プロローグ⑫(私、可愛い防具を手に入れたにゃん!)

「ハァハァ…お姉ちゃん、ただいま!」


「おう、お帰り。

 てかなんでそんな疲れてんだ、おまえ?」


「そんなことどうでもいいからさ…

 ハァハァ…しばらくの間、お店で騒がしくするからよろしくね!」


「おいおい、帰ってきて早々、何、迷惑客宣言してんだ!

 それとおまえが連れてきたその子は誰だよ…?」


「あっそうだった!紹介しなきゃだよね!」


「にゃにゃ!」


「彼女の名前はニーナさん!

 昨日、話してたでしょ、自分の同志さんだよ!」


「ふ〜ん、あんたがあの不思議ちゃんか。」


「にゃ?不思議ちゃん?」


「アタシはサリーの姉のレイアだ。

 この店の店長をやってる、よろしくな不思議ちゃん。」


「うっうん、よろしくにゃん…?」


「じゃあ、ニーナさんちょっと待っててくださいね!

 すぐに衣装とカメラを持ってきますから!」


「にゃ?あっうん、わかったにゃん?」


サリーちゃんは慌てて、店の奥にある部屋に入って行ったにゃん!


「あはは、すまねぇな、いちいち行動がうぜぇ妹でよ。

 自分の好きなことになると変にテンションが上がっちまう奴なんだ、まぁ、でも仲良くしてやってくれ。」

 

「こっこちらこそにゃん…」


「あんた、サリーの言ってた通り、本当に語尾に、にゃんってつけて話すんだな?」

 

「そうにゃけど?」


「そのつけ猫耳とつけ尻尾をつけてるのは

 やっぱ趣味かなんかなのか?」


「これがすごく落ち着くのにゃん。

 猫だった頃を思い出せるからにゃ。」


それを聞いてレイアは煙草をくわえながら、ポカンとしていた。


「やっぱりあんた…不思議ちゃんだわ…」


すると扉を勢いよく開けてサリーが出てきた。


「ニーナさん、お待たせしました!」


サリーは衣装を渡した。


「意外と重い!」


「これが自分の作った

 自信作のゴスロリ系防具ドレス装備です!」


「ゴスロリ系防具…にゃんだって…?」


「ゴスロリ系防具ドレス装備です!」


「コスプレ衣装じゃにゃいの…?」


「実は自分が今、着ているこのロリータ服も防具なんです!」


「そうなのかにゃ…?」


「ニーナさん、思い出してください!」


「また顔が近いにゃ…」


「自分、今日はずっとこの格好でしたよね?

 それこそ、モンスター退治の時にも!」


「確かにそうだったにゃんね…それが…?」


「自分が作った衣装は見た目はすごく可愛くても!ちゃんとした防具なんです!

 それにこう見えて、防御力だってすごいんですから!」


「そっそうにゃの…?」


「はい!自分がこだわって選んだ

 最高の素材を使って、作ってますから!」


「そっそうにゃんだ…?」

  

「どうですか?気に入っていただけましたか?」

 

「可愛い衣装だとは思うにゃん…?」


「ほっ本当ですか!?」


「うっうん!」


「よかった、気に入ってもらえて〜!」


「でもこれを本当にもらっていいにゃか…?」


「ニーナさんに自分の作った防具を

 褒めていただけて、すごく嬉しかったんです!

 だからむしろこっちが着て欲しいぐらいなんですよ!」


「そっそっか…じゃあ、遠慮なく、もらうことにするにゃ…」


「はい!どうぞ!」


私はサリーちゃんからゴスロリ系防具ドレス装備(略してゴスロリ装備)をもらったにゃん。


「あの…さっきお願いしたと思うんですけど…

 その防具をニーナさんが装備している姿を

 このカメラで撮りたいんです…いいですか…?」

 

「まっまぁ、約束だからにゃ…いいよ?」


「あっありがとうございますぅ〜!

 試着室はあそこにあるので

 さっそく着替えて来てもらってもいいですか?」


「はっはい…」


私はサリーちゃんの輝く目には勝てず、貰った服を着ることにしたにゃん、まぁ本当に可愛いから…いいけども…


「サリーよかったじゃねぇか、またおまえの趣味を理解してくれる友達が増えてよ。」


「よかったよ。自分の趣味の喜びを分かち合える人間はこの世界でお姉ちゃんとアンナちゃんだけだと思ってたから。」


「まぁ、アタシもよくわかんないんだけどよ、あはは。」


「でも自分の発想と趣味をバカにはしなかったよね。

 だからお姉ちゃんの事、好きなんだ。」


「ばっばか、いきなり何、恥ずいこと言ってやがんだ?」


「照れてるんでしょ?」


「うっうっせな、んなわけねぇだろ。」


「お姉ちゃんってば、素直じゃないんだから。」


「ふんっ、なんとでも言え。」


「サリーちゃん、着替えたにゃん、出てもいいかにゃ…?」


「はい、どうぞ!」


試着室のカーテンを開いて、ふわり、ふわっとスカートを揺らしながら現れたニーナは可愛くお人形のようだった。


「うおおお♡」

「はわぁぁ♡」


「どうかにゃん…?似合うかにゃん…?」


「かっ可愛いです♡

 流石、自分が作った可愛い防具を着ただけはありますね♡

 あっ!ニーナさん自身もすごく可愛いんですよ!」


「にゃはは、ありがとうにゃ…

 レイアさんはどう思うかにゃん…?」


「オッホン、まぁまぁ、似合ってるじゃねぇか…?」


「そっかぁ、そう言ってくれて、よかったにゃん。」


(やべぇ♡可愛いすぎる♡)


「じゃあ、写真を撮らせてもらいますね!」


「はっはい!」


カシャ!カシャ!と次々に写真を撮っていった。


「いいですね〜♡最高です〜♡

 出来ればでいいんですけど!

 ポーズとかお願いできますか!」


「にゃ…?たとえばどんなのにゃ…?」


「たとえばですね〜!」


私はサリーちゃんの指示のもと

ひたすら色んなポーズを決めて

写真を撮られまくったのにゃん!


−それから30分後−


「はにゃぁ、疲れたにゃん…もう流石にいいかにゃん…?

 たくさん写真撮ったと思うんにゃけど…?」


「そっそうですね、夜遅くまでありがとうございました!

 おかげでまた次の可愛い防具のインスピレーションが湧きました!」


「そうなのかにゃ…?」

 

「はい!あの〜それでお願いがあるんですけど…」


「なっ何だにゃん…?」


「一つ作るのに一ヶ月はかかるんですけど

 もし思いついた可愛い防具が完成したら

 今日みたいに着てもらって、撮影させてもらえないかな〜って

 もちろん!着た防具はそのままプレゼントするので!どうでしょうか?」


「にゃはは…いいにゃんよ…」


「あっありがとうございます!

 お姉ちゃんもいいかな、その時はまた店だと思うんだけど?」


「すっ好きにすればいいだろ、私はどうでもいいぞ…」


「そっか、ならよかった!」


「じゃあ、私、宿に帰ることにするかにゃん…」


「近くまで送りますよ!

 お姉ちゃん、家に先に帰ってるね!」


「おっおう、気をつけて送ってけよ。」


「わかってるってば。」


二人はお店を出た。


「ニーナか…不思議ちゃんだけど。

 すげー可愛い子だった、アタシ、あの子のファンになるかもしれんな…」

 

レイアは一度会っただけで

ニーナの可愛さに夢中になりかけていた。

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