練習2

槍の練習を終えて別の練習をする

ドラゴンの剣


「剣の重さを最大にして倒せ」

「最大か……重っ」


想定よりも重く剣先が地面に突き刺さる

持ち上げられないほどでは無いが振り回すには苦労する

(これ振り下ろし無理だな。横に振るうか?)

オークと戦う、オークは早くは無いが今の澪よりは早い攻撃を繰り出せる


「異能は禁止?」

「禁止だ、異能無しで倒せ。他の武器も禁止だ」

「きついなぁ」


オークが武器を振るう

なんとか切り上げて武器にぶつける

鈍い音がして再び剣先は地面に突き刺さる

地面を削りながら剣を動かして構える

深呼吸をしてオークの動きを観察する

オークが攻撃をしてくる

剣を地面に突き刺して飛び退いて攻撃を躱す

次の攻撃も躱す

武器を手放すなとは言われていない

オークは剣の柄を握って持ち上げようと勢いよく腕を上げる

しかしビクともしない


「武器がダメなだけだよな!」


動きが止まった魔物目掛けて下から上へと拳を振るう

刀や槍を使わない攻撃、恋歌のように倒す事は出来ないが顎を捉えた一撃は脳を揺らす

グラッと体勢を崩した魔物は剣から手を離す

すぐに柄を掴み全身を使って全力で剣を振るう

遅いが重い一撃がオークの胴体を両断する


「何とか倒せた」

「武器を手放したか。まぁ倒せたのだから良いが剣の能力を理解されたら奪われていたぞ」

「それもそうか……」

「次は剣を離さずに倒せ」

「流石に重すぎるんだけど」


重すぎて動きが遅い

オークと普通にやり合うとして動きが鈍っているので回避が難しく防御も間に合うか分からない

攻撃も遅い、動きの遅いオークでも万全なら余裕で避けられるだろう


「訓練だ」

「へぇい、頑張りまーす」


ダンジョンの奥に進みオークと戦う

考えて動く、下手に接近するのは危険

かと言って距離を取り過ぎれば槍の時と同じで距離感を掴めず戦えない

そして攻撃を外したタイミングで詰められたら対応が出来ない

剣が当たる距離で遠過ぎず近過ぎずで剣を構えて相手の行動を伺う

バルフェリアは何も言わない、あくまで今の状況でオークを倒せとだけ

その範囲でなら手段は問わない

剣を離さなければ殴ったり蹴ったりと言う行動の制限は無い

(さてさて、どうするか。だいぶキッついな)

攻撃を防ぎ弾き攻撃を仕掛けるが後ろに飛ばれ避けられる


「くっそ!」

「そう焦るな」

「……ぐぬぬ」


次は攻撃を避けて切りかかる

何とか今度は当たり片腕を切り落とす

(攻撃を避けて攻撃すれば相手は避けれないようだな)

片手で武器を振るってくる

もう攻撃方法は振り下ろしだけでなく横に振ったり蹴りを繰り出してくる

攻撃の回数が増え焦る

剣を突き立てて片手で剣を握り避ける

剣を持っていると動きが鈍るが剣を突き立てて置けば重さを感じず素早くいつも通りに動ける

問題は剣を突き立てた場所から離れられないという点

(避けられるけど攻撃のチャンスがないな)

攻撃を避けながら攻撃のチャンスを伺う

埒が明かないのでオークの武器に剣を勢いよくぶつける

何度もぶつけて重さを利用した一撃でぶった斬る

武器を失ったオークは後退るが接近して剣を振るって両断する


「何とか倒した」

「貴様忘れていないか?」

「……何を?」

「分からんのなら別に構わん。あと何体か倒せ」

「……まぁいいか。きついなぁ」


その後何回も戦う、戦う度に戦い方を考えて最適な動きを探す

何体も倒した頃には重い剣を振るう際に最適な動きを自分なりに理解して行く

オークからキングウルフに変わって魔物の戦い方が変わると違う戦い方を要求される

人型と狼型では動きが全く異なる

その上オークよりもキングウルフは早い

動きが鈍っている澪が戦うには苦戦が強いられる

攻撃を避けて攻撃を加えても簡単に避けられる

真正面で構えて噛みつきに合わせて上段斬りをする

頑丈な頭を両断して一撃で倒す

(早いがオークより戦いやすいかもな)


「次は軽くして戦え」

「了解」

「今回も変えるなよ」

「重くないなら楽だな」


キングウルフと戦う

素早く動け素早い攻撃が出来るが軽い

斬れ味が良く斬れるが先程まで重い剣を振るっていたせいか振りすぎる

先程と同じような力加減だと魔物ごと壁や床を切ってしまう

(さっきのに慣れてきてたからか。だがこれなら加減すればいい)

3体程倒した頃には軽い剣に慣れて素早く魔物を切り裂く


「次は槍」


バルフェリアの言う通りに戦う

その後どんどん戦い続ける、ミノタウロスに変わっても関係無く武器を変えたりして戦い続ける

そして中ボスのエリアに着く


「一先ず休憩だ」

「了解、流石に連戦したから疲れたな」

「まだ戦えるだろ」

「まぁ戦えはするよ。おっ、シズクからだ」


シズクからチャットが届く


『今どこにいます?』

『ダンジョン』

『1人で?』

『そそ、新武器の練習を兼ねて』

『あの剣ですか……最初のダンジョン?』

『そそ、そこの中ボスのエリアで今休憩してる』

『成程近いので向かいます』

『了解ー』


「鈴音とやらも居るのか」

「聞いてないけどまぁ恋歌か鈴音はいると思う。シズクは1人だと戦えないから……いや武器あれば戦えるか。まぁたぶん1人じゃない」

「全員揃ったら主を倒しに行くのか」

「流石に行かないと思うなぁ。まだ連携の練習とかしてないし」

「そうか」

「そう遠くないうちに戦うとは思うけどね。新しい武器も欲しいけど……」

「ここの主を倒せば手に入るだろうな」

「それは手に入ると良いな。3級だからなぁ強いよな」

「強いだろうな。単純なランクでは通常時の我を超えているという訳だ」

「とんでもねぇ」


バルフェリアは覇王に至る前でも異能の力も相まって充分強かった

そのバルフェリアより強いとなればドラゴンほどでは無いにしろ相当強いのだろう

暫く休憩しているとシズクが現れる

後ろに恋歌と鈴音も居る

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