第8話
前回までのあらすじ
みなさん、こんにちは。成宮海斗です。
本日は念願だった頂が原高校に入学して、最高の高校生活を送るため、全国でも両手で数えられるほどしかないこの異能研究部に入部する予定だった。
だがしかし、実際に入ろうと思ったら、この部活に所属している部員全員の許可が必要だったらしい。しかもそれを1ヵ月以内にやるというなかなかに大変な条件だった。
そう、これが前回までのことである。
それで今、現在はと言うと.......
「何で俺ら、学校の裏山なんかに来てるんですか?」
ここ、頂が原高校の裏山に来ていた。
先ほど話していた糸目の男の人は先輩だったらしく、さらに言えば異能研究部の部長さんでもあったらしい。
それで、その部長さんから「裏山でちょいとやってほしいことがあんねんな。あんさんの初めての仕事ださかい。気引き締めていきや。」とか何とか言われて来たのだが......
「ほら、早くしなさいよ、成宮海斗!!」
「そうだよ。初仕事で初実戦!!頑張って行くしかないね!!」
本来は1人でやる仕事なのらしいが、初日だということもあり、今日は2人の付き添いをするという形で見学をというすることになった。
1人は先ほどの戦いで少しは仲良くなった気がする陣条さん。そして、もう1人は......
「やっぱり何やるにしてもやる気が大事だからね! 頑張っていこう!!」
見た目や言動、立ち振る舞い。その全てから元気が伝わってくる、この人。
名前を
セミショートで太陽のように煌めく茶色の髪に、大きく開いた目は天真爛漫な少女のような彼女を表しているようだった。
先ほど、僕の入部に反対していたうちの1人だが、話してみると優しいし、こうして歩きながらも新人の俺ことを気遣い、応援するような声掛けをしてくれている。見た感じと話した感じでは一番関わりやすい人ではありそうだった。
だが、正直そんなことはどうでも良い。いや、どうでも良くはない!! 良い先輩であるのは間違いないのだから、敬いこそすれぞ、貶されるべきではない!!だが、一つ気になることがある!!
「……せ、先輩。」
「うん? なんだい、どうしたんだい?」
「……あ、あの、一つだけ気になることがあるのですが....」
「おう、なんだいなんだいい!! 気になることがあるのならなんでも聞いてくれよ。なんてたって僕は君の先輩なんだからね!!」
「…………それならば失礼して...」
「いいぜ、ばっちこい!!」
「……なら、失礼して。」
「うん、うん。」
「……あの、先輩。」
「うん、うん。」
「……な、何で...」
「うん、うん。」
「……何でブルマなんか履いているんですか?」
「………………………………うん?」
そうなのだ。この人は上が学校指定の体操服、下はブルマという変な格好をしているのだ。それなのに陣条さんは気にした様子もなく、歩き続けているし、こういうのにいち早く反応しそうなものなのにな。
というか、部室に入る前からこの格好だったよね!! 何で誰も気にしてないの!!
「……………先輩、後輩と言う立場から失礼を承知して言わせていただきますが、この世にはTPOという言葉があります。」
「うん?」
「先輩とは今日初めて会って、これまでどんな生活をしてどのように生きて来たかは分かりません。」
「…………うん?」
「もしかしたら先輩がブルマを履くのに何かただならぬ過去があるのかもしれません。」
「………………………うん?」
「だとしても、この世にはTPOが存在しますから、人として生きる以上、ある程度その常識を守らないといけない。」
「………………………………………うん?」
「話わかってますか、先輩?」
「………………でも、学生ならすごい変ってわけじゃないよね?」
「…まぁ、そうですね。学校によっては体操服で登下校をしたりするところもありますし、特別変なことではないと思いますが...」
「大前提に、うちの学校の指定されている体操服がブルマじゃないですから!! なんでそんなの履いてるんですか!?」
そう、そこなんだ。何で学校指定でもない、ブルマを履いているんだと問いたくなってしまう。
俺自身、昔から気になったことをそのままにして置けない性質だったから、異能についてこんなにも調べているのだと思うが、それにしてもこれは気にならないか?
何で誰もツッコまないんだ!?
「………………………そういうもんなんだ。わかった。でも、僕はこの服装変えないよ。」
「………………………わかりました。でも、普通にここら辺山の中でその格好だと危なそうなんで、今日間違って持って来たジャージかあるんでこれ来てください」
「………よし! 新しい後輩からの頼みだし、しょうがない着てあげよう!!」
「……ありがとうございます。」
……まぁ、いいか。もう深く考えるのはやめよう。
「結構独特な人だな。」
「………あんたがそれ、言うのね。」
何か前の方から馬鹿にしたような声が聞こえたような気がしたが........まぁ気のせいだろう。
「それで結局僕らはどこに向かっているんですか?」
「あと少しで着くからもうちょっと我慢してなさい。」
まだなのか。もうかれこれ10分ぐらい登っている気がするのだがな。
〜〜〜
「……よし、ここら辺でいいかしら。」
「ほら成宮海斗、これ受け取りなさい。」
やっと到着したのは裏山の中間付近で、少しひらけた場所だった。そして、渡されたのは......
「……メガネ?」
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