第31話 まじぱない搾取っち(仮)

 さぁ、いよいよ始まりました。5回目のガチャガチャタイムでございます。


 今回のガチャ進行はリリムさんが担当されるみたいです。


「ちょり~っす! みんな待ったぁ!? いよいよお待ちかねのぉ! ガチャのお時間だよぉ! 今回はぁ、前回エストリエ先輩が改修したぁ、だっさ~いガチャをぉ! あたしがめちゃくちゃいいかんじにぃ! 改修いたしましたぁ!」


 え、また? なにこれ、毎回改修しないといけない病にでもかかってるの? この女神たち。


「ジャッジャ~ン! この子のお名前はぁ、“まじぱない搾取っち(仮)” でぇぇす!! どう? イケてる? 前回のぉ、くそダサいデザインから一新してぇ、花柄! そんでキラキラしたやつデコってみましたぁ! 今回もぉ、改修費用が嵩んでぇ、2億! かかっちゃいましたぁ!」


 だっかっらぁ!! そんな金あるんなら僕にそのまま寄越せ! そんで現世に帰らせろ!! もう嫌! このセリフ言うのもう嫌!


「そんでそんでぇ、この子ぉ、ガチャ引くたんびにぃ、おしゃべりもするすっごいできる子なんだよぉ! その辺もおっ楽しみにぃ!」


 マジでさぁ、そういう無駄な機能はいいから、本当に。シンプルイズベストよ。


「でわでわ例のごとくぅ、一気にガチャ逝っちゃってぇ、最後にスキル紹介していくスタイルでいきまぁす! あ、高ランクのスキルはぁ、あとで個別に発表してくねぇ。今回のガチャはぁ、5回! じゃ、逝くよぉ!!」


 がちゃん、がちゃん、がちゃん、がちゃん、がちゃん――

 ごろごろごろ~

 ぽろん、ぽろん、ぽろん、ぽろん、ぽろん――


 頼む! どうせなら一番いいやつ来てくれ! もういいじゃん! 相手のスキル全部奪えるやつでいいじゃん! 無双できるスキルでいいじゃぁぁぁん!!


 ――ノーマル ぷぷっウケル


 え? 今のなに? え? 搾取君が言ったの? え? これが今回の目玉の改修内容? え? マジで?

 はぁ…… もう怒る気力もないよ。ノーマルに文句言う元気もなくなったよ。


 ――スーパースペシャルレア やるぅ! マジぱないっすぅ!


 SSRはその音声なのね。うんうん、なんだかうれしいんだけど、釈然としないこの気持ちはいったいなんだろう……


 ――ワーニング! ワーニング! やべっやべっやべっ! ――


 うぉぉ!! きたこれ! てか「やべっ!」って音声がずっと鳴ってるんですけど! これうるさいんで止めてもらえませんか! お願いします!


 ――ワーニング! ワーニング! やべっやべっやべっ! ――


 うぉぉぉ! マジか!? 「やべっ!」は鬱陶しいけどこれはうれしいぞ! 頼む!今度こそどえらいスキル来てくれマジで!


 ――レディースエーンドジェントルメーン! キタコレ! キタコレ! ――


 突然暗くなり、部屋の中央からミラーボールが下りてきて、煌びやかな光に部屋中が包まれる。


「な、な、な、なんぞこれ! 初めての演出じゃねぇか! これは否が応にも期待してしまうぜ!!」


「よぉぉっし! じゃあ次はぁ、スキル名の発表、いっちゃおう! ノーマルのガチャはぁ……」


 ――打突


 うん、知ってた、知ってたけど、全然いい! いいよ! だってはずれスキルだと思ってたけど、はずれスキルじゃなかったもん! うん、全然いい!


「次はぁ、スーパースペシャルのガチャだよぉ! 一体どんなスキルがでたのかなぁ!?」


 ――パープルアイズ


 え? な、なんて? え、まったくわかんないんだけど…… リアクションに困るんですけど。これ、いいの? 悪いの?


