2 運命の女の子との出逢いにゃん。
「はぁはぁ、確か、この辺から
声が聞こえてきたはずにゃん、どこにゃ、どこにいるにゃん!」
モンスター退治に来ていた森の中で、私はスキルの聴力強化によって聞こえてきた、助けを求める女の子の声がした場所まで、全力で走っていたにゃん!
『ゴォンッ!!ゴォンッ!!』
「見えたにゃん!」
そこには怒り狂って、今にも襲いかかりそうなツノ・フォックスの姿と
木に背中を持たれて怯えているように見える
大きい帽子を深くかぶり白いワンピースを着た、女の子の姿があった!
「ゴォンッ!!」
「ゆっ…許して…」
「ゴォンッ!!」
「ひっ!」
(私…殺されちゃうの…?
そんなの…やだ…やだ…誰か…誰か…)
女の子は震えながら、目を閉じて祈った、すると…
「猫の爪キャット・クロー!」
「コォォン!!」
「えっ…?」
女の子が恐る恐る目を開けると、目の前にニーナが居た。
「間に合ってよかったにゃん。」
「猫耳と尻尾がある…人間のお姉さん?」
「遅くなってごめんにゃ。」
「あっ、さっきのツノのある子…
動かないけど、あなたが倒したの…?」
「そうだにゃ、君、怪我はないかにゃん?」
「うっうん…だいじょうぶ…」
「にゃ、本当に?震えてるけど、どこか痛い所があるなら、遠慮せずに私に言って…」
「それ以上、近づかないで!」
「にゃ!?」
女の子はニーナの手を払い、帽子を深く被った。
「ごっごめんなさい…大声出して…」
「いいにゃよ、君はわるくないにゃん。
いきなり近づいたから、驚いたんだよね?」
「うん…そうなの…」
「それなら仕方ないにゃん。」
「お姉さん、許してくれるの…?」
「私の方がわるかったにゃん、ごめん。」
(帽子を深くかぶっているから
顔はよく見えにゃいけど。
きっとこの子、照れ屋に違いないにゃん。)
「ありがとう…お姉さん…優しいんだね…」
「なんか照れるにゃん…」
「もしかしてお姉さんって…」
「あっ、そうだにゃん…
君、ちょっと待っててくれるかにゃん…?」
「うっうん…?」
(何しに行くだろう…?)
「ごめんにゃ、痛くして…
君もちゃんと素材にするからにゃ…」
(えっ…さっき倒したモンスターに謝ってる…?)
そして素材を手に入れると、女の子の元に戻ってきた。
「お待たせしたにゃん。」
「お姉さん…」
「あっもしかして、素材を取ってる所、グロかったかにゃん…?
ごめんにゃん!別な所でやるべきだったにゃね…」
「そうじゃなくて…」
「にゃ…?違うのかにゃ…?」
「どうして、倒したモンスターに謝ってたの…?」
「ああ、あれはにゃ、私の爪で切られて
痛かっただろうなって思ったからにゃん…」
「えっ…?それが理由なの…?」
「うん、そうだよ。」
(このお姉さん、不思議だ…
私が今まで会ってきた人間達と何か違う…)
「お姉さん…聞いてもいいかな…?」
「んっ?何かにゃん?」
「もし私が普通の人間じゃないって言ったら驚く…?」
「普通の人間じゃない…?」
「殺したりする?」
「そっそんな、しないにゃん!」
「そっか…じゃあ…その言葉、信じるね…」
帽子を取った女の子の頭には角があった。
「えっ…?」
「やっぱり怖いよね。私の姿…」
しかしニーナの反応は違った、涙をポロポロと溢れさせたのだ。
「えっ!お姉さん、どうして泣いてるの?
もしかして、そんなに怖かった…?ひゃっ!」
ニーナは女の子を強く抱きしめた。
「なっ何で抱きしめるの…?
私の姿が怖かったから泣いたんじゃないの…?」
「確かに彼女は頭には角があって
普通の人間ではないかもしれないにゃん…
けど怖いはずあるわけないにゃん…
怖いわけ…だって…だって…その姿は…」
「お姉さん…?」
「サラに似てるにゃん…私の何より大切で、大好きなあのサラに…」
「さっサラ…?その子って一体…?」
「うっう、サラ…」
温もりを噛みしめるようにさらに強く引き寄せた。
(でも不思議だ…嫌な気がしない…
少し、このままでいてあげようかな…」
「サラ…」
(温かい…そっかぁ…人間に抱きしめられるとこんな感じなのか…)
女の子もニーナの温もりに浸っていた。
「そういえば、君の名前をまだ聞いてなかったにゃん…」
「私の名前はスフィア…」
「スフィアか…」
「お姉さんの名前は…?」
「私の名前はニーナ…」
「ニーナお姉さんか…ニーナお姉さんって…あっ…」
「えっ!スフィア!どっどうしたにゃん!」
女の子は眠っていただけだった。
「何だ、寝てるだけか、よかった…」
「スゥゥ…スゥゥ…」
「やっぱり…サラにそっくりだにゃん…」
私の肩に寄りかかって眠っている
あの大好きなサラにそっくりなスフィアをほっとけるはずもなくて、自分の泊まっている宿まで連れて行くことにしたにゃん。
−神聖な空間−
『ニーナさんのお願い、二つとも叶えられましたね。やっと肩の荷が下りましたよ。
これからはニーナさんがどうなさるかです。
私は信じていますよ、あなたなら、今度こそ"あの子"を救って、幸せにしてあげられると…』
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