第29話 白雪姫のガラスの棺

「はあ。どこかにが落ちていないかしら」


いつものようにエミーリエとおしゃべりをしているとき、カタリーナは思わずそうつぶやいてしまう。

それを聞いてエミーリエは大笑いをする。


不可侵貴族たちに、一方的な不可侵条約を破棄させることには成功した。

王宮にはまだ彼らが送り込んだ人材が残ってはいるものの、その影響力は低下し続けている。

それでも根本的な問題、つまり霊宝が失われてしまっているということは解決できていない。

それがカタリーナの今の悩みの種だった。


「それだけお金あるんだし、お宝なんて買い放題なんじゃない?

どんなお宝がほしいの?」


「そうね。とっても珍しいお宝が良いわ」


霊宝が失われていることは、万が一にも知られてはならないことだ。

隷属魔法が掛かっているエミーリエにだって言えない。

だから愚痴も、こんな歪曲的わいきょくてきな言い方になる。


「あ、思い出した!

心当たりあるよ、お宝!」


「え?」


「『白雪姫』のガラスのひつぎなら、とっても珍しいお宝だと思う。

人を入れても割れないガラスのひつぎって、きっと強化ガラスか何かだからね。

この世界で強化ガラスなんて聞いたことないし、しかも中の遺体が腐らないっていう特殊効果付きだよ?

絶対に珍しいお宝だと思うよ!?」


「く、詳しく教えてくれるかしら?」


エミーリエの言葉に、カタリーナは食い付いてしまう。

この世界が童話の中の世界だということを、カタリーナは信じてはいない。


しかしエミーリエは、フィーリップの暗殺を予言してみせている。

たとえ荒唐無稽な話であっても、もう一笑に付すことはできなかった。

何より、今のカタリーナはわらにもすがるほど切羽詰まっていた。




「つまり、わたくしが執拗しつように何度もマルガレーテを殺そうとして、それで亡くなってしまったマルガレーテが入れられるひつぎなのね?」


「そうなのよ。

『白雪姫』の中の王妃様って、本当にとんでもなく酷い人だったんだから」


「……お話を聞く限り、それほど酷い人には思えないわ」


「え? なんで?

白雪姫を何度も殺そうとしてるのに?」


「その殺し方がおかしいわ。

エーレンベルク稿での最初の殺害計画は、マルガレーテを森に置き去りにすることよね?

森に置き去りにして獣に食べられるのをただ待つだけなんて、いくらなんでも消極的すぎるわ。

本当に暗殺するつもりがあったのかしら?」


「う。言われてみれば確かに」


「初版以降の殺害計画も全部そうね。

王族なら、暗殺者の一人ぐらい用意できて当然でしょう?

それなのになぜ、素人の猟師に暗殺を依頼するのかしら?

およそ、王女の暗殺を依頼して良い相手ではないわね。

その後の、行商人に変装して髪の飾りひもで胸を絞めて殺害するのもそうよ。

ひもで締めるなら、普通は胸じゃなくて首でしょう?

その次の、毒のくしを髪に挿して殺すこともそうよ。

髪をくために白雪姫の背後に立ったんだから、そこで短剣でも首に突き立てた方がずっと早くて確実だったのではないのかしら?」


エミーリエが説明した初版以降の殺し方は、そんな方法だった。

王妃はまず最初に、猟師に王女の殺害を依頼した。

同情した猟師が殺さなかったことを知った王妃は、自ら行商人に化けて髪の飾りひもで白雪姫の胸を絞めて殺害しようとした。

殺しきれなかったことを知った王妃は、今度は毒のくしを白雪姫の髪に挿して殺そうとした。

それも失敗に終わり、王妃は百姓女に化けて毒林檎どくりんごを白雪姫に食べさせた。


カタリーナから見たら、どれも信じられないぐらいに難のある殺害方法だった。


(だからこそ、妙にリアリティがあるのよね……)


