プロローグ⑩(私、初めて戦闘したにゃん!)

「ヴヴヴッヴァヴ…」


「ゴクリッ。サリーちゃんとはさっき離れちゃったし…

 私だけで戦うしかにゃいんだよね…この状況…」

 

「ヴヴァ!!」


「にゃぁっ!」

(頭ではわかっててもすごく恐いにゃん!

 でっでもこのまま逃げるわけには…

 やっやるしかにゃいにゃん…)


「ヴヴァ!!」


「にゃぁっ!」

( おっ怯えるにゃ私…あっちが威嚇してくるなら、こっちも威嚇してやるのにゃん!)


「シャァー!!」


私は猫だった頃と同じように

地面に両手をついて、背中を丸めた状態で威嚇をしたにゃん!


「ヴァヴ!?」


(やった!相手が少し怯んだ気がするにゃん!

 この好機を逃さずに次は爪で引っかき攻撃を…

にゃぁ!?そっそういえば!

 私って今、人間だったにゃん!

 どっどうしよう、神様は猫の能力をそのままにするって言ってたけど…

 人間の爪で引っかいても効果ってあるのかにゃ…?)


「ヴヴァ!!」


(かっ考えてる暇にゃんてないにゃん!

 とにかくやってみるしかにゃいにゃん!)


「にゃー!!」


私は今は人間の爪だけど

猫の頃と同じ引っかき攻撃をしたにゃん!


「どっどうにゃ…?」


「ヴヴヴ…?」


(って、やっぱり全然、効いてないにゃん!)


「ヴヴヴァ!!」


「にゃわわわ…」

(さっきより怒ってる気がするにゃん…)


「ヴヴヴァヴァ!!」


ついにキレ・ウルフはニーナに飛びかかってた!


(にゃー!?こうなったら一か八かにゃん!)


危機的状況に追い込まれたニーナはぴょん!!と高くジャンプして近くの木の枝に登った、まるで猫だった頃のように。


「ヴヴヴ!?」


「にゃっ?本当に跳べた…?」


「ヴヴヴァヴァ!!」


「でっでもどうしようかにゃ…

降りたら、確実に殺られちゃうにゃ…」


「ヴヴァ!!ヴヴァ!!」


「木に体当たりはしてくるけど…

登ってくる気配にゃいな…このまま諦めて去るまで、ここでやり過ごすしかにゃいかな…」


その時、ふとサリーちゃんに言われた言葉を思い出したにゃん…


"でももし、逃がしてしまっていたら、また近くの村の人達が襲われるかもしれません。"


「・・・・・・そんなの駄目にゃん…

 誰かが傷つくのをわかってて、逃げるにゃんて…

 サラだったら、きっとしないにゃん…

 にゃ…神様…頼むにゃん…私に立ち向かう力を…」


【ニーナ様。スキル:(レア)

 動物能力(猫)の攻撃能力を使いますか?】


「にゃっにゃ!?今の声は、誰!?」


【ニーナ様。スキル:(レア)

 動物能力(猫)の攻撃能力を使いますか?】


「言ってることよくわからないけど…

 戦えるようになるなら…はい!使いますにゃ!」


【本人の使用の『許可』を確認。

 スキル:(レア)

 動物能力(猫)の攻撃能力を開放。】


すると私の両手が七色に光って

光がおさまると猫の手になったにゃん!!


「にゃにゃっ、これって!?」


私は肉球を自分の頬で確かめた。


「にゃはぁぁ、ぷにぷににゃん。

 この感触、なんだかすごく、久しぶりに感じるにゃぁ。

 間違いなく猫の手だにゃん、でもこれで戦えってことなのかにゃ…?」


すると次の瞬間、シャキッと鋭い爪が出てきた。


「にゃ、驚いた!

 ちゃんと鋭い爪も出せるみたいだにゃん!」


「ヴヴァ!!ヴヴァ!!」


「確かにこれなら、十分、武器にはなるけど

 でもさっきみたいにただ引っかいても倒せそうはないにゃん…?何かほかにあれば…」


【このスキル専用の技が使えます。】


「あるのかにゃ!?」


【技名:猫の爪(キャット・クロー)】


「猫の爪(キャット・クロー)…?」


【この技の使い方のイメージを

 ニーナ様の頭に投影します。】


ニーナの頭にイメージが投影された。

 

「にゃ、本当にゃ、何か見えるにゃん!

 ふむふむ、にゃるほど… これはわかりやすいにゃ…」


「ヴヴァ!!ヴヴァ!!」


すると体当たりダメージで木に亀裂が入り始めた。


「やれる!これなら倒せるにゃん!」


「ヴヴァ!!」


「行くにゃん!!」


ニーナは意を決して、枝から飛び降りて

そのままキレ・ウルフに飛びかかった!


「ヴヴヴ!?」


「くらうにゃん!!

 私の技、猫の爪(キャット・クロー)!!」


ニーナは鋭い爪でキレ・ウルフの背中をブシャッ!ブシャッ!と深く引き裂いて、地面に着地した。


「ヴァヴ…」


キレ・ウルフはあまりのダメージに即力尽きた。


「ハァハァ…倒せたにゃん…」


【戦闘終了を確認。

 スキルを解除いたします。】


アナウンスの声と共に再び手が七色に光って、元の人間の手に戻った。


「人間の手に戻ったにゃん…?

 さっきの肉球になれるのって

 戦闘の時だけなのかにゃん…?」


シーーーンとして返事はなかった。


(・・・・・・にゃれ…?

 質問に答えてくれないにゃん…?

 というかあの声は一体…考えてもわからないにゃん、それはそれとして…)

 

ニーナは力尽きたキレ・ウルフの頭を撫でた。


「ごめんにゃ、痛くして…

 ちゃんと素材にさせてもらうからにゃん…」


私は初めて戦って、初めて自分で素材を手に入れたのにゃん。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る