最下層

『でもまぁキングウルフなら倒せるか昨日の投稿見たか?』

『投稿? 何の話だ?』

『詳しくは見てない』

『寝る前確認したら寝た後か』


朝組は早寝早起きをしているリスナーが多い

夜に投稿されている内容を見てない人は多いだろう


『あっ、見た。あの中ボス3等級のAランクだったらしいよ』

『それってキングウルフと同じ?』

『全然違う! 中ボスは普通の魔物よりも強くて3等級のCランクでも普通の魔物の3等級のAランクよりも強い』

『つまりあの魔物めっちゃ強かったってことか』

『3級の魔物楽々倒せる人が苦戦してたレベルだもんなぁ』

『やっぱ人間じゃねぇよ』


「れっきとした人間だが? 何故そこまで人間否定される?」


『強過ぎるから』

『3級って軍隊でも複数人で戦わないと死ぬような相手なんだよなぁ』

『むしろ人間じゃないと言われた方が信じられる……』


(そんなにおかしいのか?)

自分にとっては普通の事なのでコメント欄の反応が疑問に思う

四階層を進んでいく

同時に湧いても容易く倒して進んでいく

五階層も問題なく進み六階層

六階層から魔物が変わる

2mはある牛の頭を持った魔物、手には斧を持っている


『ミノタウロス!』

『最後の一体ミノタウロスか』

『キングウルフと同等とされる魔物』

『見た目めっちゃ強そう』

『ファンタジーでめっちゃ見た事あるわぁ』

『オークよりも一撃が重くオークより早い。上位互換のような魔物』


斧を振り下ろし下から上へ振り上げる

攻撃を避けて槍を突き出し腕を刺したあと槍を半回転させて石突で胴体を勢いよく叩く

ミノタウロスの皮膚は硬い、特に打撃に強い

(今の一撃良いの入ったと思ったんだがほぼ無傷か)

斧による攻撃を避けて距離を取る


「ミノタウロスは打撃に強いです!」

「成程」


槍の長さを調整して短くする

短剣のように持って突っ込む

斧を避け腕を刺してから胴体を連続で斬る

特に打撃に強いと言うのは斬撃や刺突にも強いと言うこと、先程の一撃は通ったが威力の低い今も連続攻撃は浅い

(マジか、こんな強かったっけ?)

前回戦った時は剣だったという事もあるのだろう、時間がかかる

剣の時は振るった一撃がしっかりと通った


「ダロィスィ」


itawaf

文字を書いて発音する

力を上げるバフ、バフの重ねがけ


「力を強化するバフです!」

「これなら行けるな」


元の長さに戻して槍を握りしめる

槍をしっかりと構えて勢いよく突き出す

攻撃を避けながら戦っていた、その状態では無いしっかりと構えられていない

強く握り腕だけでなく全身を使う

放たれるのは最速の一撃、ミノタウロスは攻撃しようと斧を振りかぶるが間に合わない

バフで速度と力の上がった一撃はミノタウロスの胴体を貫通する


『おぉ!』

『最後早くてなんも見えんかった』

『かなり苦戦してたな』


「苦戦しましたね」

「剣の時は厄介ではあったけど倒せてたんだけどなぁ。やっぱり剣と槍じゃ戦い方変えないとダメなのか。ただしっかり構えればやれそう」

「そう言えば会った時は剣でしたね」


『元剣使いなのか』

『槍じゃないんだ』


槍をしっかりと構えて放つ突きで次々とミノタウロスを倒していく

同時に出ても攻撃を避けて1体ずつ確実に倒していく

横に振るい首を両断する

ミノタウロスの素材が1つだけ落ちる


「ようやく1個か」


『素材おめー』

『おめー』

『やっぱりドロップ率めっちゃ低いなぁ』

『割に合わないって言われるくらいだからねぇ』


そのまま進んでいき最下層の手前まで着く


「この先が最下層、私が知る限りではあるが」


『ここにダンジョンの主が……ゴクリ』

『でもレイさん見た事ないんでしょ?』

『あくまで今回は捜索だから、見つかりませんでしたで終わる可能性ある』

『これから仕事だから抜ける、捜索頑張ってねー』

『あっ、俺もだ。てか遅刻する〜』


「仕事頑張ってくださいね、気を付けてくださいねぇ」

「最下層で魔物を見た事がない。隠れていたのかもしれんが……もし隠れていたとしてもシズクの異能なら見つけられるかもしれない」

「成程、お任せください!」


七彩の1つ探索能力があれば周囲に隠れている魔物を見つけられる

慎重に降りていく

最下層へ続く階段は長い、静寂に足音だけが響く

階段を降り切って最下層に着く

かなり広い空間、中ボスと戦った空間よりも大きい

そして今までの土で作られた洞窟の姿はなく遺跡のような部屋であった

扉はなく行き止まり、魔物の姿も見えない


『遺跡みたいな見た目』

『魔物は見えないな。音もしない』

『なんか居そうだけどなぁゴーレムとか』

『あぁ確かにゴーレム居そうだわ』


「ルィドカリィロウ」


atugaruw

異能を発動させる

探索の能力、地面に手をついて周囲の物体の位置を探る

魔石の位置や大きさなど分かりそれで強さが大体わかる

最大範囲まで伸ばして見つける


「見つけました! 下にいます! 間違いなくダンジョンの主」

「下だと?」


『ここに居ねぇのか』

『下ってなら道あるのかな?』


地面目掛けて槍を振るうが傷1つつかない


『もしかして隠し扉?』


「この部屋にも1つ反応ありました。恐らく中ボスです」

「この部屋には中ボスが居てそいつを倒して進めってことか?」

「恐らく」


シズクは壁に近付いて壁に偽造されていたボタンを押す


「出てきます」


一部の壁が開き始め澪は槍を構える

壁の奥から遺跡の壁と同じ見た目の魔物が現れる

手や足があり頭のような所もある


『ゴーレムだ』

『初めて見た』

『正しく番人か』


侵入者を目視したゴーレムとの戦闘が始まる

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