第14話
「え〜と...アリアさん、だっけ。急に海斗君に話しかけてどうしたの?」
「……別に、クラスメイトに声かけたって問題はないてしょ。」
異能の獲得に近づけたかもしれないという事実と先輩を肩車しながら走った疲労から恵魔たちの会話も頭に入ってこない。
「……問題はないんだけど、あまり人に話しかける姿見てなかったから珍しいな、と思ってね。」
「べ、別に何かあったって訳じゃないから。」
「…………それだけ、それだけだから。じゃぁね。」
よくは聞こえなかったが、要件だけを言って足早にその場から去ってしまった。
だが、その横顔はどこか少し赤く見えたような気がした。
「…………それで、アリアさんと何かあったの?」
色々なことがありすぎて意識を飛ばそうとして聞こえた恵魔の言葉。いつも通り、幼馴染を心配するようなその言葉。
だが、その言葉とは裏腹に彼女の表情は見たこともないような表情で、そして、この記憶も...........
〜〜〜
「あ〜よく寝た。」
「本当にそうね。あんたは、何のために学校へ来てるのかしら。」
眠い目を覚ますため、部室へ向かう道中に背伸びをする。そんな姿を見て彼女から再び呆れられたようにため息を吐かれる。
「それで今日は何をするんですか?」
「私もあんたを連れてこいとしか言われてないから分からないわよ。」
何をするのかは結局分からなかったが、活動もそれなりにありそうだし、幽霊部員ならぬ、幽霊部活ではないのだとわかり、一安心する。
それにしても一体何をするのだろうか?
〜〜〜
「よくぞ、参った、後輩くん!! さて、尋常に勝負!!」
「けったいなこと言わんといて、少し落ち着きいや。」
部室に入ると、すぐ戦道先輩にバトルを挑まれたが、彼女の宣言も虚しく、部長の一言でこの場はおさめられた。
……バトルはともかく気というものが得られる特訓自体はやってみたいのだが、土下座して頼んだら付き合ってくれるだろうか?
「それで今日は何をするんですか?」
気というものにもやはり興味はあるのだが、今はそれよりもここに呼ばれた理由を知る方がいいのだろう。気というものにやっぱり興味はあるのだけど。
「せやせや。そっちの話で読んだやったんやな。」
「先日の頼み事、よう頑張ってくれはったから、激励をしよかと思ってな。」
何を言われるのかと、内心ソワソワしてしまったが、言われるのが激励となると、少し気落ちしてしまう。
と言うか、頼み事はされたが、メガネで見えた敵を殴って倒すゲームをしていただけなんだけどな。何が頼み事だったのだろうか?
ーーいや、待てよ。………なるほどなるほど、そういうことか。
要するに先輩はそういう体にしたいのか。そうかい、そういうことなのかい。
「この前のあれで分かったかも知れへんけど、うちらの部の活動はいろんなところからくる依頼に答えるちゅう、いわゆる何でも屋みたいなことしてるんや。」
「この前みたいな化け物退治だけじゃのうて、それ以外にも色々とな...」
「あとは......異能の特訓とか。」
彼の発言で再度理解できた。
やはりここの部活ではそういう体なのだろう、と。
こんなに異能を愛している俺でもこう見えて最低限の常識は持っている。だからこそ、気づくことができたが........
ーー部活動には名目が必要なのだ。
要するにその部が持つべき、活動目的というものだ。
運動部であれば試合や大会に優勝することであったり、文化部であればコンテストに出たり、地域や学校に貢献したりといった活動する意味が必要なのだ。
ならば、ここはどうだろう?
今まで見たのはVRメガネのようなものを付けて、現れた敵を殴って倒す。
あと加えて言えば、部屋でマジック用の日を放つやつだっていた。
この部活が入りたいがためだけにこの学校に来た俺が言うのも変なものだが.......
こんな部活が学校にあって言いわけがない!!
だからこそ必要なのだろう。部を存続させるための大義名分が。
それがこの前みたいに依頼を解決することであったりするわけだ。
ならば、俺は部の存続のために業を背負おうではないか、例えそれが許されざることであったとしても。
「ちゅうわけやから、バンバン依頼解決してこか。今日も依頼来とるから頑張ってな、」
いつの間にか、また依頼を行う流れになったが、部の存続が掛かっているのだから、ここは喜んで受けよう。
「それで今回の依頼は?」
「せやな、今回の依頼はこのメンバ―で行ってもらおうか.......」
少し緊張した心持で部長から依頼内容と参加するメンバーの書かれた紙が渡される。
「これは......」
~~~
「はぁ...はぁ...」
一面が草木に覆われたこの空間。。まさかこんなことになるなんてな......
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