プロローグ③(私、異世界で生きるにゃん!)

「とりあえず、何事もなかったみたいでよかったです!

 私は宿の手伝いがありますから、これで!」


「うっうん、心配してくれてありがとうにゃん…?」


「いえいえ♡」


アンナは笑顔で一礼すると部屋から出て行った。


「ふぅ、何とかなったにゃん…

 でもさっきのアンナって女の子と私、初めて会ったはずにゃのに

 どうして顔見知りみたいになってるにゃん?

 それにここのことを宿って言ってたけど、なんで私、宿の部屋のベッドに寝てたにゃん?

 う〜〜〜〜ん…思い出せにゃいし、考えてもわからないにゃん。

 生まれ変わって、異世界に来たとは思うんにゃけど

 こればかりはあの神様に聞くしか…

 あっ!?というか!どう神様に連絡を取ればいいにゃん?

 なんかここに来る前に神様がなんか言ってたようにゃ気がするんにゃけど

 うまく聞き取れなかったにゃんだよな…

 にゃははは…ふぅ…落ち着くにゃ、私。

 一旦、冷静に物事を整理するにゃん。

 それに今は一つだけ、わかってることがあるにゃん…」


ニーナはあらためて確認するために鏡の前に立った。


「やっぱり、どう見ても人間の女の子にゃん!

 すごい!本当に人間なれるにゃんて!」


感動しながら、自分の体の特徴を調べ始めた。


「やっぱり人間だから、猫耳と尻尾はないみたいにゃん?

 髪はピンク色で長さは首まであるみたいにゃ

 背もそんなに高くなくて、幼い顔をしてるけど

 年は人間で言うといくつぐらいにゃんだろう?

 えっと…確か、サラは12歳だったはずにゃん!

 う〜ん…にゃとするとたぶんにゃけど、見た感じ

 サラと同い年に見えるようにゃ?それか…

少し年上にも見えるような気がするようにゃ…

 ・・・・・・サラ。」


するとニーナの瞳から涙がポタポタ溢れた。


「うっう…ごめんにゃ…サラ…ごめん…」


止めどなく溢れる涙を何度も何度も必死に拭った。


「人間になったって仕方ないにゃん…

 サラがいなくちゃ、サラを幸せに出来なくちゃ

 こんなの…こんなの…」


 その時、ふとニーナはご主人様の言葉を思い出した…


「あの時は確か、サラの方が泣いていたにゃん…それで…」


『うっうっう…うっう…』


猫のニーナは泣きじゃくる少女の手をペロペロと舐めた。


『ニーナ…?なぐさめてくれているの…?』


『ニャァ〜』


まだ人の言葉を話せないニーナはそうだと答えるようにスリスリと頭を寄せた。


『えへへ…ありがとう…そうだよね…

 いつまでも泣いていても仕方ないよね…

 私が笑顔にならないとニーナを心配させちゃうもんね…』

 

『ニャァ〜』


『ふっふ…もうだいじょうぶだよ…

 ニーナのおかげで、悲しいのどっか行っちゃった。』


『ニャァ〜』


『うん、悲しいことばかり考えるより

 楽しいことを考えた方がずっと幸せだよね。』


『ニャァ〜』


『えへへ。』


ふきふき!(涙を強く拭う)


「そうにゃ…サラの言う通りにゃ…

 私はサラのいた世界で、人間に生まれ変わることは出来なかったかもしれにゃい…

 だけどまた生きられるのにゃ!

 悲しいことより楽しいことを考えるにゃん!

 にゃ、決めたにゃん!この第2の生涯、また寿命が尽きるまで生きてやるにゃん!」


 ニーナは涙を強く拭うと、人間としての生涯を生き抜くことを決意した。


「さて、そうと決まったら、行動するにゃ!」


 そしてニーナは異世界での最初の一歩を踏み出した。





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