がれば、デビルドラゴンがマルガレタの顔面に鉄拳を打ち込んできます。
『あーっとマルガレタ、デビルドラゴンの鉄拳の嵐を軽快に躱していくーーーっ! 速いステップだーーー!』
怒りで自制が利かなくなったデビルドラゴンが、パンチの腕を伸ばしてしまいマルガレタはそれを取ります。
『マルガレタの鮮やかな一本背負いが決まったーーーっ!』
「ゲ、ゲギョ~~~ッ!?」
背中からマットに叩きつけられ、さしものデビルドラゴンも悲鳴を上げました。
そしてマルガレタが掴んだ腕を引き上げて、デビルドラゴンをロープへと投げ飛ばしました!
反転したデビルドラゴンがロープを背に、勢いよく戻ってきます。
そのタイミングに合わせて、
『マルガレタのドロップキックーーーーッ!』
ドギャーーーーッ!!!
いかに体重が軽いマルガレタといえ、このドロップキックは痛烈にデビルドラゴンを吹き飛ばしました!
「ぐう~~~……いいだろう、マルガレタ~~~おまえのスピードは、このおれを上回っていると認めてやる~~~」
「わたくしを褒め始めるとは、どういう風の吹き回しですか」
「ゲギョゲギョギョ、それはこれから──」
めきめきめき
『あ~~~っと! デビルドラゴンの腹部が裂けて、牙が並ぶ大きな口が現れたーーー!!!』
「おまえが速かろうと関係なくなる、地獄の門を開いてやるからだーーー!!」
ズオオオオオオーーーーーー!!!!!
『デビルドラゴンの腹部の口が開き、とんでもない吸引力でマルガレタが吸い込まれるーーーーっ!』
「きゃーーーっ!?」
まさかの事態にロープを掴んで抗おうとするマルガレタですが、吸引力はどんどん強くなっていきます!
「さぁ~~~おれさまのヘルズゲートへようこそーーーっ!!!」
ついにその吸引力に抗えなくなり、マルガレタがデビルドラゴンの腹部の大きな口へと飲み込まれてしまいました!
『こ、これは……マルガレタはどこへ……!?』
さしものガブリエルも困惑しながら閉じたヘルズゲートを凝視するしかできません。
「ゲギョゲギョゲギョ、やつは地獄に落とされたーーー! このおれさまの腹の口は、地獄へとつながっているのだーーー! やつはもう二度と出られぬ~~~っ!」
『それでは試合は……』
「ふふん、確かにこれは試合だ。このままお仕舞とはいくまい。こうしてはどうだ? 特殊な場外という扱いで、フィフティカウントによりマルガレタが敗北するというのは!」
『グム~、そうするしかあるまい!』
ミカエルが非常に苦々しい顔でうなずきました。
こうしてガブリエルがカウントを開始します。
『ワ~ンッ! ツ~ッ! スリ~ッ!』
「いやー!」
「マルガレタ!」
「お願い、還ってきて~~~!」
観客席にいた、マルガレタと共に羊の番やレスリングをしていた乙女たちから悲鳴が上がります。
他にもマルガレタの美しさや人柄を知っていた者たちからもマルガレタコールが沸き上がりました。
デビルドラゴンはその悲壮な合唱を、腕を組んで不敵に嘲笑しながらカウントダウンを楽しんでおりました。
一方、ヘルズゲートに飲み込まれたマルガレタは光が一切差さない完全なる闇の中にいました!
「うう~体がバラバラになりそうな闇の圧力! 主よ! 主よ、どうかわたくしをお救いください……!」
上下左右もわからぬ無重力空間で、必死に両手を握り合わせて神へと祈りを捧げました。
しかし豁然と両目を開いて主の御心を悟ります。
「否、祈るではない! あがくのです! さすれば道は必ず開けるはずーーー!!」
肉体を引きちぎらんばかりの闇の圧力の中、マルガレタはむしろ前進しました。
それが前進であったかは分かりません。
なにしろ上下左右あるかどうかも判別できないひたすらの暗闇の中!
しかしマルガレタの胸の中には、天におわす主への信じる気持ちが満ち溢れているのです!
その希望を灯として進んでいくと、ふと光が見えました。
錯覚でしょうか?
いいえ、暗闇の中に穴が開いており、そこから一筋の光が差しているのです!
光の向こうを覗き込めば、なんとマルガレタはリングを見下ろしているではありませんか!
そうです、この穴はリング上空という、空間に開いた穴なのでした!
そう、この地獄はデビルドラゴンの内部にできた異空間ですが、当人にできた傷に応じた穴ができるのです。
この穴はマルガレタがデビルドラゴンをマットに叩きつけて、額からはうろこがはがれたことによりできた唯一の脱出経路!