「うーん、なかなかヤッバいやつ引いちゃったねぇ! ユカリン! うん、悪くないと思うよぉ! よっし! 次逝ってみよぉ!」


 え、なにそれ…… あんまよくないやつだったかんじ? 怖いんですけど……


「次はぁ! 警報なっちゃってたやつぅ! まずはスキルランクからぁ!逝っちゃおう!」


 ――ハイパーウルトラレア


 え、は、初めて聞いたやつや。な、なに? めっちゃいいやつ? もしかして。


「ユカリ~ン! やったじゃん! めっちゃ大当たり引いちゃったかんじぃ!? じゃあこのままスキル名も見ていっちゃおっかな!」


 ――惡の華


 ご、ごめん、スキル名聞いても全くどんなスキルなのか想像つかないや。い、いや、でもいいやつなんだよな、これ。


「おぉぉぉぉぉ! ユカリンこれめっちゃいいやつだよ! 上から3番目にいいやつぅ! やるぅ! よぉぉっし! このままアゲてっちゃおう! 次にでたスキルはなにかな~!!」


 ――ハイパーウルトラレア


 おぉ! また来た! やばい、とうとう僕の時代が来た。というか時代が僕に追いついてきた!勝てる! これで勝てる!!


「やるじゃん! ユカリン! じゃあスキル名もそのまんま発表、いっちゃ、おう!」


 ――悪魔の首飾り


 へ? なんかまた物騒な名前のやつ来たんですけど……

これ絶対悪魔の指輪みたいに呪いがあるやつでしょ? お願いだからそういうのはなしでオナシャス!


「よかったねっ! ユ・カ・リ・ン! これも超いいアイテムだよぉ! じゃあ最期! 最後のはやっばいよぉ! HUR以上確定のBGMだからねぇ! じゃあぁぁ! スキルランクはぁ!」


 ――レジェンドレア


「キター! ユカリンッ! めっちゃ大当たり来ちゃったよぉ! これ上から2番目にいいやつだよぉ! これでもう無双間違いなしぢゃん! 」


 マ、マ、マジか…… やっとか、やっと僕にも春が訪れたってことか。長かった、苦節異世界転生5回目、ようやくです。今度こそ魔王を、魔王の座を、いただいちゃいます!


「えへへ、なんかあたしもうれしくなってきちゃったぁ。んじゃ、スキル名も見ていこっか! どんなすんごいのがでたの~か~な=!?」


 ――TSセット


 え、なになに!? TSってなに? これめっちゃいいやつなの!? よくわかんないけど、これで勝つる! 説明はまぁいいや! だってLRだもん!最強なの間違いなしだもんね!


「う、うん…… さ、最強だよ。や、やったね、ユカリン……」


 リリムさんの顔がえらくテンション低そうに見えたんだが、多分そろそろ僕と別れるのが、名残惜しいんだろう。よっしゃ! 次の転生こそ、全ての敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げしてやるぜ!


「じゃ、じゃあ、そろそろ逝っとく? あ、リーリエちゃんはちゃんとおうちに帰ってねぇ! 」


「わ、わかりました! 貴重な体験をさせていただき、有難うございました」


「うんうん! いい子だねぇ! リリムの妹にしたいくらい~!」


 リーリエ、お前余所様にそんな対応できたんか…… なら僕にも普通に接してくれよ……


「我が眷属よ! 力を望むか? 其方が望むのなら、この漆黒の支配者が汝の手助けをしてやる! いつでも呼ぶがよい! わぁっはっはっはっ!」


 イラッ。まぁ、いいや、こいつは無視しとこう。

 じゃあ、そろそろ逝ってくるわ。レミアラさん、リリムさん助けてよね! 絶対だからね!


「もちろんです。この女神レミアラの名に誓って、紫くんの手助けをしましょう。そしていつでもこの胸であなたの疲れを癒しましょう」


「もちあたしもユカリンのフォローすっからねぇ!」


「ね、ねぇ、我は? 我には? 我も、た、助けるよ、我が眷属……」


 あぁ、わかったわかった、んじゃリーリエもなんかあったらお願いね。


 よっしゃ! じゃあいっちょかましてやりますかぁ!!


 そうして僕の第5回目異世界転生が幕を切ったのであった






     ◇ ◇ ◇ ◇


 ※当拙作をご覧いただき誠にありがとうございます。

 もし当作品を面白っ! 続きはよっ! と思っていただけましたら♡で応援、レビュー、ブクマ、ひとつでも構いませんので、★をぽちっと、などなどしていただけますと作者の今後の執筆意欲につながります。

 →https://kakuyomu.jp/works/16817330668100636316#reviews

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