第37話 魔の森の主  光のスプライト

まず神獣の迷宮に戻らなきゃね。

でも楽しかった。サアヤと二人旅。

美味しいもの食べられたし。

フェニスと繋がりができたのも良い。

マリアンヌちゃん可愛かったし。

まぁともかく転移ですね。手をつないで。




「何があったの?」

マリアとソフィに問い詰め・・・られる一歩手前でした。

サアヤから連絡あったはずなのに。

質問はサアヤに任せて私はロザリンドを探しました。

神獣の森の上空に飛翔しました。

豊かな緑の繁茂は迷宮の中と感じさせない自然なものでした。

探したのは大きなエネルギーを感じるところ。

そして澄んだ湖の傍にロザリンドを発見。

う~ん。気合充分の素振りからエネルギー波を飛ばしてますね。

なかなか素晴らしい。

ちょっと観察してました。

テイムしたばかりの不死鳥がしっかり注視してますね。

この子はリュティアと一緒にいる変わり種のグリーンジプシーと違って普通種の赤系統ですね。

ロザリンドに会うのにレナーティアー着装だと危うい感じなので普段の恰好で近づきました。

「ロザリンド」

「お?戻ったの?」

「うん」

「こないだはありがとうね。私命拾いしちゃった。

あなたのお陰だった。もっと用心しなきゃね。

それより予定より遅かったね」

「あのね。フェニスの女の子を助けちゃった」

「また冒険したんだ。私も行けば良かった」

相変わらず男前ですね。

だから女の子にもてるんだよ。

「そうだね」

「リリスとようやく打ち解けてきたんだ」

「リリス?」

「私の不死鳥」

「女神様の名前?メスだったの?」

「うん」

ぷぷっ。相変わらず同性に好かれるヤツ。不死鳥はオスもメスも綺麗だから分からなかったのね。

「それどした?テイム?いつ見つけたの?」

「え?」

「さっきから肩にのってる」

「え?」

指さされた右肩に何か光ってました。全然気がつかなかったけど。

「ピクシー?かな?」

「っぽいけど誰かに聞いた方が良いよ。変わってる気がする」

確かに。小さな妖精です。ピクシーにしては光り過ぎ。フェアリーにしては小さい。

私がテイムしたのかな。自覚無いけど。可愛いし。この子で良い気がしました。

ゴルウェン教授の言葉通り。強くない子。良いかも。

「名前つけなきゃ」

そうね。名前。

「ララノア」

微笑んだ気がした。この子の名前はララノア。

「光ってる。気に入ったかな?どういう意味?」

ロザリンドって凄い。質問が正しいよね。

「微笑む太陽」

「素敵だね」

やばい。女子を誘惑するスキルが発動してる。ロザリンド。危険なヤツ。

「みんなの所行かない?お腹すいちゃった」

「うん行こう」



「あ!来た来た」

「何二人でイチャコラしてるのよ!」

批判が厳しい。ロザリンドは平然としてる。鈍感力だね。私はドキドキしてる。

「私もテイムできたみたい」

「ホントだ!可愛い」

サアヤが直ぐに見つけました。

「何?まさかピクシー?」

ソフィの観察力も凄い。

「光が強いね。フェアリーの幼体かな?・・・え?光のスプライト?またはエルフィン?の幼体?」

マリアが麒麟や鳳凰と会話してます。

どうやらララノアは光属性のスプライトとかエルフィンとかいう存在らしいです。幼体も決まりみたいです。大人になったらしゃべるかな?

「麒麟さんや鳳凰さんが言うなら正しいわね。私のララノアちゃんを宜しくね」

「可愛いね」

サアヤは気に入ったみたいです。

「レナーティアーを着たら似てるかも」

ロザリンドはレナーティアーがお気に入りみたい。

ちょっと着装して見ました。

あれ?ララノアが喜んでる?

「ティアラにとまって嬉しそうだね」

「ホントだわ~」

ソフィとマリア。邪念が無いわ。

「光のスプライトの幼体か~。私は今回はテイム諦めようかな?」

サアヤは次回に賭けるのかな?

