プロローグ⑤(私、迷子になったにゃん。)
「にゃー。ここはどこにゃ…?
ちゃんと地図を見てるはずにゃのに…迷子になったにゃん…?」
私はアンナちゃんからもらった地図を頼りに
目的地まで歩いていたのに、完全に迷子になったにゃん…
「んにゃー、まいったにゃん、どうしよう!」
「あっあの!そこのあなた、よろしいですか!」
「にゃ?私かにゃ?」
少し年上に見える不思議な格好をした眼鏡の女の子に声をかけられたにゃ?
「もっもしかしてあなたもコスプレが趣味なんですか!」
「にゃ…?コスプレ…?」
「あっあれっ違いましたか…?
あなたが素晴らしいほど良く作られた猫耳と尻尾をつけていたので、てっきり同志かなって思ったんですが…」
「これとこれかにゃん?」
「そうです!それそれ!」
「確かに気に入ってはいるけど、この2つは私が泊まってる宿の看板娘のアンナって子からもらったものにゃんよ?」
「それって「猫の隠れ家」の看板娘の
あのアンナちゃんの事ですか!?」
「猫の隠れ家…ああ、宿の名前だったっけ、そうにゃけど?」
「そっそんなの…」
「にゃ…?どうかしたのかにゃ…?」
「うっ。」
「うっ?」
「うわ〜〜ん!!!!!」
彼女は町のど真ん中で、大声で泣き始めたのにゃ!
「にゃにゃ、なぜ泣き出すにゃ!?」
「羨ましいすぎですよぉ!!あなた〜!!
自分だって、彼女から猫耳と尻尾を作ってもらって、身につけたいのにぃ〜!!うわ〜〜ん!!」
「ちょちょっと、落ち着くにゃん!」
「あの変な格好の女の子が泣かせたのかしら…?」
「痴情のもつれとか…?」
「君が泣き出すから、なんか目立ってるにゃん!」
「あなた最初から目立ってましたよ〜!」
「仕方にゃい、ちょっとだけつけてみるかにゃ?」
ニーナはつけ猫耳とつけ尻尾を外して渡した。
「ほえ…?いいんですか…?」
「にゃって、つけてみたいんでしょ?」
「あっありがとうごさいます!じゃあ…」
少女は素早く受け取ると、カチッカチッと猫耳と尻尾をつけた。
「でも鏡がないと自分の姿を見れないにゃよね。
どっかに鏡がないか探す…?」
「あっそれならだいじょうぶです!こんな時のために鏡を持ち歩いてますから!」
「そっそうですかにゃ…」
少女はパカッと折りたたみの鏡を開くと、自分の姿を見た。
「はわぁぁ♡可愛い♡最高〜♡
やっぱりアンナちゃんの作るものは自分をさらに可愛くしてくれるなぁ〜♡」
「にゃはは…それはよかったにゃね…」
(アンナって子の知り合いだけあって、この子も変な子だにゃん…)
「可愛い…自分、本当に可愛い…
いつまでも見てられる…幸せ…」
「にゃっにゃの…?」
「Beautiful…」
「そろそろ返してもらえってもいいかにゃ〜?」
「こっち向きの表情も可愛い♡」
「にゃのっ!!」
「ほへっ?あっ!ごっごめんなさい!
つい我を忘れて、喜んじゃってました!
今、お返しするので!」
慌てて、ポンッポンッと猫耳と尻尾を外すとニーナに返した。
「もう。」
ニーナは返された猫耳と尻尾を顔を膨らませながらつけ直した。
「本当にすみませんでした。
自分、好きなことになると、テンションがおかしくなっちゃう時があるんです。
引いちゃいましたよね…きっと…うっう…」
「そっそんなことにゃいよ!落ち込まにゃいで!」
「そうですか…?」
「うっうん、そうにゃから!」
「自分、こんな風に優しく慰めてもらえるの
アンナちゃん以外、初めてです。
あなたってすごく良い人なんですね。」
「にゃはは…そんなことないにゃ。」
(また泣かれても困るにゃん…)
「自己紹介が遅れました、自分、名前がサリーっていって
アンナちゃんとは同い年の幼なじみで共通の趣味の同志でもある親友なんです。」
「にゃっ…?同い年…?アンナちゃんと…?」
「そうです、同じ17歳です。」
「にゃ、にゃ、にゃんですと!?」
私は驚きすぎて変な口調になったにゃん!
「アンナちゃって17歳にゃの!?
あんなにゃに幼く見えるのに!?」
「まぁ、確かによく初めて会う人からは
二人で歩いてると同い年じゃなくて
年の離れた姉妹ですか?って言われますね。」
「にゃ、にゃよね…?」
「でも本当に同い年なんです。」
「そっそうにゃんだ…?」
「彼女はすごいんですよ!
長く放浪の旅に出ている親御さんに変わって
宿を一人で切り盛りしているからか
料理、掃除、ベッドメイキング、接客は完璧だし!
そして合間に趣味で作るコスプレは神がかってますし!
本当に偉くてすごいんです!尊敬しちゃいます!」
「なんか聞いてたら、すごいと思うにゃ…」
「ですよね!」
「にゃはは、サリーちゃんは
アンナちゃんのことが大好きなんにゃね?」
「ええ!なんてたって親友ですから!」
「いいにゃ…」
「どうかしたんですか?」
「あっ、いや、何でもないにゃん…
私は用がにゃるから、そろそろ行くかにゃ。」
「どこへ行かれる途中なんですか?」
「冒険者ギルドに行こうと思ってるのにゃ?
にゃっ!でも道に迷ってたんにゃった!にゃぁぁ…」
「な〜んだ!だったら自分が連れてってあげますよ!」
「にゃ…?いいのかにゃ…?」
「はい、ちょうど自分も冒険者ギルドに用があったので。」
「そうなのかにゃ?」
「実は自分、冒険者なもんで、昨日のモンスター退治の報告をしに行こうと思ってた所だったんです!だから案内しますよ、どうですか?」
「じゃあ、お願いするにゃん…?」
「じゃあ、さっそく、行きましょうか!
えっとあなたのお名前何でしたっ?」
「そういえばまだ名前言ってなかったかにゃ?
私の名前はニーナ、よろしくにゃ。」
「ニーナさんですね。こちらこそ、よろしくです。」
私と新たに知り合いになったサリーちゃんは
一緒に冒険者ギルドまで向かうことになったにゃん!
「そういえば聞くの忘れてたんですけど
ニーナさんのその語尾に"にゃん"ってつけるのはやっぱり…?」
「にゃ?だって私、ねこだったから!」
「流石ですね!自分、感動です!」
「感動かにゃ…?」
「ええ!」
(猫の気持ちになりきるなんて、だてにコスプレで町を移動してない、流石だなぁ。)
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