宝箱の中身

宝箱を開けると真っ白な鉄の棒が入っていた

形は綺麗に整っていて真っ直ぐではなく反っている

持ち上げる、意外と重量がある

持ち上げた時スルッと鉄の棒が分離する


「壊れた!?」


壊れたと思ったがよく見ると薄く白が入った透明な刃が見える


「これ刀?」


鉄の棒は柄と鞘であった

持っていた部分は柄、一先ず鞘も取り出してから完全に引き抜く

ほぼ透明な刃の刀、芸術品のようで触れたら壊れそうな印象がある


「何か能力あるよな?」


ダンジョンから掘り出される武器は基本として何か能力を持つ

(結構見た目から分かるような物多いしこれは……氷でも操るのか? それなら出力によってはかなり強いが)

能力を試してみる、武器を持てば条件が分かる

条件通りの行動を取れば発動出来る

ただ発動するまでどんな能力かは分からない

周囲の地面が凍り付く

刀の能力は凍らせる事

上の階層で能力を試す、足元から発生した氷は天井まで凍らせる

魔物を凍らせる

足から氷が登り全身を凍らせる

魔物は抵抗しようと体を動かずがどんどん凍りついて行く

凍り付いた魔物は身動きが出来ない


「4級の魔物を凍らせれるのか強いな」


刀を振るう凍り付いた魔物は真っ二つに切り裂かれて消滅する

次は普通に刀を使う、刀身は軽く斬れ味が高い

斬った手応えを感じないが魔物を真っ二つに出来ていた

かなり性能が良い刀、今使っている槍が要らないんじゃないかと思うほどの性能

魔物を刀で倒しながら進んでいき入口まで着く

傷を負っているせいか疲労がかなり溜まっている


「取引所は傷が癒えてからにするか。家に帰って安静だな」


休憩を挟みながらゆっくりとダンジョンを出る

探索者に顔を見られないように仮面をつける


「レイさん!? 凄い傷」

「深い傷もあるぞ! 誰か応急処置の道具持ってないか!」

「あるぞ! 使え!」

「包帯巻きます! 治癒系の異能者は居ない?」

「居るぞ深い傷は治せないが」

「任せてください」


探索者達に囲まれ応急処置を受ける

治癒の異能を持つ異能者の治療を受ける

手を翳した所が緑色に光る、暖かい光

傷が塞がっていく

(初めて治癒の異能を見るが凄いな)

完全では無いが殆どの傷が治っている

体を動かす、問題無く動かせる


「助かる、謝礼は……これでいいか?」


中ボスの素材を渡す、4級は3級よりは安いがそれでもかなりの金額になる

異能者の少女は慌てて首を横に振る


「い、いえ、エリアボスの素材なんて貰えません! 私はできることをしただけですので、むしろ完治出来なくてごめんなさい」

「完治はしてないが十分過ぎる。素材はダメか……せめてこの位は貰ってくれ」


道中で倒した魔物の素材と魔石の一部を渡す

少女は貰うつもりは無かったが断りきれず渋々受け取る


「暫く安静にする予定だったが明日も戦えそうだ」

「安静にはした方がいいですよ!? そんなに傷負ってエリアボス強かったんですか?」

「エリア……いや強かったのはダンジョンの主だ」

「主倒したんですか……?」

「あぁ」


素材と真っ赤な魔石を見せる

探索者達は食いつくように見ている

4級のダンジョンの主を単独で倒せるのは早々居ない


「初めて見た……これがダンジョンの主の魔石」

「中ボスとダンジョンの主1人で1日で倒したのか」

「そう言えば1つ聞きたいんだけど」

「なんですか?」

「分かることなら教えるぜ」

「ダンジョンの主と言うのは異能を使うのか?」


澪はダンジョンの主とは初めて戦った

もしダンジョンの主が全員異能を持っているのなら厄介だ

流石に空間移動系の異能を持つのは少ないと思うがそれ以外でも強力な異能は数多くある


「異能を使う?」

「異能を使う奴が居るってのは聞いた事はあるぜ。ただ基本的には異能を持ってない。4級か3級のダンジョンの主が稀にって話」

「成程、情報感謝する」

「異能使ってきたんですか? どんな異能だったか教えて貰えません?」

「空間移動系の異能を使ってきた」

「て、ことは空間移動系の異能同士の戦い!? 見たかったなぁ」


滅多にないであろう組み合わせ、今回は特に配信もしていないし動画も撮っていない

二度あるか分からない戦い


「残念ながら配信などもしていないからな」

「残念です」

「てか空間移動系の異能持ちのダンジョンの主をレイさんが倒してくれて助かったわ。ぶっちゃけ俺達じゃ勝てねぇかもしれねぇしな」

「だねぇ、空間移動の対策なんてどうすればいいのか」


ほぼ初見殺しな上、条件を分からないとほぼ対策が出来ないような異能

ワープ能力のように目に見える移動する訳では無く一瞬のうちに移動する瞬間移動の力

偶然同じ異能の持ち主の澪が来なければいずれ大きな被害が出ていただろう


「質問いいですか?」

「なんだ?」

「シズクさんとは一緒じゃないんですか?」

「あぁ、シズクは今少し他の事をやっていて腕試しに1人で来たんだ。そもそも常に一緒では無いしな」

「他の事そう言えば3級ダンジョンに行ける仲間募集してたな」

「その件については私から言える事は無いな。それじゃ私は取引所に行くんでな」

「お疲れ様でした!」


そう言って澪は取引所に行き少女に渡してなかった分の道中の魔物の魔石や素材、中ボスの魔石と素材を換金する

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る