勧誘
店を出たあと家に帰ろうとする澪を止める
「なんでそこまでスルーするんですか!」
「やる気がないから」
1人でダンジョンに潜り戦う方が気が楽と考えて行動している
配信に興味があったり複数人で行動するのが好きなら近くのダンジョンに来ている他の探索者と話したりと関わろうとする
澪は人気のないダンジョンに潜り続けている
「機材とかはこっちで用意しますからぁ! ちゃんと報酬も払うからぁ!」
服にしがみついてくる
「なんでそこまで勧誘するの? 仲間居るんでしょ」
「居ますが異能者じゃないですし高難易度ダンジョンには実力不足のメンバーです」
「あぁだからあのダンジョンの時は別の人だったのか」
ダンジョン内の会話でいつもの仲間とは違うと少女が発言していた理由
「なので強いメンバーを集めたいんです。視聴者は強い魔物、高難易度のダンジョンの様子を見たいんです。このままだとリスナーが離れて人気配信者じゃなくなってしまうんです!」
「他を当たってどうぞ、配信者なら……そのリスナー?に呼びかけれるでしょ」
「ダンジョン配信って探索者も見ますけど殆どは探索者では無い人達です。安全な所から白熱した戦いを見たいとか」
「へぇ」
「なので強い探索者は自力で探さないと行けないんです」
「人気配信者は?」
「コラボは何度かしてます……なんなら昨日のメンバーはみんな配信者です。それも界隈では結構名の知れた」
「その調子で頑張ろう」
「アレ見ましたよね!?」
アレとは少女が囮にされていた事だろうか
「まぁ人生色々、そういう事もあるよ。と言うか配信しなくていいのか? 今日は動画も撮ってないだろ」
「2週間ほど休止しました……首を縦に振るまで勧誘します。配信者じゃなくて単騎で3級の魔物を倒せる空間移動系の異能者なんて逃すには惜しい人材……ところで話は変わるんですがなんで貴女は探索者に?」
「金稼ぎの為」
「探索者の私が言うのもあれですが割に合いませんよ?」
3級のダンジョンに潜っている澪は稼げるが4級以下のダンジョンとなれば魔石は3級の物ほどの値段では売れず素材もあまり高くはない
大抵の人は会社員と探索者掛け持ちだったりする
探索者自体は世界に沢山いるがわざわざ身の丈以上の危険を犯してまでダンジョンに挑む者は半分にも満たない
「割に合う合わないと言うよりは社会に出るよりもこっちの方が向いていたってだけ」
「向いていたですか」
「私には探索者向きの才能があった、ただそれだけの話、今の生活が私には合ってる。これ以上何かをするつもりは無い、その必要も無いから勧誘はもう辞めて別の人を当たった方がいい。私くらいの才能なら他にも山ほど居るだろうし」
そう言い残してその場を立ち去る
少女は諦めたのか追いかけてこない
(明日向かう予定だけど新種か。どんな魔物だろうか楽しみだ)
そのまま家に帰る
家の中でゴミ袋が目に入る
「あっ、今日ごみ捨ての日だ……まぁいいか来週は忘れないようにしよ、取り敢えず端に置いとこ」
ゴミ袋を端に移動させる
カップラーメンを食べる為に湯を入れてスマホでTLで流れていた記事が気になり内容を見る
それは大人気探索配信者が休止を宣言した事
その配信者の名前は七彩の魔術師シズク
「七彩……彼女か」
2週間ほど休止をするという話の記事
今まで多くの配信をしていた彼女は先日の予定されていたコラボ動画を上げず休止を宣言した
同行予定の配信者達からもそのコラボ動画のコメントは無く何かがあったのでは無いかとファンが騒いでいるという記事であった
シズクの過去の配信を見る、仲間と思しき人達が戦い後ろで異能を使って支援している
「へぇ、強いな」
7つの能力をタイミングよく発動させている
自分は魔物の標的にならないように仲間の邪魔にならないように動き回り全体を俯瞰出来る位置取りをしている
7つの能力それぞれが強い、2つの防御は全体を守りつつ味方を治癒する結界型と前方に強固なシールドを展開するシールド型それぞれを同時に発動する事も出来る
「結界はシールドに比べて耐久性は低いか。だが守りながら中にいる仲間を癒せる」
2時間ほど配信を見て動きを確認する
彼女なら強い味方が居れば3級のダンジョンを攻略出来るだろう
(むしろこんな異能なら強い人から声がかかってもおかしくないはず)
誰もが欲しがるであろう異能
バフはパーティ全員にかけられ低くない上昇率、そして2つの防御能力でパーティの生存能力が高くなる
最後に探索の能力、周囲の魔物の位置や大雑把な強さが分かる
本人に戦闘能力が無いのが欠点だがその欠点すら気にならないほどの異能
「見てて思うけどやっぱり連携は私には向かなそうだなぁ」
スマホをベットの上に転がして眠りにつく
スマホで設定していた目覚ましの音で起きる
「眠い……あと1時間」
2度目の目覚ましの音を聞いてノソノソと起き上がる
まだ完全には目は覚めていない
朝食で買っておいたパンを食べる
「美味しい……これなんだっけ? 辛っ!!」
思ったより辛かったカレーパンを水を飲んで何とか食べ切り外に出る支度をする
辛さで目は完全に覚めた
(思ったより辛かった……お陰で目が覚めた)
「さて、確かこの辺だったはず」
スマホのマップに大体の位置にマークをつけて向かう
記憶力は良く昨日の店員の言っていた場所を覚えていた
「取引所から一時間……こっからだと……わからんまぁいいや」
家を出る
昼飯用のおにぎりをコンビニで買って目的の場所へ向かう
今の時間は車通りは比較的少ない
一般的な会社の出勤時間より遅い時間、若者はおらず散歩している老人を見かける
(元気だよなぁ)
「おやおや、澪ちゃんおはようさん」
「おはようございます」
近所に住む人と出会い挨拶を交わす
一人暮らしをしているが地元からは離れておらず昔からの知り合いが多い
「珍しく朝にどこに行くんだい?」
「ダンジョンに」
「あぁそう言えば探索者だったね。危ないから気をつけてね」
「無理はしないようにしてます」
軽く会話をして別れる
大体1時間半くらいで目的地付近に着くがダンジョンは見つからない
「一応この辺りのはず……探すかぁ」
周りを探索し始める
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