「可愛い脚線美が似てるわ~」

こいつは邪念だけだわ。ホント。ロザリンドめ。

「次に来るときチハヤ付き合ってよね?」

サアヤは私と来たいらしい。

「レディたちのボディガードは任せて」

ロザリンドめ。

「だぁめ。私はチハヤと来るの」

サアヤが拒否ってる。下級生にモテモテのロザリンドも形無しです。

「今回も大変だったようだし。二人にご褒美あげても良いよね」

ソフィは寛大だわ。

「私もソフィに賛成。二人でのんびりさせてあげても良いわ」

マリアは分かってるね。

「じゃ迷宮攻略は一旦休止かな?」

それですよロザリンド。

「そうね。みんな望みの神獣をテイムしたみたいだし。一旦撤退かな?」

さすがマリア。

「じゃぁ食事が終わったら休息がてらのんびりと学院に帰りましょう」

さすがソフィ。世界一のツアコンですね。

これで帰りも快適な旅は確定。その上ソフィは脚線美も素晴らしい。罪な美少女。ペガサスに跨るとヤヴァいのです。ミニスカだし。

でもソフィは立派です。また大赤字なのに何も言わない。実に良い女なのです。



※※※※※※



「はははは!あー可笑しい」

クラリセ教授が笑ってる。

「全く退屈させない子たちね」

イフィゲーニア教授も愉快そうだ。

「まぁこの二人なら万が一の事も無いでしょうし」

アイリスは諦め顔だ。可愛いけど。柔らかそうな唇を尖らせても怖くないのです。ふふ。魅了のスキル発動してるのかな。

「もう研究生ですからね。けど卒業試験の内容の素晴らしさと乖離してるような・・・」

エディスは懐疑的だ。

「良い子たちをテイムできておめでとう。で?次はどうするの?」

リュティアだ。リュティア教授だ。みんなの前だからハグできないの哀しい。

「えーと。エルハンサのアグラリエル陛下にお会いしたいんですけど。リュティアとリュティア教授と一緒に」

「私たちも一緒に!!!」

4人がハモってる。じゃ全員で。

「実はね。不思議な事にお転婆さんたちに招待状が来てるんだよ。エルハンサから。もちろんリュティアもだよ」

学院長である時の司ゾシマ老も諦め顔だ。

「やったー!!!」

みんなニコニコだ。可愛い。まぁたぶん私が最年少なんだけど。

リュティアもニコニコだ。可愛いけど。イフィゲーニアやゾシマ老以外では最年長かもだけど美しい少女にしか見えない。ある種の好みの男女に殺人的な笑顔ですね。

罪な美少女。ヤヴァい。吹きそうになりました。リュティアは勘が良いから気を付けなきゃいけませんね。



※※※



ファロスリエンは侍従長を呼んだ。

『ソールロッド。陛下がお呼びです』

『承りました殿下』

ややあって緩やかで典雅なトーガを纏った侍従長が深奥の間の前に転移した。

「お召しにより入ります」

「来よ」

女王の言葉に従いソールロッドは入室した。

座り心地の良い椅子に豪奢な衣装の陛下が座り。隣の美しい椅子には繊細な衣装の女王の姪ファロスリエンがいた。

「侍従長。招待状への返答は?」

「喜んで承るとのことでございます。眠り姫と異界の巫女姫。そして巫女姫の同級生にして眠り姫の教え子が4人。総勢6人の来訪となります」

「善い。全て汝れに任せる。できる限りの恥ずかしく無い歓待をせよ。我らの文明の粋の一端を見せてやるのじゃ。そしてわらわとの面会を必ずアレンジするのじゃ」

「確かに承りました」



※※※※



「リュティア」

「はい。可愛い子を見つけたのね?」

「リュティア」

「なぁに?」

ハグした。

「リュティア」

「どしたの?甘えん坊さん」

ハグしてくれた。気持ちいいです。

「しばらくこのままが良いの」

「良いわよ」

花の香りが落ち着くんです。

優しいリュティア。

「可愛い子ちゃん。良い子ちゃん。私の大事な大事な子」

「歌?」

「今作ったの」

「嬉しい」

キスしてくれました。

ララノアも嬉しそう。ニッコニコです。可愛い。

「可愛いわ。あなたに似てる」

そこで気づきました。ララノアは私よりリュティアに似てるんです。

リュティアを赤ちゃんにして小さくしたらそっくりかも。

「なに笑ってるの?」

可愛い人が何か言ってます。



※※※



「この子。あなたにピッタリね」

「なぜ?」

お食事の時。

リュティアはララノアに美味しいハチミツをくれました。

「この子が成長すれば分かるわ」

「楽しみ」

「そうね。それに少ししたらしゃべるわね」

「ホント?」

リュティアはしなやかな指で器用に箸を使いました。煮つけにした金目鯛。美味しそうです。

「ホントよ。そしたらお話すると良いわ。いろいろね」

トマト味の肉団子を食べてみました。美味しい!

「楽しみね」

「あなたの未来は楽しい事ばかりよ」

「リュティアがいるからだわ」

「ありがと」

ヒラメのカルパッチョが美味しいです。

「リュティアって天才ね」

「美味しい?」

「すっごく」

「嬉しい」

いろんな文化のお料理をミックスしたお食事。堪能しました。


※※※※※※

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