カタリーナはまた、そうも思った。

もし『真実の鏡』の洗脳が解けていないままだとしたら、どうだっただろうか。

マルガレーテを殺すようにと、いずれは命じられていたかもしれない。


自ら望んで殺したいわけでもない自分は、そのとき精いっぱいの抵抗をするのではないだろうか。

命じられた以上、殺害を企てなくてはならない。

しかしせめてもの抵抗として、えて成功率の低い方法を選択したのではないだろうか。

いかにもありそうな話だと、カタリーナは思った。


「それに、犯人は王妃だって断定されているけれど、それもかなりおかしいわ」


「へ? なんで?」


「最初は行商人に変装して髪の飾りひもで胸を絞めて、次はお婆さんに化けて毒のくしを髪に挿して、その次は農家の女性に化けて毒林檎どくりんごを食べさせたんでしょう?

王妃が自ら手を下したときはいずれも最後まで正体が発覚していないのに、なぜ全部王妃の犯行だって断定されたのかしら?

そんな山奥に、暗殺のために王族が一人で来るなんて、普通に考えたらあり得ないのに」


「あー。言われてみればそうかも。

確かに三回とも、白雪姫一人としか会ってないし、白雪姫は毎回最後まで正体に気付いてないね」


王女殺害の罪を誰に着せるのか。

まるで、それが最初から決まっているかのようだ。

不可侵貴族たちが我が物顔で闊歩かっぽしていた少し前のこの国なら十分あり得そうな、とても童話とは思えない生々しさだ。

カタリーナはそう感じた。


(それが洗脳の解けなかった未来のお話だとしたら、私に罪を着せて何をしたかったのかしら……)


洗脳は解けているから、そんな未来はない。

あくまでも仮定の話ではあるが、やはりカタリーナは考えてしまう。


カタリーナは、ハッツフェルト家による王家乗っ取りの駒として王宮に嫁がされた。

最終的にその駒を潰すのは、どんな場合だろうか。

外国勢力が絡んでいて、この国をその国に譲り渡すつもりなのは間違いないだろう。


つながっているとしたら、ブルークゼーレ王国辺りだろうか。

あの国の第二王子には、フィーリップ暗殺の嫌疑がある。

しかしそうなると、ハッツフェルト家が不要となった駒を潰したとも言い切れない。


この国の霊宝に残された力は少ない、と王家は既に発表している。

風前の灯のこの国に見切りを付けて、新たな主のご機嫌を取りそうな家ならいくらでもある。


(駄目ね。どの家がそれをしてもおかしくないわ)


最終的にカタリーナの処分を考えそうな家は、いくらでもありそうだ。

考えるだけ無駄だ。

カタリーナはそう思った。


「どうしたの?

難しい顔しちゃって?」


「とても童話とは思えない生々しいお話だから、少し考えてしまったの」


「分かるわ。

真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて死ぬまで踊らせるなんて、とても童話とは思えない残酷さだよね?」


考えていたのはそのことではなかったが、カタリーナは否定もしなかった。


「それで、ガラスのひつぎはどこにあるのかしら?」


「うーん。よく分かんないんだよね」


腕組みするエミーリエは、カタリーナにそう答える。


「分からないのは、なぜなのかしら?」


「エーレンベルク稿では王妃様に馬車で置き去りにされて、初版以降では狩人に連れ出されることで白雪姫は森に入るんだけとさ。

その場所はエーレンベルク稿じゃ『遠い、暗い森』で、初版は『森の奥深い、人のいないところ』で、第二版は『荒れた森』、第三版はただの『森』だったのよね。

具体的な場所については、どこにも記述がないのよ。

その場所から七歳の女の子が一日走って日が暮れる頃に辿たどり着いた場所に、七人の小人が暮らす小屋があるのよ。

ガラスのひつぎがあるのは、そこよ」


「随分と曖昧な表現なのね……」


結局分かったのは、深い森の中ということだけだ。

しかし緑豊かなこの国には、深い森なんていくらでもある。


「あ、でも、かなり遠くだと思うよ。

白雪姫を殺したと思ってた王妃様に、真実の鏡は『七つの山を越えた向こうにいる白雪姫は、あなたの千倍も美しい』って言って、白雪姫がまだ生きてることを教えるのよ。

つまり、七つの山を越えた先の森ってことだと思う。

山道でしかも子供の足じゃ、一日歩いたところで移動距離なんてたかが知れてるし、最初に連れて来られた森は多分その近くだよ」


「より一層、探すのが厳しくなったわね……」


山七つ先、というのは範囲が広範囲すぎる。

通る道順によって越える山の数だって変わってしまうし、山を七つも越えるなら他国の可能性も高い。

それだけの条件で場所を探し当てるのは困難極まりない話だった。


「なんで、わざわざ山を七つも越える必要があったんですかね?

森に王女様を置き去りにするにしても、狩人が暗殺のために連れ出すにしても、そこまで遠くに行かなくても良いように思えますけど?」


ジビラが疑問をつぶやく。


「あ、そうだ。

山に関してだけどね、初版だけ少し違う記述があったんだよ。

『七つの山の中には七人の小人しかいないから、白雪姫は小人のところに行って救われたと分かった』って一文が初版にだけはあるのよ。

この意味について、学者さんたちで色々と争いがあったよ?」


「つまり七つの山を越えた先に、また七つの山があって、そのどこかに小人が住んでいるということなのね……」


それでは「七つの山を越えた向こう」とは違うのではないのか。

山を七つ越えて、さらにまた七つの山を越えて、合計十四の山を越えた先、ということもあり得るのではないか。

捜索しなくてはならない範囲が一気に広がって、カタリーナは気が滅入めいる思いだった。


だが、手掛かりはある。

この世界には、小人なんていない。

彼らは、物語の中だけに出てくる存在だ。

その小人の伝承がある森を探せば良い。

それなら、ある程度の当たりは付けられる。

カタリーナはそう考える。


「あっ! 

もしかして『七つの山を越えた向こう』とは『七越山ジーベン・ゲビルデ』のことではありませんか?

悪霊がむと噂される魔の山です。

怪奇現象の話がとっても多いんで、地元の猟師でさえ怖がって近付きません。

あの場所ならまず人は来ませんから、置き去りや暗殺などの事件を起こすなら打って付けです。

王宮からも、そう遠くありません」


そう言ったのは、ジビラだった。

軍事行動に必要な知識のため、騎士の家の者は周辺地理について詳しく教わる。

王宮周辺の地理に一番明るいのは彼女だった。



◆◆◆



「すまない。

君が行くなら私も行きたいが……今は難しい」


カタリーナは早速フィーリップの執務室に行き、七越山に行きたい旨を伝えた。

彼から返って来たのが、この言葉だった。


彼が行けないのは、当然だった。

今は貴族各家からの領地没収ラッシュだ。

領地の没収手続や、得た領地の管理体制構築でフィーリップは多忙を極めている。


本来なら、カタリーナもその仕事をするべきだ。

しかしカタリーナは、その仕事を放り出して七越山に行こうとしている。


霊宝があるかもしれない。

王家が抱える根本的な問題が解決できるかもしれない。

早く行かなければ、誰かに奪われてしまうかもしれない。

そう思ってしまったら、カタリーナはもう抑えが効かなかった。


「申し訳ありません」


カタリーナは謝罪する。

もちろん、文句なんて言えるはずもない


カタリーナの突発的な行動に対して、フィーリップは嫌な顔一つ見せていない。

それどころか苦言一つこぼさずカタリーナの仕事も担当してくれ、笑顔で送り出そうとしてくれている。

彼の度量の広さに、カタリーナは頭が上がらない思いだった。


(この人は、本当に大人ね……)


