第24話 魔の森の主 迷宮攻略
朝食はマリアがストレージから出しました。
アボカドとチーズの前菜。
ブロッコリーとグリーンアスパラにベーコンを添えた温野菜。
オニオンスープで煮たオートミールに温泉卵。
チョコレートと紅茶。
何となく御令嬢っぽいです。
みんな元気一杯になりました。チョコがめっちゃ美味しかったです。
森林エリアの第2階層は地形に相応しく獣系の魔物が大量にわいていました。
大熊。
大獅子。
大虎。
大蛇。
大蜥蜴。
常識外れの大きさの魔物たち。
まぁ第1層のボスだったグリフォンと較べたらスピードに欠けるのが弱点でした。
それに第1階層に続きかなりの大きさの魔石が集まったのは幸運でした。
ついでに巨大な牛を倒した時は思わず上質なお肉を採集しました。
森の奥に巨大な木が生えていました。
その幹に扉が。噂に聞くエルフの家のような。
「間違いなくコレだよね?」
「だよね?」
「決まりですね」
まさにマリアの言葉で決まりました。
ゴーレムに扉を開けさせるとまた広大な空間がありました。
荘厳な部屋の中に純白の美しく巨大な猿が。
あれは・・・
「巨猿!」
ソフィの言う通り。これは難敵ですね。
巨猿はグリフィンに負けない猛烈なスピードに加えて風魔法を使うのが脅威です。
まぁ飛ばないのはありがたいですけど。
と言っても樹林地帯だけあってボス部屋も木が生えてるんです。
つまり枝から枝への立体殺法の使い手というワケです。
マリアは相性が悪いので今度は守りに徹するようです。防御魔法の練習もありますね。
ここは氷結魔法のソフィです。水蒸気を大量発生させてからの氷結攻撃で徐々に弱らせました。今度はゴーレムの魔法防御が効くのが良かったですね。
最後は凍らせてからのロザリンドの超高温蒸し焼き作戦で仕留めました。
ロザリンドが左前足に触れるとこれまた腕輪に変わりました。
これは魔導師の迷宮のお約束のようですね。
宝箱からは小型ですが精緻な装飾を施した鏡を入手しました。
玉座の後ろの扉を開けると小部屋があり転移魔法陣が描かれていました。
ゴーレムをストレージへ入れて魔法陣に触ると仄かに光って第3階層へ。
第3階層は砂漠エリアでした。
砂山の陰にテントを張って食事と休憩の時間です。
クリーンの魔法が無ければ少女だらけのチームは保たなかったでしょう。
まぁイシュモニア出身の魔導師には常識の魔法ですけど。
夕食は素晴らしい牛の魔物から得たお肉を焼いて食べました。
お野菜と果物もたっぷり食べて安眠できる薬茶を飲んで眠りました。
ゴーレムが警戒にあたるのは同じです。
前夜の焼肉パーティで栄養補給はできていたので朝の献立は簡単なものにしました。
珍しく?ロザリンドが新鮮な果物を御馳走してくれました。グプタ帝国は南方系のフルーツが名産なんですよね。
南方系のフルーツ。パパイヤやマンゴーや竜眼やスイカ類は元気が出るんですよね。
睡眠も足りているので朝からイケイケです。
けれど突然砂地から出てくる体長10マールほどのサンドワームに驚きました。
口にはウネウネとした触手と鋭い歯があり魔法も効き難い難敵です。
それぞれ舞いの技術を生かして物理攻撃をいなしてこっちも物理で対抗です。
気味悪い系の敵ですから早く片付けたいのですが時間がかかりました。
徐々に切り刻んで倒しを繰り返し10体も倒した時に突然砂山の中に大きな宮殿が顕れました。
禍々しい雰囲気から間違いなくボス部屋です。
水分補給して小休止して突入しました。
外は石造りの宮殿なのに中は広いのですがプヨプヨした生物的な部屋でした。
少し足を運ぶと・・・動いています!
「これは!」
「部屋がボス!」
そうです。
部屋全体が軟体動物のような怪物でした。
「イドの怪物!」
物知りのソフィの指摘の通り。
物理も魔法も効き難い敵です。
しかも私たちを吸収しようと動いています。
「核を探して!」
ですね授業で習った通りです。
核を攻撃するのが最善です。
ヌメヌメの怪物はどんどん私たちを拘束しようと縮まってきます。
窮地?
