1 運命は動き出したにゃん!

「え〜と今日の依頼内容は、にゃににゃに?

 町のすぐ近くの〚メグリアイの森〛に

 最近、よく出没してはそこを通る町の人や旅人を襲う、頭に角があるのが特徴の少し大柄な狐のモンスター、ツノ・フォックスを確認されている数、3匹を退治して、さらに素材となる毛皮と角を回収してくることにゃか…これはまた大変そうだにゃん…」


それもそのはずだにゃん、だってこの依頼は

本来、私みたいな個人で活動している冒険者じゃなくて、パーティーを組んでいる冒険者に受けてもらうような内容だって

頼んできた受付のお姉さんも苦笑いをしながら話してたもんにゃ…

でもその後に"今、この町は田舎のために冒険者不足で、冒険者の数が足りてないことから、多少、無茶だと思っていても、個人で活動している冒険者の方にお願いするしかないんですよね…"って申し訳無さそうに言ってたにゃん…

まぁでも、その分、無茶をさせるということで

報酬は2倍に増やしてくれるらしいから、別にいいんだけどにゃ。さて、そうこうしてるうちに目的地の森に着いたにゃん。


「ふぅ、今日もお仕事、頑張るにゃん、自分!」


ニーナは気合を入れ直すと森の中に入った。


「じゃあ、さっそくあれを使うとするかにゃん。

 動物能力(猫)の聴力を強化!」


【本人の強化の『意思』を確認。

 スキル:(レア)

 動物能力(猫)の聴力を強化。】


《チュンチュン…クゥゥン…シャアシャア…

コーンコーン…グォグォ…》


「にゃー、聞こえてきたにゃん…」


今、私が耳をすませて何を聞いているかというと、この森の中にいる全てのモンスター達の鳴き声を聞いているのにゃん。

なぜ聞くことが出来るのか気になるって?

それはさっき唱えたスキルで聴力を強化したからにゃん。

強化すると何が変わるんだにゃって?

強化するとだにゃ、にゃんと私の聴力を通常のさらに何十倍にまで上げることが出来るのにゃ。

人間に転生しても聴力が猫の頃のまま変わらなかった私にとって、何十倍も上がるということは

相当すごいことにゃ、遠くの音を何でも聞くことが出来るのにゃん。


「確か、ツノ・フォックスは

 コーンって鳴くって受付のお姉さんに教えてもらったにゃん…

 にゃ…どれどれ…にゃるほど、あっちに一匹…そこから少し離れた場所にもう一匹…

 さらに奥にもう一匹いると…これでいる位置は大体、わかったにゃん。」

 

私はさっそく近い場所にいる

ツノ・フォックスのもとへ向かったにゃん。


「コーン。」


「あれがツノ・フォックスにゃか。

 思ってたより、大きいにゃん、まぁ、でも勝てない相手じゃないはずにゃん。

 動物能力(猫)の攻撃能力を開放!」


【本人の使用の『意思』を確認。

 スキル:(レア)

 動物能力(猫)の攻撃能力を開放。】


私はスキルを唱えて、自分の両手を猫の手に変換させたにゃん!


「準備は出来たにゃん、行くにゃん!」


ニーナは草むらから対象めがけて飛び出した!


「ココン!?」


「あなたに恨みはにゃいけど、許してにゃん!

  猫の爪(キャット・クロー)!」


「コォォン!!」


ブシャッ!ブシャッ!とニーナの攻撃をまともに受けて、ツノ・フォックスは即力尽きた。


「ごめんにゃ。ちゃんと素材にするからにゃ。」


ニーナは頭を撫でて謝ると、ツノ・フォックスから素材を取った。


「ふぅ、じゃあ、次のツノ・フォックスの所に。」


−それから5分後−


「ゴォン!!」


「確か、受付のお姉さんの話だと

 怒るとあのするどい角で突き刺さすために

 体当たりしてくるって言ってたにゃん…」


「ゴォォォォン!!」


「来たにゃん!」


ニーナに向かって、ドタッドタッ!と物凄い速さで走ってきた。


「でも残念、当たらないにゃん。」


それを焦ることなく躱したら、ドスッ!とツノが木に突き刺さった。


「ゴォンッ!!」


それを引っこ抜いたら、木に風穴が開いていた。


「確かにすごいにゃん、あんなので刺されたら、ひとたまりもないにゃんね…」


「ゴォォォォン!!」


「ごめんにゃ、遊んであげるのはここまでにゃ

 動物能力(猫)の跳躍を強化!」


【本人の強化の『意思』を確認。

 スキル:(レア)

 動物能力(猫)の跳躍を強化。】


そしてニーナは空高くジャンプした。


「ゴォン!?」


「くらうにゃん!

 空中からの猫の爪(キャット・クロー)!」


「コォォン…」


ニーナは二体目のツノ・フォックスを倒した。


「あなたもちゃんと素材にするからにゃ。」


そして二体目のツノ・フォックスからも素材を取った。


「ふぅ、あと一匹だにゃん…

 あと一匹はここから離れた森の奥にいるみたいにゃから、もう一度、位置を確認するかにゃん…」


ニーナは耳をすませて集中した。


《チュンチュン…クゥゥン…シャアシャア…

グォグォ…ゴォンゴォン…》


「なるほどにゃ、ちょっと場所を移動してるみたいにゃ。ここからだと…たぶん…」


『た……て…』


「にゃ?にゃんだろう、今のって…?」


『助けて…』


「モンスターの鳴き声じゃない…?」


『誰か…助けて…』


「こっこれってまさか、人間の女の子の声かにゃん!?」


『助けて…』


「助けを求めてみたいだにゃん!

 どこにゃ、どこにいるんにゃ!?

 弱っている声のせいか、上手く聞こえない!」


『誰か…』


「集中するにゃん、そしたらきっと…」


『ゴォン!!』


「にゃ!今の鳴き声って!さらに集中するにゃん…」


『助けて…』


『ゴォン!!』


「はっ!やっぱりにゃん!

 この声の女の子とツノ・フォックスが近くにいる!

 つまり、そっそういうことかにゃ!

 だったら急がなくちゃ、こういう時には!

 動物能力(猫)の脚力を強化!」


【本人の強化の『意思』を確認。

 スキル:(レア)

 動物能力(猫)の脚力を強化。】


「待っててにゃ!今すぐ行くからにゃ!」


ニーナは猫だった頃と同じように

背中を丸めて、地面に両手をついたら

そのままの体勢で全力で走り出した!


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