第3話

 もう一度、社の下へ潜ると1つの少し古びた箱が在った。紙で作られているのだろうか、耐久性は一体どうなっているんだ? こんな箱を俺は見たことがない。

 何か文字が書いてあるのだが、俺には読めない。知らない言語が書かれている。


 ここは、俺が暮らしていたニヤンチル王国とは違う国らしい。


 まぁ、取り敢えず覗いてみるか。


 どれどれ……。おや、これは可愛らしい……。


『みゃあ!みゃあみゃあ!』


 俺とは、毛並みが違うが端整な顔立ちをした猫の子供が箱の中に入っていた。

 どうして、こんな箱に入っているのだろう?


───……にゃ?



 あぁ、可哀想に。

 お前も親に捨てられたのか。


 俺は、この光景に見覚えがあった。勿論、こんな意味不明な箱の中に突っ込まれた光景どうのこうのではない。

 この雰囲気を知っているのだ。


 俺も、かつてこんな時があった。物心が付く前に親に捨てられたのか、俺は暗い裏路地で暮らしていた。

 町行くの高価な品をくすねたり、パン屋からパンを盗んだり。


 そんな、その日その日をやっと生き抜いていた俺を拾って養い育ててくれたのは、その町のギルド長だった。


 

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