しかし私は入ってきた入り口の方にあまり動かない部位があるのを見つけました。
私はみんなに話す前に最高強度の光魔法で攻撃しました。
とたんに床が盛大に波打ち大暴れしましたが光魔法を当て続けると突然大人しくなりました。
みんながホッとしている間に私がコアに触ると不思議な装飾の腕輪に変わりました。
イドの化け物がいなくなると壮麗な部屋が現れて宝箱と魔法陣も見つかりました。
宝箱の中は小さい杖。古代文字が彫られており素材は不思議な灰色の合金でした。
それを回収しみんなで転移すると第4層は氷結の大地でした。
とりあえず今日は休憩です。
テントを展開してお食事の準備。
今回も私が用意しました。
牛肉の残りがあったのでビーフシチュー。
玉ねぎとニンニクを摺りおろし。
鍋で煮ていきます。
牛肉に塩コショウして焼き目をつけてから鍋に投入。
一口大のニンジン。食べやすいサイズのブロッコリーの茎。
粗みじんのトマト。同じく粗みじんのセロリ。
マッシュルームを多めに。
隠し味にショウガを少々。
リュティアにもらったお醤油を少々。
水分が半分になるまで煮込みます。
時間魔法で加速。
牛肉が柔らかくなったら味を調えて。
ブロッコリーの房の部分を軽く炒めて添えます。
ご飯でもパンでも。
身体が温まる幸せなシチューです。
お肉もホロホロで最高でした。
食後はマリアにチョコをもらって大満足でした。
警戒をゴーレムに任せて。
ゆっくり眠れそうです。
目覚めて外にでると快晴。
しかもダイヤモンドダスト。
なんと美しい。そして厳しい階層でしょう。
マントやコートの温度調整機能がなければ大変だったでしょう。
とりわけ育ちの良いマリアやお金持ちのソフィには厳しい環境です。
温暖な地域出身のロザリンドもあんまり得意では無いようです。
これは私とサアヤの出番ですね。
朝食は軽くサンドイッチを作りました。
スクランブルエッグ。
炒めたベーコン。
薄切りのトマト。
パリパリのレタス。
昨日のシチューの残り。
楽しい食事になりました。
オニオンスープで身体を暖め。
いざ出発です。
この階層の魔物は氷の巨人でした。
氷結魔法を使うのでソフィは苦手。そして風魔法が得意なマリアもあまり有利とはいえません。
なので炎熱魔法のロザリンド。
雷魔法のサアヤ。
そして私の重力魔法で戦いました。
人の姿なので可哀想な気もしましたが多くは首を切り落としました。迷宮の魔物ですからね。
始めに斬ったのは大人しいサアヤでした。
「恐ろしいわ。でもあの子供たちを誘拐した人たちを思い出したの」
幼い子供たちを攫った悪者。
許せない。
確かに子供たちを守るためなら。
ヒトを殺す事もできましょう。
2体目は私が。
3体目はマリアとロザリンドが。
4体目はソフィが倒しました。
その先は吹っ切れたように。
つまり彼らは巨人という種族では無くて迷宮が生み出した他の魔物と同様な存在ということだったのです。
ついでにかなり大きな魔晶をいくつも入手できました。さすが巨人ですね。本来の種族としての巨人ならドラゴンにも匹敵する存在ですから。
けれども魔物。獲物としては飛びませんしスピードも無いのであまり難しい要素はありません。
私たちが有利なのはゴーレムのタフさと魔法防御が有効だったことです。
大きさは巨人だけあって10マールから20マール。普通なら大きさだけで苦戦は必至です。
つまり3.5マールのゴーレムがいなかったら厳しいですね。
今度のボス部屋は氷の巨大な城でした。
外がツルツルで相当な攻撃に耐えられそうです。
幸い緩やかなスロープがあって玄関まで歩いて行けました。
ちょっと不用心に見えますが玄関前で小休止しました。
温かい甘酒。ミルクコーヒー。オニオンスープ。
それで充分でした。
人の姿のモノを倒して気が荒ぶっていたのかも知れません。
玄関をゴーレムに開いてもらうと中は豪華な宮殿のようでした。
奥まったところに玉座があって高い知性を感じさせる巨人が座っていました。
私たちが進んで行くと巨人は立ち上がって問いかけてきました。まるで本物の巨人族のように。また3対6本の腕をもっています。
今までの氷の巨人とは違うようです。
もしもブリアレオスという巨人なら雷を自在に操るはずです。
「小さきヒトよ。何故に我が領域を汚しに来た?」
白いブリアレオスの問いに応えたのはサアヤでした。
「私たちはこの迷宮の深奥を探る者。神域を汚すつもりは無い。されど邪魔するなら容赦はせぬ」
巨人はサアヤの答えに納得したようでした。
いきなり雷が降ってきました。
幾度も幾度も。
輝く雷光の中で。
私は無意識に闇の魔法を発動していました。
強大な闇の魔法が純白のブリアレオスを押しつぶしていました。
力が抜けた私に代わってサアヤがブリアレオスの残骸に触れると。やはりそれは腕輪に変わりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます