異能持ちの魔物
こんな敵は早々会えないだろう
接近して澪は攻撃をし続ける、連発して来ない所を見るに空間移動には何か条件があるのだろう
動きを観察する
異能を使ってから再び使うまでの行動から条件を割り出そうとする
回避したあと接近して攻撃をしてくる
連続で攻撃を受けた際は飛び退き距離を取って距離を維持しながら周囲を歩く
「攻撃の直前に回避、真横への行動だけじゃない、回避をしているから多分それ以外の条件、最初異能を使った時、接近してきた攻撃はしてこなかった……接近してきた?」
(そんな偶然あるのか? いや可能性は捨て難い)
接近して攻撃をする
異能によって回避され攻撃が空を切るが構わずすぐに周囲を見て見つけ次第突っ込む
攻撃を避けるが距離を取らず相手にも取らせない
飛び退くと同時に接近し着地を狙う
空中じゃ異能以外の回避が不可能、異能で回避する
相手のペースにならないように戦い続ける
思っている条件と同じだとするならこれが最適解
異能を使わせ続ければいずれ条件を満たせずに使えなくなる
攻撃を異能で躱すが近距離のためすぐに捕捉される
しばらく戦っていると魔物は攻撃を受ける
乱暴に前足を払う
飛び退いてもすぐに接近して戦い続ける
少しずつ削れていく
「正解だったか!」
勢いよく槍を振り下ろす
異能を使えず魔物は食らう
距離を取らない事でとある条件を潰している
「知らなければ厄介、いや、知っても面倒ではあるか」
相手の異能の条件を潰して戦う
そこからは圧倒していた、異能が使えなくなれば硬く素早いだけの魔物
そのくらいの敵なら戦っている
異能が使えず攻撃を受けて余裕がなくなってきているのが分かる
「どうした? 最初の余裕はどこに行った!」
どんどん削っていく
傷口から黒いモヤが溢れだしている
突如雄叫びを上げる
上の階層にも届くような大きな声で雄叫びを上げる
思わず耳を塞いで攻撃を懸念して異能で距離を取る
悪足掻きかと考えて雄叫びが終わると同時に槍で突っ込む
様子を見るべきだった
次の瞬間、澪は吹き飛ばされていた
「は?」
地面を転がる
何が起きたか分からない
(攻撃を受けたのか……?)
よろめきながらも立ち上がり魔物のいる方を見る
するとライオンの姿をしてる魔物は全身が黒くなり真っ赤に光る線が浮き出る
牙は大きく鋭くなり爪も鋭く長くなる
禍々しい姿をしている
「第2形態か? 珍しいんじゃねぇのかよ」
魔物の姿が消えて目の前に現れる前足を振るう
接近されたのに気付き異能で距離を取る
前足が振り下ろされた
5本の爪痕が地面を抉る
ダンジョンの床は頑丈、攻撃をしてもほぼ無傷、そんな床が深く切り裂かれた
洞窟型の場合は例外的に脆い事がある
ここは頑丈なタイプの部屋
(なんて威力だ、これじゃ防御しても即死だ。それに今空間移動したよな?)
予想した条件は満たせていないはず、異能は条件を満たせなければ発動しない
(姿が変わった事で異能も強化されたのか)
目の前に接近して攻撃をしてくる
異能で躱して攻撃を仕掛けるが空を切る
僅かに槍が当たらない距離に移動したのだ
距離を取る、追いかけては来ない
接近して攻撃を仕掛ける
真横に移動して前足を振り下ろす
異能で回避する
形勢は逆転した
(条件はなんだ?)
異能には発動の条件がある、もし強化された事で条件が無くなったとしたら無制限で空間移動が出来る魔物……正しく上位互換勝てる相手では無い
「逃げられるのか?」
空間移動の距離に制限があれば上手く異能使って逃げられるかもしれないが距離に制限が無ければ追いつかれる
絶体絶命
(4級とはいえダンジョンの主……甘く見たな)
単独で勝てると思っていた、いや実際勝てる相手ではあった
この第二形態はこの魔物が意図的に行った物では無い
逃げ道はない、ならどうするか……やる事は1つ戦うのみ
「さぁ来い! 心行くまで死合おうか」
仮面を捨てて槍を持って突っ込む
異能で躱されるがすぐに捕捉して食らいつく
攻撃はギリギリで躱して攻撃のチャンスを増やす
ここから先は作戦は無い、ただひたすら攻撃をして殺される前に削り切るしかない
異能を使い合い戦う、戦いながらしっかりと条件を満たす
超至近距離での空間移動系の異能同士の戦い
弱点は1つ空間移動をした瞬間から再び異能を発動するまでの極僅かな時間
当てるチャンスがあるのはその瞬間のみ
無論それは魔物側もその瞬間を狙う
ひたすら槍を振るい続ける
一瞬でも警戒を解いたら死ぬ極限状態
今はシズクの支援も無い、仲間も居ない
今信じられる物は己のみ
「…………」
どのくらい時間が経ったか分からない
永劫に続くと思える程の激闘をしていた、間違いなく今まで戦った中で最強の敵
今まで苦戦こそしても異能をここまで連発したことは無かった
シズクの支援ありで戦ったゴーレムと餓者髑髏よりも恐らく強い
魔物が澪の戦い方に乗らなければ負けていた
倒れているのは魔物の方、魔物は体が崩れ消滅していく
「なんだよその目、負けたのに満足したってか?」
魔物の目を見る
その目は満足気にしているように見える
「まぁお前を私が倒せたのが良かったよ。良い経験をした」
この戦いは偶然か必然か同じ異能の持ち主同士の戦いだった
魔物側にプライドがあったのか
敢えて澪の戦いに乗って死闘を繰り広げた
同じ異能の持ち主同士の戦い
そして澪は頂きを見た
「少し休憩するか」
素材と魔石を回収する
攻撃が幾つか掠り防具はボロボロ、身体中血塗れだが少し休めば4級の魔物程度なら倒せる
「宝箱は無いのか」
このダンジョンには宝箱目当てで来たがダンジョンの主を倒してもそれっぽい物は見当たらないと思った所地面から宝箱が現れる
見た目はファンタジー世界にある宝箱そのもの
近づいて宝箱を開ける
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