3 初めて笑ってくれたにゃん。
『私って生まれてきちゃいけない存在だったのかな…』
"この怪物めっ!"
"おまえは人間の敵だ!"
『私には居場所がないのかな…』
"ここからすぐ出ていけ!"
"おまえのような奴に居場所なんかないぞ!"
『私はただ人間達と仲良く暮らしたいだけなのに…』
"きっと私達を油断させて
喰い殺す気だったんだわ!"
"だったらこっちから殺してやる!人間様をなめるなよ!"
『私はそんなことしないよっ!
だからやめて、攻撃しないで!』
【いくら言っても無駄だよ…
人間と"ボクら"は憎しみ合い、殺し合う運命なんだ…
だから、○○も殺しちゃいなよ。あの人間達を…】
『やめて!どこの誰だか知らないけど!
私の心の中で囁かないで、私はそんなのこと望んでなんかない!』
【あがくのはやめなよ…君は○○なんだから、その立場からは逃れられないよ?
君は人間を殺すためだけに生まれてきた存在なんだ…
さぁ、楽になりなよ、○○】
『やだ!やだ!聞きたくない!
誰か助けて、私をこの呪縛から開放して!!』
「はっ!はぁはぁ…はぁはぁ…なんだ夢か…
あれっ…ここは…どこ?どこかの…部屋?
私は確か…身知らぬ森にいたはず…なのになんで…」
「よかったぁ。気がついたみたいにゃね。」
「ニーナお姉さん…?どうして…?」
「スフィア、心配したんにゃよ…?
いきなり気絶したように眠るから…?」
「そうなの…?」
「うん、だから、私の泊まってる宿まで連れてきちゃったのにゃん…
迷惑だったかにゃん…?」
「ううん、ありがとう…」
「感謝なんていいにゃん、気にしないで!
それよりまだ寝てなくて、いいのかにゃ…?」
「うん、だいじょうぶ…」
「どこか具合の悪いところもないかにゃ…?」
「特にはないけど…?」
「そっか、ならよかったにゃん…」
女の子はじっとニーナを見つめた。
「にゃ?どうかしたかにゃん?」
「お姉さんって人間なの…?それとも私と同じ…」
「私は人間だにゃん。」
「本当に?でもその猫耳と尻尾…」
「これはつけ猫耳とつけ尻尾にゃん。」
ニーナは猫耳を外して見せた。
「じゃじゃあ…語尾ににゃんってつくのは…?」
「私は猫だったからにゃ、にゃんとつけないと落ち着かないのにゃん。」
それを聞いて女の子はポカーンと言う顔をしていた。
「ニーナお姉さんみたいな人、私、初めて会ったかも…?」
「みんな、そういうにゃん、何でかにゃん…?」
「ふっふ、ニーナお姉さんって面白い人だね。」
「そっそうかにゃん…?」
「そうだよ。」
女の子は無邪気に笑っていた。
「でもよかったにゃん、まだ出会って間もないけど、スフィアの笑った顔が初めて見れたから。」
「そっそうだった…?」
「うん、ずっと怯えた表情をしてたにゃん?」
「そっか…ちょっと見せるの恥ずかしいな…」
「そっそんなもったいない!スフィアの笑顔すごく可愛いんだから!
もっともーと見せてほしいにゃん!」
「かっ可愛いって言った…?」
「言ったにゃん、まるで天使みたいだったにゃん。」
「そっそんなこと…初めて言われたよ…
天使だなんて…私には角があるのに…」
「でも私にはスフィアは天使に見えるにゃん。」
「・・・・・・本当に…?」
「本当にゃん。」
「あっありがとう…すごく嬉しいよ…」
「こちらこそ、ありがとうにゃん。」
「えっ…?どうしてお姉さんが…?」
「うーん、それは秘密にゃん。」
「え〜!ずるいよ!」
「にゃはは。」
私は大好きなサラにそっくりなスフィアが笑ってくれたことに心から嬉しくなっていたのにゃん。
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