4級のダンジョン
掘り出し物は宝箱などに入っているがいつも行っているダンジョンや今日行った新種の魔物の居るダンジョンでは見つかっていない
ダンジョンの主を倒すと手に入るパターンもある
「微妙だな」
装備屋で武器を探すが強い武器は手に入れた人が基本使っていて残っているのは余り物
シズクが買った武器はかなり当たりの部類
(良さそうなのがないな。なんか攻略されてない弱いダンジョンとかないかな)
一度1階に戻る
取引所では最新のダンジョンの情報もくれる
「すみません」
「どうしました?」
「4級以下で攻略されていないダンジョンってありませんか?」
「4級以下……はい、ありますよ4級のダンジョンが少し遠いですが」
そのダンジョンへの道を教わる
中ボスが強くそこから進めていないと言う
中ボスは戦闘開始時から2週間で傷が治る
2週間以内に倒せなければ全回復するという仕組み
そして戦ったパーティはメンバーの負傷を理由に勝つのを諦めていて今は2週間経ったとの事
(成程、明日挑む)
今日の所は家に帰り翌日教えて貰ったダンジョンへ向かう
何人かの探索者が居たので念の為に仮面を付ける
配信と同じ防具を付けているのでもし配信を見ていたらバレかねない
当然仮面なんて付けていれば目立つ、探索者の視線が集まる
「誰だアレ? 初めて見るな」
「なんか見覚えある気がする。配信かなんかで」
「最近の奴見てないけど新しい奴か?」
「仮面の槍使い」
どうやら配信を見ている人は居ないようで誰も分かっていない
ダンジョンに入っていく
4級の魔物、3級の魔物より弱い
澪にとっては容易い敵、瞬殺して先に進んでいく
「強っ」
「何あれ、やばくない?」
「あっ、見つけた仮面の槍使いレイ……七彩の魔術師シズクと2人で連日3級の中ボス2体撃破!? それもつい最近だ」
入口から見ていた探索者が唖然とする
自分たちが結構苦戦して倒していた魔物を瞬殺していくのだ
「ヤバっ」
「そんな奴がなんで4級のダンジョンに?」
「中ボス倒せてないの聞いたからかな? 1人で倒しに来たのかも」
「何それ怖い」
「まぁ倒せてなかったから助かると言えば助かるが……」
「ダンジョンの主倒しそう」
「いやいや、流石にねぇよ……無いよな?」
「なんか平然と倒しそう」
どんどん進んでいく、三階層に中ボスが居た
熊のような姿をしているが3メートルはある
「でけぇ」
爪による引っ掻き攻撃、早いがその速さは昨日体験している
それも5本同時に襲ってくる魔物で
それに比べれば精々2回連続の攻撃なんて簡単に避けられる
攻撃を避けて槍を振り下ろす
「硬いな」
ダメージは入ったが全く倒れる気配は無い
怒り狂った魔物が雄叫びを上げて何度も腕を振るって攻撃をしてくる
攻撃を防御する、一撃が重い
「防御するのは辞めた方がいいな」
毛皮は斬撃に耐性があり斬りかかっても浅い
攻撃を避けると突然口を開けて噛み付いてくる
異能で回避して胴体に槍を突き刺す
「噛み付きもあるのか」
4級の中ボスは強さは普通の3等級のCランクと同等だが基本的に硬い
ダンジョンの主ともなれば3等級のB、A相当はある
ダンジョンの主の4等級のAランクであれば中ボスの3等級のCランククラスはある
いつも倒している相手と同じ程度の強さの相手
硬く時間はかかるが問題無く倒せる
素材と魔石を落とす
バックに詰め込んで先に進む
中ボスでもない魔物は対策も無しで問題なく倒せる
異能を使わずに避けて槍を突き立てる
石突を叩き込み砕く
そのまま最下層まで進む
次の魔物はどんな魔物だろうかと考えながら進んでいると大きな空間に出てライオンの姿をした魔物を見つける
色は普通のライオンとほぼ同じ
大きさは3メートル程度だろう
強者のように佇んでいる
接近すると気付きゆっくりと起き上がり数歩澪に向かって歩くが途中で止まり攻撃はしてこない
「来ないならこちらから」
槍を構えて素早い突きを繰り出す
当たる直前まで動いていない、間違いなく当たると確信するが突きは空を切る
「なっ……何処に」
辺りを見渡そうとすると悪寒が走り横に飛び退く
先程まで居たところには魔物の足が置いてあった
数秒遅ければ踏み潰されていた
(いくら何でも速すぎる。本当に4級なのか、いやダンジョンの主だ。3級の中ボスクラスはあっても不思議じゃない)
ゴーレムや餓者髑髏の速度なんて比では無いほどの速さ、真横に来ていたことを視認する事すら出来なかった
今度はしっかりと動きを確認する
数歩歩き攻撃を仕掛けてくる
攻撃も早いが避けられないレベルでは無い
素早く槍を横に払う
後ろに飛んで回避されるが続けて1歩進んで突きを繰り出す
間合いギリギリだが届く距離
だがまた空を切る
真横を見ると前足を振りかぶっていた
異能で回避をする
「こいつ……まさか」
1つの考えが思いつく
当たる直前まで動いていない、今回は特にしっかりと魔物の動きを見ていた
なのに当たらなかった、寸前で姿が消えた
そして短い距離とは言え真横に居た
この動きを知っている、この手口を良く知っている
「空間移動系の異能か」
自身と同じ系統の異能を持つ魔物
異能を持つ相手と初めて戦う
その初めての戦闘がまさかの同じ系統の異能の持ち主
澪は笑みを浮かべる
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