目覚め
魔物との戦いから3日後澪は目を覚ます
「知らない天井」
本当に見覚えのない天井
病院のような白い天井では無い
上半身を起こし周りを見渡す
可愛らしいぬいぐるみが置いてあり化粧品などが置かれている女性らしい部屋である
机がありPCやら様々な機材が置いてある
「私は確か……」
意識を失う前の記憶を辿る
武器集めのために4級のダンジョンに行きダンジョンの主を撃破したあと呼び出されたドラゴン型の魔物と戦いになり追い詰められ一撃食らってそこからの記憶が無い
「なんで私は生きてるんだ?」
間違いなく致命傷を受けたはず
腕や胴体に受けた傷は治っている
あの傷で生きていられるのはおかしい
あの場には治癒の異能者は居なかったしそもそも魔物が生かしておくとは思えない
「澪さん!」
ちょうど扉を開き中に入ってきたシズクが気付き駆け寄ってくる
「良かったです」
「シズク?」
「はい、そうです。傷は癒えてますが暫くは安静にしていてください」
「何があったんだ?」
「それについては言葉より動画を見た方が良いと思います」
スマホで澪が撮った動画を確認する
そこには澪が攻撃を受けた後に姿が変わり魔物と戦っている姿があった
「これは?」
「この後私はこの人物と少し話をしましたが澪さんが戦った魔物らしいです」
「バルフェリア……そうかこれが一手か」
バルフェリアはたった一つ手がない訳では無いと言っていた
それがこれなのだろう
そのお陰で澪は生還した
(助かったありがとう)
心の中でお礼を言う
バルフェリアは心の声が聞こえる
バルフェリアは何も言わない
2人は戦いを見る
覇王に至った者の戦いを見れる機会なんて本来なら有り得なかった
(偶然とはいえ動画撮ったのはいい選択だったな)
異能の真髄
澪が至るべき姿がそこにある
(やっぱり無制限の移動と恐らく武器に空間系の何かを付与? これが刀の本来の使い方? 相手の異能すら凍り付いた)
戦いをしっかりと見る
「にしても澪さんだいぶ無理をしますね」
「いやあのダンジョン4級なんだけど?」
「あれがですか?」
「あっいや、あのドラゴンはダンジョンの主じゃなくて他に居たんだよ。そいつが死の際にあれ呼び出して戦うことになった」
本来は戦うはずのなかった魔物
本来ならダンジョンの主を倒してコアを粉砕して終了の筈だった
「ダンジョンの主の異能ですか? とんでもないですね」
「そうだな……それもあのドラゴン、魔物の中でも最上位らしいぞ」
「それは助かりますあのレベルが沢山居たらと思うとゾッとしますし」
「確かにね、そういえばここはシズクの部屋?」
「はい、私の家です。正確には実家で両親や兄弟も住んでます」
「そうなのか、起きた事だし私は家に帰ろう。ここに長居する訳にも行かないし」
「大丈夫です、澪さんはまだ家族の許可は得てますし安静にすべきですから!」
「どのくらい寝てたか分からないがこれ以上世話になる訳には」
「安静に……はぁ、せめて家までは送ります。少し待っててください」
シズクはすぐさま支度をする
30分ほどで支度を終えて澪の武器を持ってくる
そこには動画でバルフェリアが拾っていた剣もあった
澪はゆっくりと立ち上がり部屋を出る
シズクの家族に会うことは無く外に出る
(一目あって見たかったが居ないのか……にしても家デケェな)
外では車が待っていた
使用人のような服装をした男性が待っていた
「澪様住所は何処ですか?」
住所を言うとナビで設定して移動を開始する
「流石に家で安静にしていてくださいよ?」
「分かってる。流石にな、この新武器試したかったが暫くはお預けだ」
鞘に収められている剣、本来は鞘無しだったが危ないのでシズクが鞘を用意した
「あのドラゴンを倒したら手に入った剣、強そうですね」
「強いだろうな」
「そういえばなぜ4級ダンジョンへ?」
「あぁ、武器集めの為だ。あとバックの話したろ? あの魔導具探し」
「あぁなるほど……何処からその情報を得たんですか?」
「あぁ……バルフェリアからあの人型の魔物にあった後から声が聞こえて」
「声ですか? もしかして幻聴?」
シズクも幻聴を疑う
情報通のシズクでも探索者の中でそう言った事例は聞いた事がない
「だと思ったが私の知らない情報を持っててな。あのダンジョン自体もバルフェリアから教わった」
「あの位置にダンジョンがあるという情報は聞いた事がありませんし場所的に見つけるのは困難を極めます。確かに魔物ならダンジョンに詳しそうですし会話出来るのなら……」
シズクは納得する
シズクでも持たない情報をついこないだまで探索者に必要な情報すら知らなかった人物が持っているのはおかしい
それを考えればバルフェリアとやらに聞いたと言う話はまだ納得出来る
「同じ異能と言いその魔物バルフェリア? とは何かあるんですかね?」
「あるのかもな」
「あっ、そうでした! 言い忘れてました」
「なんだ?」
「新しい人材見つけました。緋山鈴音って子で分身の異能を持つ人物です」
「へぇ、分身の異能か。便利そう」
「本人曰くかなり使い勝手のいい異能らしいです。見せてもらいましたがかなり強力で本人の戦闘力も高いです」
「着々と準備が進んでいるな」
「はい、後は連携の確認をすれば挑めるかと」
人数が増えたことで3級ダンジョンのダンジョンの主討伐に近づいた
「澪様着きました」
家に着く
澪は両親が死んだ後も家を使い続けている
「ありがとうございました。シズクもじゃあな」
「お疲れ様です! 安静にですからね!」
「分かってる」
家に帰り居間でゴロゴロとする
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