疲れた顔をしながらも笑うフィーリップを見て、カタリーナはそう思う。


「七越山に行くなら、マルガレーテも連れて行ってくれないか?」


「……なぜですか?」


彼の言葉の意味が分からなかった。

地元の猟師さえ近付かないいわく付きの場所だ。

幼い女の子を連れて行く場所だとは到底思えなかった。


「防音魔法を頼めるか?」


フィーリップに言われて彼女は防音魔法を展開させる。

フィーリップとの間では防音魔法で意味が通るが、実際には認識阻害魔法や様々な探知魔法なども組み込まれたものであり、カタリーナが内緒話のために開発した彼女独自の高度な魔法だ。


「君は、私が顔と瞳を黒い板に見せて『輪を描いて回る炎ケルビムの剣』の扉を開けたのを覚えているか?」


「ええ。覚えていますわ」


「あれは霊宝に一般ユーザー登録をすることで、できることなのだ。

生前にゾフィを一般ユーザー登録しようと思ったのだが、登録できなくてな。

おそらくは経年劣化による霊宝の故障だと思うのだが、彼女はそうは考えなかったのだ。

自分が霊宝を壊してしまったと、深く責任を感じてしまったのだ。

それからだ。

悪霊がむなどと言われるいわく付きの場所に、彼女がよく行くようになったのは。

七越山にも、彼女は行っている」


「七越山には、マルガレーテの異能と関わりのある霊宝がある可能性がある、とお考えなのですね?」


「そうだ。

他にも候補はいくつかあるが、あそこは有力な候補地の一つだ」


「……一つ、疑問があります。

もし七越山で霊宝を見付けたなら、前王妃殿下はなぜ陛下にお教えしなかったんでしょうか?」


「陛下ではない」


「え?」


「フィルだ」


「……」


「言い直してくれ。フィルだ」


どうやら言い直さないと、答えてはくれないようだ。

彼の目を見る限り、その意思はかなり堅そうだった。


「……も、も、もしその場で霊宝を見付けたなら、ぜ、前王妃殿下は、な、な、なぜフィ、フィ、フィ、フィ、フィル様にお、教えしなかったんでしょうか?」


真っ赤になって言い直すカタリーナを見て、フィーリップは大いに満足した顔を見せる。


「私は彼女を信頼してはいなかったが、彼女もまた私を信じてはいなかった。

私たちの関係は、王と王妃の関係でしかなかったからな。

私に話してしまえば、新たにめとった王妃との間の子に霊宝が渡ってしまって、マルガレーテには霊宝が受け継がれないと思ったのだろう。

彼女が本当の意味で心を許していたのはマルガレーテだけだったし、彼女が最期まで案じていたのはマルガレーテのことだった」


ああ。なるほど、とカタリーナは思った。

マルガレーテの将来を案じる前王妃からしてみれば、マルガレーテに興味を示さないフィーリップは味方ではなかったのだ。


少し前のフィーリップは、人を信用しなかった。

人を信用しない者を、味方に引き込むのは難しい。

前王妃は最期まで、フィーリップを味方にできなかったのだ。


「霊宝が失われていることについては、お話ししていなかったのですね……」


「ああ。

あの話をしたのは、君が初めてだ。

ゾフィにもお腹の子にも霊宝は継承できない、ということだけを伝えた」


当時何があったのか、おぼろげながらカタリーナには理解できた。

当時のフィーリップとしては、そこまで彼女が信用できなかったのだろう。

我が子に霊宝が継承できないと知ったから、それが自分の責任だと思ってしまったから、前王妃は命懸けの呪術に手を出したのだろう。


誰が悪いというわけではない。

当時の王宮の政治情勢の中で、皆が必死に政治闘争を生き抜いた結果なんだろうと思った。


マルガレーテのために命さえ捨てた彼女の気持ちが、カタリーナには理解できてしまった。

カタリーナ自身もまた、マルガレーテに継承する霊宝がないことが不安でたまらず、仕事を放り出して七越山に行こうとしている。

きっと似たような種類の焦燥感を、それももっと強烈なものを、彼女も感じていたのだろう。


「承知しました。

マルガレーテも連れて行きますわ」


「君なら大丈夫だとは思うが、暗殺には十分注意してほしい。

君に毒が効かないことも、就寝中の暗殺にも対処できることも、他の貴族たちは知らない。

君が持っていると言われる霊宝を奪おうと、そういった暗殺を仕掛ける者がいるかもしれない。

呪術師が不意討ちに弱いのは常識だからな」


「ありがとう存じます。

入念な準備をした上で向かいますわ」



◆◆◆



カタリーナは王妃宮にある前王妃の部屋に来ている。

嫁いで来て王妃宮を使うようになった彼女だが、前王妃の部屋はそのままにしてある。

別にこの部屋を使わなくても、王妃宮には他に部屋なんていくらでもあった。


前王妃の部屋を一人見渡してみる。

定期的に掃除はさせているが、その頻度はそう多くない。

少しほこりが積もったしんと静かなその部屋は、人の生活の跡が感じられない。

もうしばらく主がいない部屋であることは、その空気だけで分かった。


飾り棚には、小物がいくつか飾ってある。

そのうちの一つは、純金とガラスで作られた子供向けの宝石箱だった。

きっと、マルガレーテが少し大きくなって宝石箱が必要になったら、これをプレゼントするつもりだったのだろう。


その宝石箱を手に取って、ふたを開けてみる。

蝶番ちょうつがいつながれた開き蓋は、開けると九十度を少し過ぎたところで音もなくぴたりと動きが止まる。

ふたの動きからも、作りの精巧さがうかがえる逸品だった。


中は鮮やかで深みのある緑の布が張られており、布の下には綿が入れられている。

中に入れた宝石が傷付かないようにするためのものだ。


上段のトレイを外すと、下段トレイにも同様に緑の布が張られ、同様に布の下に綿が入れられていた。

その下段のトレイも外すと、宝石箱の金属部分が現れる。

その金属の底を、カタリーナは指で叩いてみる。


(やっぱり、ここにあったのね)


カタリーナの予想通り、宝石箱は二重底になっていた。

この部屋に来たのは、マルガレーテに施した術に関する資料がここにあると思ったからだった。


前王妃がマルガレーテに施した術について、これまでカタリーナは図書館などの文献を頼りに探していた。

しかし図書館の文献は、たとえ王族以外は閲覧できない区画に置いたとしてもフィーリップの目には付いてしまう。


彼女は、フィーリップを味方だとは思っていなかった。

それなら、フィーリップの目に付く図書館にはそれに関するものを置かないはずだ。


フィーリップには伝えず、マルガレーテにのみこっそり伝えたいなら、この部屋に何かを置くのではないか。

大きくなったマルガレーテにだけこっそり伝えたいなら、彼女のためのプレゼントに何かの細工を施すのではないか。

カタリーナはそう考えた。

そして、その予想は当たっていた。


宝石箱の二重底を開けようとして、カタリーナはその手を止めてしまう。


(……これ以上は駄目ね。

わたくしには、その資格がないわ)


前王妃がマルガレーテに掛けた呪術は、彼女が命懸けで施したものだ。

この二重底に隠されたものは、母親が娘のために自分の命を賭して残したものだ。


謎を解いたからといって、自分が見て良いものだとは到底思えなかった。


(別に良いわ。

これを見られなくても)


前王妃が訪れた先なら、フィーリップが知っている。

彼女の足跡そくせきを追えば、いずれは謎も解けるはずだ。

この宝石箱に隠された資料に、どうしても目を通さなければならないわけではない。


この宝石箱は、マルガレーテがもう少し大きくなってから彼女に渡そう。

この中身を最初に見るべきは、彼女だ。

カタリーナはそう思って、宝石箱を元に戻した。

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