『フォーティワン! フォーティツー! フォーティスリー!』
デビルドラゴンが勝利を確信し、カウントダウンがどんどん進んでいるのをマルガレタは目の当たりにします。
焦燥と、この穴さえ通り抜ければ戻れるという希望がないまぜになってマルガレタの胸で爆発します。
穴を開こうとしますが、マルガレタのパワーだけではびくともしません。
しかしカウントダウンと共に、マルガレタの耳には彼女を呼ぶ声が聞こえます。
羊の番とレスリングを共にする仲間たち。
町の善人たち。
同じ主をたたえる兄弟姉妹たち。
その声が彼女の胸に灯る希望の光に、勇気と力を与えました!
「主よ、わたくしを導き給えーーーーー!」
上下左右がないはずの暗黒の中でありながら、ゆるぎない直進で助走をつけて、
「クロスチョップ・セイントミサイルーーーーーッッ!!」
両腕を十字架の形に突き出したフライングアタックで、穴へと突っ込んでいきました!
両腕を十字架にしたことによる聖属性付与+マルガレタの堅信+仲間たちからの声援=超信仰!
マルガレタの聖人パワーが全開となったその一撃は、
バギャーーーンッ!!
ついに地獄に開いた一穴をぶち割って現世に戻ってきたのです!
「ゲギョ~~~!?」
『フォ~ティナイ~ン──帰還! マルガレタ帰還しました! カウントはフォーティナイン! 残りワンカウントで、マルガレタ奇跡の生還ーーー!!』
地獄から帰還した勢いのまま、クロスチョップ・セイントミサイルがデビルドラゴンに命中!
上空から降ってきたマルガレタに、デビルドラゴンが盛大に吹き飛びました!
「ゲ、ゲギョ~!? な、なぜだ!? このおれさまの地獄からどうやって脱出をーーー!?」
「十字架に懸ける我らの信仰心を舐めるなーーーっ!」
「ふ、ふざけるなよ、このアマ~~~っ!!」
『あ~~~っと、激昂したデビルドラゴンの両手がマルガレタの両手をクラッチ!』
「ならば飲み込むなどせずに直々にかみ砕いてくれるわーーー!!」
両手を握り合わせることで逃げ場をなくして、デビルドラゴンが腹部の大口でマルガレタへと噛みつこうと迫ります!
ガチーン!
間一髪、マルガレタは背を大きくのけ反らせてやり過ごします。
さらにそのまま大きく反り返り、いよいよブリッジの姿勢になってしまったではありませんか!
「セイーーーッ!」
マルガレタのブリッジがデビルドラゴンを跳ね上げます!
「デビルドラゴン! この技で地獄へ還るがいい!」
「ゲ、ゲギョ~~~~ッ!?」
マルグリットもデビルドラゴンを追ってジャンプ!
天高く打ち上げられて、態勢を直そうともがくデビルドラゴンの背中に乗って、その両腕をぐいと引っ張ります。
そしてマルガレタは右足でその後頭部を踏みつけて急速落下!
これこそマルガレタのフェイバリット!
「マルグリットメテオーーーーーッ!!」
ズガーーーーンッ!!!
両腕をロックされ、踏みつけられた頭部からマットへ落ちたデビルドラゴンは衝撃で体がバラバラになってしまいました!
「グゲギョ~~~~~ッ!!!?」
『決まったーーーー! マルグリットメテオがデビルドラゴンを粉砕! 試合終了ーーーっ!!』
カンカンカン!
マルガレタ勝利のゴングと共に、観客たちが立ち上がって沸き上がりました!
「ゲ、ゲギョ~馬鹿な~~~ま、まさかこのおれさまが負けるなど~~~!」
体がバラバラになり、消滅していくデビルドラゴンの頭部が悔し気にうめきます。
「これが信仰の力よ」
厳かなほどに神聖なたたずまいでマルガレタがデビルドラゴンの残骸を見下ろします。
「マルガレタ、次こそはおまえを地獄に落としてやる~覚えておれ~~~」
「いいわ」
ふっと、マルガレタが未だ収まらぬ闘気を微笑みに乗せ頷きます。
「わたくしの信仰心はおまえの企みを打ち砕くでしょう、何度でも……何度でも!」
「ググ~~~!」
苦し気で悔し気なうめき声を残して、ついにデビルドラゴンが消滅してしまいました。
リングの上にひとり残されたマルガレタが十字を切ります。
そしてマイクで観客へと語りかけます。
「悪霊は退けられました。しかしこの世界にはびこる邪悪は大気に満ちています。我らは闘い続けねばならないでしょう……しかし最後に勝利するのは、天にまします我らの主とその子らです、兄弟たちよ、姉妹たちよ!」
こうして町は平和になりました。
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